2007年6月アーカイブ

東京電力が「創造する人のための科学情報誌」として発行している『イリューム』誌が,2007年6月発行の第37号で 「大きく変わる宇宙観−観測がひらく新しい世界」特集をしている.

専門家による記事は次の4つ.

  1. 須藤靖 「ダークエネルギー−正体不明の何かが 宇宙の大半を満たしている」
  2. 海部宣男 「日本の天文学は、自らの手で世界最高の観測装置を作ってきた」(インタビュー形式)
  3. 観山正見「太陽系から 宇宙の惑星系へ−「京都モデル」の誕生と展開」
  4. 長谷川哲夫「人類最強の"眼"ALMA−いま、日米欧共同で建設が進む」
いずれも,美しく丁寧な図版が豊富で,専門家も非専門家も楽しめる内容である. (「京都モデル」の話はややマニアックではあったが.)

今回の巻頭言では,山崎正和氏がポアンカレの「事実のただの集積が科学ではないのは,単なる石の集積が家ではないのと同じだ」「仮説とはもっとも欠乏することのない資本である」などを引用しながら,『純粋に知るために知ることが人間をいかに高貴なものにするