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最近話題になった数理・物理・宇宙関係のニュースから

新聞記事になったニュースを,より詳しく背景がたどれるように時々ピックアップ. (英文のものは,いずれ和訳予定.日本文もいずれ要約します.)




date contents links

2002/11/21 1つの銀河に2つの超巨大ブラックホールを発見
NASAのX線観測衛星チャンドラによる銀河の観測で,初めて,1つの銀河中に2つの超巨大ブラックホールが見つかった.これらのブラックホールは数億年のうちに合体してさらに大きなブラックホールになると考えられている. チャンドラが観測したのはへびつかい座にある銀河 NGC6240で,地球からはおよそ4億光年離れている.以 前から中心からX線が放射されていることがわかっており,電波や赤外線による観測では明るい核が2つあるこ とがわかっていた.この核のうちどちらかがブラックホールではないかと考えられていたが,チャンドラに より,実は両方ともがブラックホールだったことがわかった. NGC6240は2つの小さな銀河が衝突・合体してできあがった銀河だと考えられており,こういったタイプの 銀河に特徴的な激しい星形成活動が見られる.発見された2つのブラックホールは元々はそれぞれの銀河の中 心にあったものかもしれない.2つのブラックホールの間は3,000光年ほど離れている.
Chandra photo album
アストロアーツ
2002/11/17 IOP Journal Archive completed
イギリス物理学会(Institute of Physics, IOP)の発行する学術誌の電子化が 完了し,2003年1月1日より,1874年に遡って Proceedings of the Physical Society of London (1874-1967)が読めるように なるそうだ.
http://www.iop.org/journal/
2002/10/30 宇宙誕生直後にできた星を発見 金属をほとんど含まず
 ビッグバンによる宇宙誕生直後にできたとみられる,金属をほとんど含まない星を米独などの研究チームが初めて発見した.宇宙の歴史を解明する新たな手がかりとなる.  南天のほうおう座近くにある赤色巨星HE0107―5240で,重さは太陽の約8割.米ミシガン州立大学の ビアーズ教授らが南米チリにある欧州南天天文台の世界最大級の望遠鏡で観測.光の分析から金属などの割合は,1〜2%含む太陽の約20万分の1で,これまで最低だった星の約20分の1だった.  ビッグバン理論では,大爆発でつくられる元素は大部分が水素とヘリウム.金属などの重い元素は最初にできた星が超新星爆発を繰り返す過程で合成されたと考えられている.理論上は,超新星爆発を起こさない太陽程度の重さの小さな星が金属ゼロのまま残っているとされたが,この「ビッグバンの証拠」はこれまで見つかっていなかった.
Nature 419, 886 (2002);
2002/10/11 太陽系外縁部に過去最大の小天体を発見
カリフォルニア工科大学のMichael BrownとChad Trujilloが,ハッブル宇宙望遠鏡を用いて,過去最大の太陽系外縁部の小天 体の大きさを測定したという結果を発表した. この小天体は,彼らが今年 夏にパロマー山天文台のシュミット望遠鏡による捜索により,へびつかい座に 発見した 2002 LM60 という仮符号の付けられたもので,太陽系外縁部に存在す るエッジワース・カイパーベルト天体の一つ.  エッジワース・カイパーベルトというのは,太陽系外縁部に存在する氷や岩 石からなると思われる小天体の群れの名称.1992年に最初の天体が発見さ れてから,すでにその数は500個を超えている.いまでは冥王星も,このエッ ジワース・カイパーベルト天体の一つであると考えられているが,まだ冥王 星の大きさを凌ぐ天体は見つかっていない.直径が高い精度で推定されてい る小天体の中で,最大のものは20000番の登録番号が付けられたヴァルナ (Varuna)だった.サブミリ波という波長の短 い電波観測と可視光の観測により,その直径が約900キロメートルと求められて いた.  ブラウンらは,この天体にアメリカ先住民の伝説に出てくる「万物が誕生す るきっかけを与えた存在」にちなんでクワイワー(Quaoar)と命名することを 提案している.ただ,正式に命名されるには国際天文学連合 (IAU) の承認が 必要になる.
天文台ニュース
FAQs on Quaoar
STScI-PRC02-17
木下大輔他,天文月報,第95巻10号,P.464(2002)
2002/10/8 小柴昌俊氏,ノーベル物理学賞受賞
ニュートリノ天文学を推進し,神岡鉱山後のカミオカンデ装置で 超新星からのニュートリノを捕らえるなどの業績で知られる, 小柴昌俊・東大名誉教授にノーベル物理学賞が贈られることが発表された. 日本人としては 一昨年の白川英樹・筑波大名誉教授,昨年の野依良治・名古屋大教授の化学賞受賞に続いて3年連続. 物理学賞としては,4人目.宇宙物理学としては初. (本年は,ノーベル化学賞も日本人から受賞者が出た.田中耕一氏. 「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」特に「質量分析法のための脱離イオン化法の開発」)
Nobel Physics
Nature
これまでの日本人受賞者
2002/10/2 「ビッグバン」直後の5兆度再現に成功
宇宙誕生の大爆発「ビッグバン」直後に相当する約5兆度の超高温状態を実験で再現したと,日米などの国際チームが大阪市で開催中の「素粒子・原子核国際会議」で発表した.人類が実験室で達成した最高温度で,この状態を分析すれば,物質の根源である素粒子の正体に迫ることができる.  同チームのジョン・ハリス米エール大教授によると,米ブルックヘブン国立研究所にある加速器で,ほぼ光速に加速した金のイオン同士を正面衝突させ,その際に生じた温度は推計で約5兆度に達した.原子核の実験ではこれまで,欧州合同原子核研究機関が00年に発表した約1兆5000億度が最高で,これよりもビッグバンに近づいたことになる.
 物理学の理論では,陽子や中性子は,物質の根源であるクオークと,クオーク同士をくっつける「のり」の役目をするグルーオンという素粒子からできている.これらを1個ずつ引き離すのは難しいが,今回の超高温状態でばらばらになったと考えられる.この状態は,百数十億年前のビッグバンから約10万分の1秒後に相当し,陽子や中性子ができる前に存在したとされる「混沌(こんとん)の世界」.国際チームは今後,この状態を調べ,物質の根源や宇宙がどう誕生したかを探る.国際チームには,日本の京都大や筑波大なども参加し,00年に実験を始めた.
朝日新聞
2002/9/25 2005年は国際物理年
1905年はEinsteinが,光電効果・ブラウン運動・(特殊)相対性理論の,3つの 革命的な論文を提出した年である.UNESCOは,これにちなんで2005年を国際物理年 とすることを決定.ヨーロッパ物理学会はスイスで,国際物理年を記念する学会を 開く模様.ちなみに一般相対性理論が発表されたのは1915年で,いわゆる重力研究者 にとっては1905年は縁のある年ではないのだが,アメリカ物理学会重力セッションも 企画を検討中,とのこと.
By R. Price in gr-qc/0209085
2002/9/19 南極上空のオゾンホール,50年後には消滅と予測
 オゾン層を破壊するフロンの排出量が減少に転じており,南極上空のオゾンホールは50年後に消滅する−−オーストラリアの連邦科学産業研究機構(CSIRO)は,同国タスマニア州での観測をもとに,こんな予測を明らかにした.CSIROの大気調査チームは同州での観測で,フロンが00年をピークに減少し始めたことを確認したという.主任研究員のポール・フレーザー氏は同国の公共ABC放送などに対し,「フロン減少の流れは定着したとみられ,注目に値する.減少傾向は世界規模での規制の有効性を立証するものだ」と指摘した.  オーストラリアやニュージーランドでは,オゾン層破壊で有害紫外線が増え,皮膚がんが増加している,と指摘されてきた.
朝日新聞
2002/6/21 GPSシステムの精度向上に一般相対論が必要
地上の位置を正確に知るために開発されたGPS (Global positioning system)は,3つ以上の 人工衛星からの信号を元に三角測量から位置を割り出すシステムである.人工衛星と測定者の 相対的な位置により,地球の及ぼす重力場が信号に影響し,一般相対論的効果は,小さいながらも 無視できないものである.(解説記事)
N. Ashby, Physics Today May 2002
2002/5/25 ワームホールは通過可能?
日本と韓国の研究者が,Morris-Thorneによって提案されたワームホール解の 通過可能性を数値シミュレーションによって示した.それによると,ワームホール解 そのものは不安定で,正エネルギーの物質が通過するとブラックホールに転じてしまうが, 逆に負のエネルギー(ghost radiation)を投下することによりワームホール解を維持あるいは インフレーション的に拡張することができるという.
New Scientists 2002/5/25 issue
H Shinkai and SA Hayward, Phys. Rev. D 66 (2002) 044005
2002/5/1 空の明るさの11年周期変動を発見
国立天文台のコロナグラフを使った長期間の観測から、太陽黒点の数と共に、 空の明るさも11年の周期で変動していることがわかった.  これまでにも、太陽黒点の11年の周期に同期して、気温や雨量などの気象要 素が変動するといわれてきた。しかしどれも、物理的な因果関係が明確に 解き明かされたわけではなく、周期が11年で一致するという、状況証拠でしか ない.この点は今回の空の明るさの変動についても同じ.
天文台ニュース
2002/5 恐竜Rexの走る速さは,結構遅かった.
骨格・筋肉モデルと足跡をきちんと計算したら,足が遅かったそうで,映画のように 自動車を追いかけて来て襲われる心配は無用だったらしい.
Physics Today April 2002 issue
2002/4/26 銀河系最古の天体,白色矮星の年齢は120〜130億歳
NASAのハッブル宇宙望遠鏡で, 地球からおよそ7,000光年の距離にあるさそり座にある球状星団M 4にある 白色矮星を観測したところ,白色矮星の年齢が120〜130億年であることがわかった. 「恒星の燃えかす」である白色矮星は, ただ冷えていくだけであり,かつ最初の温度の推定や温度が下がる 割合などは理論的に予測できるので,年齢の推定が容易である. また,これまでの宇宙膨張や恒星のモデルに依存しない独立な年齢推定となる. 宇宙年齢の下限として,宇宙論に影響を及ぼすことになる.
アストロアーツ
NASA press release
2002/4/25 超新星残骸RX J1713.7-3946での宇宙線陽子の加速
日本のグループが,地球の上層大気に衝突する10^{12}eVのエネルギーをもつガンマ線による 可視光の光子のカスケードシャワーを超新星残骸RX J1713.7-3946の方向に観測した.
おおよそ10^{15}eVまでのエネルギーをもった陽子は,宇宙線の主要な成分を占めているが, それら陽子がこのような高エネルギーにまで加速されうる場所の特 定についての観測的確証は得られていなかった. 電子は超新星残骸中で宇宙線のエネルギーまで加速されることが知られており,超新星残骸と結びついた衝 撃波は,周囲の星間物質に衝突したとき,陽子を加速するためのエネルギーとなりうる. そのような過程中の特性的事象がpion (pi^0)中間子の崩壊であると考え られ,pionは陽子が星間雲内で原子や分子と衝突したときに生ずる.そしてp中間子の 崩壊によって特定のスペクトルのエネルギー分布をもったガンマ線が発 生する. 今回の観測では, このスペクトルはpion崩壊から予測されるスペクトルとよく一致し,他のメカニズムでは説明できない, としている.
Nature 416, 823 - 826(2002)
2002/4/15 中性子星よりも高密度な天体はクォークでできた星か?
NASAのX線観測衛星チャンドラによる観測で,特殊な2つの天体が発見された.
チャンドラとハッブル宇宙望遠鏡で「みなみのかんむり座」にある 天体 RX J1856.3-3754を観測したところ,この天体の半径がたった 5-6kmしかないことがわかった.これは,超新星爆発のあとにでき る非常に密度の高い天体,中性子星よりもずっと小さく密度が高 い.可能性としては,素粒子の最小単位「クォーク」でできているとも考えられる.
一方,「カシオペヤ座」にある天体 3C58は,1181年の超新星爆発 の時にできたと考えられている.(この爆発は日本の「明月記」に 記録されている.)予想されるX線の放射が観測されなかったこと から,研究者たちは「3C58は100万度よりも低温である」と結論づ けた.中性子星がどのように冷えていくのかという問題に対して強 い制限を与える天体となるだろうが,この天体も(少なくとも一部 は)クォークでできている可能性がある.
Chandra press release
J. J. Drake et al, astro-ph/0204159
中村卓史,日本物理学会誌2002年8月号
2002/4/10 135億光年も離れた銀河群を発見
南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)パラナル観測所のVLT(The Very Large Telescope)を使って観測を行っていた 国際研究チーム(オランダ,ドイツ,フランス,アメリカ)が,135億光年離れた銀河群を発見した.銀河群としては これまで知られているものの中で最遠のもの.
研究チームは,まずTN J1338-1942という名前の電波銀河を観測し た.電波銀河は我々の天の川銀河の5桁から10桁も強い電波を放射 している銀河であるが,この強力な電波は中心にある大質量ブラッ クホールに関係があると考えられている.そして,強力な電波のお かげで,はるか遠方にあっても見つけることができる. さらに,これまでの観測から,電波銀河は形成途上にある若い銀河 団や銀河群の中心にあるという結果が得られている.そこで,今回 の観測でも電波銀河の周りを見て,将来銀河団になるかもしれない ような銀河の集まりがないかどうかを調べていた.
観測の結果,電波銀河の周りに映っている銀河のうち20個が電波銀 河と同じ距離にあることが確認された.この電波銀河までの距離は およそ135億光年なので,これら20個の銀河の集まりは135億光年離 れた銀河群ということになる.
アストロアーツ
ESO Press Release
2002/4/4 小惑星1950DA,2880年に地球に接近:衝突確率0.3パーセント
直径1.1キロメートルほどの小惑星(29075)1950DAが,2880年3月16日に地球に 接近し,現段階では衝突確率が0.3パーセントと,決して無視できないレベルで ある,と発表された.
しかし,この小惑星は本当に地球に衝突するかどうかは,他の要因が多く寄与するので 不明である. 最も大きな要因はヤーコフスキー効果(Yarkovsky effect)で,これは, 小惑星が太陽の光を受けて暖まり,その熱を赤外線で宇 宙へ放射する時,放射する赤外線の反作用を受けることによる.その他にも 計算誤差,太陽の質量の減少,他の小惑星との接近遭遇,惑星質量の誤 差,太陽光圧なども影響する. ヤーコフスキー効果は,小惑星の質 量,自転軸の向きや自転周期,表面の反射率,熱伝導度などに複雑に依存する.  いずれにしろ,衝突するかどうかは,次回の2032年,あるいはその次の2074 年の地球接近時の観測次第.
天文台ニュース
Giorgini, J.D. et al., Science 296, p.132-136(2002).
Spitale, J.N., Science 296, p.77(2002).
2002/4/3 超巨大ブラックホールは宇宙のごく初期から存在していた
NASAのX線観測衛星チャンドラの観測により,クェーサーの中心にあると 考えられている超巨大ブラックホールは宇宙誕生からわずか10億年後には すでに存在していたらしいことがわかった. 今回チャンドラによる観測の対象になったのは,近ごろスローン・ デジタル・スカイ・サーベイという観測で可視光で見つかったもの である.その距離はおよそ130億光年と測定されており,これまで に知られているクェーサーの中で最も遠いものである.チャンドラ の観測により,これらのクェーサーから非常に強力なX線が放射さ れていることがわかった.このX線は,クェーサー中心に存在する と考えられている超巨大ブラックホールから放射されている. 観測の結果,これら3つのクェーサーはもっと近くにある(すなわ ちもっと年老いた)クェーサーとあまり違わないということがわか った.ただし,距離が120〜125億光年のところにある別の14個のク ェーサーの観測では,遠方にあるクェーサーほどX線のエネルギー の割合が小さくなるという結果もあり,距離によってクェーサーの タイプが異なるのかどうかについて結論を出すには早いようだ. いずれにせよ,この130億光年離れたクェーサーの中心にあると考 えられている超巨大ブラックホールの質量が太陽の10〜100億倍で あることに関しては意見が一致している.ちなみに我々の銀河系の 中心にあるブラックホールの質量は太陽の300万倍程度と推定され ている.また,3つのクェーサーのうちの1つからほんの50万光年し か離れていないところに別のX線源が見つかっており,中心ブラッ クホールの回転によって放出された高エネルギーのジェットではな いかと考えられている.
アストロアーツ
Chandra photo release
2002/3/28 公転周期5分の連星
公転周期がたった5分しかない連星が発見された.これは,いままでに 発見されている連星の中ではもっとも周期の短いもので,強いX線を放射している. この連星RX J0806.3+1527は,はじめは単なるX線源として,ドイツのX線観測衛星ROSATによ り1994年に「かに座」発見された.1999年に,このX線源が321秒の周期で強度 変化をしていることが判明.周期のほぼ半分の時間は,X線の信号が ほとんど消えてしまう.  その理由を探るため,まずNASAのX線観測天文台チャンドラで詳細な観測が おこなわれ,一方,チリ,バラナル山天文台の8.2メートルVLT望遠鏡などで光 学観測も実施された.このX線源は,実視等級21.1等で,暗いながら可視 光も出している.スペクトル観測からは,この星に大量のヘリウムの存 在することが明らかになった.
 これらの観測事実を説明するものとして,地球質量程度の白色わい星同志の連星である という結論が出された.約8万キロメートル離れ,周期321秒. 二星は月のように自転と公転の周期が一致していて,いつも同じ面を 向け合っている.大きい方の星は小さい星から物質を吸い取り,その物質は大 きい方の白色わい星に高速で衝突し,その表面を25万度の高温に加熱してホッ トスポットをつくり,そこからX線が出る. X線が途切れるのは,自転によってホットスポットが地球から見て向 こう側になった時間に対応する.こうして,周期ほぼ5分の,白色わい星同 志の連星の存在が推定されたのです.
 この連星の相対速度は,毎秒1500キロメートルにも達します.このように急 速に公転している大質量の星からは,かなり強い重力波が出ているはず. ヨー ロッパ宇宙機構が約10年後に打ち上げを予定している宇宙レーザー干渉計リサ (Laser Interferometer Space Antenna;LISA)によって検出できる可能性がある. 銀河系の中には,ここで述べたような連星は何千個もあると思われま すが,「このRX J0806.3+1527はもっとも近く,もっとも明るい」と,リサ計 画のリーダーであるカリフォルニア工科大学のフィニー(Phinney,E.S.)は述べ ている.
天文台ニュース
IAUC 7835(Feb.22,2002)
ESO Press Release 06/02
2002/3/8 Cold atoms carry light pulses Physicists have demonstrated for the first time that light pulses trapped in atomic gases can be transported in space, changed in frequency and reversed in time. Marlan Scully of Texas A& M University in the US and colleagues believe that the ability to transport and modify light pulses in this way could be exploited for quantum information storage Physics Web
A Zibrov et al 2002 Phys. Rev. Lett. 88 103601
2002/3/6 US could beam neutrinos to Japan A beam of neutrinos could be fired nearly ten thousand kilometres through the Earth in an experiment proposed by Fritz DeJongh at Fermilab. DeJongh hopes to persuade Japanese particle physicists to build a new detector at the SuperKamiokande site to analyse a beam of neutrinos sent by a powerful generator currently under construction at Fermilab in the US. Passing through so much matter should alter the beam in a way that makes it possible to establish the masses of the three different types of neutrino, and to study `charge-parity violation' Physics Web (arXiv.org/abs/hep-ex/0203005).
Feb 21, 2002 誕生したばかりのミリ秒パルサー
今回発見されたミリ秒パルサーのPSR J1740-5340 は,南天の「さいだん座」 のNGC6397と呼ばれる球状星団の中にあり,毎秒274回の高速自転. 最大の特徴は,連星となっている相手の星が白色わい 星ではなく,赤色巨星だということ.(赤色巨星の直径は白色わい星の 100倍,同じ質量の主系列星の5倍).連星の公転周期は1.35日. パルサー回転は今後速まると予想される.
天文台ニュース
ESA Portal(Feb.21,2002)
Feb 21, 2002 月の内部に部分的に溶けた層が存在
ジェット推進研究所のWilliamsらは,月までの距離の精密データを解析し, 潮汐変形により,月の表面が約27日周期 で10センチほど上下していることを突き止めた.ここから計算されたラブ 数kは0.0266となり,地球の約0.3に比べてずっと小さい. 月では,部分的に溶けた状態の層が,中心核を取り巻いて存在するらしいこ とを結論した.(地球では,地表から測って深さ約2900キロメートルから約5100キロメー トルまでの範囲は,地震波の横波を通さず,完全に溶けた液体の層になっている.)
天文台ニュース
JPL 2002 News Releases(Feb.13,2002)
Feb 13, 2002 Supernova link to ancient extinction
Supernova explosions in a local cluster of stars could have caused a wave of extinction on Earth two million years ago, according to Narciso Benitez of Johns Hopkins University in the US and colleagues. The astronomers have calculated that supernova explosions in the 'Scorpius-Centaurus association', which is relatively close to Earth, took place at around the time of the extinction. An excess of iron-60 deep in the Earth's crust - which is old enough to have been deposited by the supernovas - appears to support their theory
Physics Web
N Benitez et al, Phys. Rev. Lett. 88 (2002) 081101
Feb 14, 2002 長大なジェットを噴き出しているクェーサー
X線観測天文台チャンドラの観測によって,クェーサーPKS1127-145は100万光 年に達する大規模なX線のジェットを噴き出していること,またこのクェーサー と地球との間にある銀河は,銀河系に比べて酸素の量が5分の1しかないことが わかった.これほど規模の大きいジェットは,過去にほとんど 知られていない.
天文台ニュース
Chandra Press Room(Feb.6,2002)
Feb 12, 2002 予想と逆方向に回転する銀河
地球から1億1100万光年離れたケンタウルス座の方向にある NGC 4622は,回転していく前方に2本の腕が伸びている. この銀河は別の銀河と相互作用し,結果としてこのような 不思議なことが生じていると考えられる.
アストロアーツ
STScI Press Release
Feb 7, 2002 惑星の成長は有機物が決め手
 太陽系の形成時に,惑星の成長には「有機物」の存在の影響が大きいことが 明らかになった.原始惑星系星雲では,チリに含まれる有機物が効果的な 糊の役割りを果たしてチリ同志をくっつけ,惑星の成長を速めるという. これまでは,ケイ酸塩や氷による実験から,相対速度が毎秒15 センチ以上になると,チリ同志はもう付着することはないと考えられていた. 北海道大学の香内らによる,有機物を含んだチリの衝突実験では, 毎秒5メートル以下の速さのチリは,ほとんど合体するという.
天文台ニュース
Feb 1, 2002 New experiment to probe neutrino mass An experiment being built at the Gran Sasso laboratory in Italy could provide valuable insights into neutrino physics and the nature of dark matter. Ettore Fiorini of Milan University and colleagues have calculated that their tellurium detector - named CUORE - should be able to observe an extremely rare kind of beta decay for the first time. Such an observation would yield a value for the mass of the neutrino, thought to account for some of the universe's dark matter Physics Web
(xxx.lanl.gov/abs/hep-ex/0201038).
Jan 29, 2002 ブラックホールからのジェット流の起源はブラックホールの回転エネルギー説
 小出氏(富山大)らの数値シミュレーションによれば, 回転ブラックホールの軸方向に生じるジェット流の起源の説明. ブラックホール近傍の回転の引きづりにより, torsional Alfven 波が発生. その波が磁場に沿って伝わるうちに負のエネルギーとなり,ホライズンの内側に進入すると ブラックホールの回転エネルギーを奪う格好になる.
S. Koide, K. Shibata, T. Kudoh, D. L. Meier Science Express January 24, 2002
Jan 22, 2002 原子媒質中の遅い光を利用する事象の地平線の類似実験
アブストラクト「 特異点は,多くの光学的現象の基礎になっている.たとえば,虹は,光線の強度が 無限大になってしまう特殊な特異点「光線カタストロフィー」を伴っている.実際 には,光の波動的な性質が,このような無限大を解消して,干渉縞を生じさせる. ブラックホールの事象の地平線では,時間は静止し,波動は無限に小さな波長で振動する. しかしながら,光の量子的な性質が,カタストロフィーを回避させ,ホーキング放射 を生む.今回,私は,事象の地平線の理論的な類似実験の結果を報告する.原子媒質中 で静止状態になった光の群速度の放物線分布が,ブラックホールのものと似た波動の 特異点を生む.量子真空は,特徴的なスペクトルをもった光子対を創らされることになる.これは, ホーキング放射に関連した現象である.この考えは,古典的なカタストロフィー理論 の領域を広げる「量子的」カタストロフィー論のはしりになるかもしれない.」
Physics Web
U. Leonhardt Nature 415 (2002) 406
Jan 22, 2002 Electrical pulses break light speed record
Pulses that travel faster than light have been sent over a significant distance for the first time. Alain Hache' and Louis Poirier of the University of Moncton in Canada transmitted the pulses through a 120-metre cable made from a coaxial 'photonic crystal'. The achievement raises hopes that data could travel through electronic communications systems at almost the speed of light.
Physics Web
A Hache' and L Poirier, Appl. Phys. Lett. 80 (2002) 518
Jan 21, 2002 中質量ブラックホール候補天体をX線でも観測
ミシガン大学のグループは,ChandraX線衛星を用いて,太陽質量の 30-1000 倍と見積もられる天体からのX線を捕獲した,と発表.
アストロアーツ
ミシガン大学発表
Jan 17, 2002 すばる望遠鏡,補償光学装置を使って褐色矮星連星系を分光観測
褐色矮星連星系はこれまでに数例しか知られておらず,補償光学装置(AO) を 用いた分光観測としては,ケック望遠鏡での観測に続いて 2 例目.
アストロアーツ
Subaru Telescope Latest News
Jan 17, 2002 種族IIIの恒星
ハーバード・スミソニアン天体物理学研究所による 星形成のシミュレーションは,宇宙で最初に形成された星(種族III)が, 太陽の100倍もの質量をもつ巨星であることを示した. 一辺が40万光年の立方体の希薄なガス雲が収縮 する過程で,熱 を効率的に放射する一酸化炭素やダストなどが存在しないためと説明されている. これらの巨星は生命が短く,異常に明るい超新星となって爆発するので, ガンマ線バーストの候補としても考えられる.
天文台ニュース
ハーバード・スミソニアン天体物理学研究所
Abel,T. et al., Science 295, p.93-98(2002).
Jan 11, 2002 宇宙の色はこんな色
宇宙は「緑がかかった薄い青(薄いターコイズブルー)」. 米ジョンズ・ホプキン ズ大のグループが, およそ20万個の銀河の赤方偏移を洗い出す調査の一環. それぞれ可視光の波長と強度を調べて平均化したところ, RGBではそれぞれ0.269/0.388/0.342.Photoshopのカラーピッカーによると 「A1E8CD」(このページの背景色).
(Mar 10, 2001) その後,ソフトのバグが見つかったそうで,この色に修正された. BEST GUESS: ベージュに近い白.
Karl Glazebrook & Ivan Baldry
Jan. 8 , 2002 冷却レーザーによる特殊相対性理論のテスト
ドイツ・コンスタンツ大学の実験により特殊相対性理論がさらに 精度良く確かめられた.
Physics Web
C Braxmaier et al 2002 Phys. Rev. Lett. 88 010401
Jan. 10 , 2002 銀河内のヘリウム3
ダークマターの存在をさらにサポート.
アストロニュース
米天文台ニュース

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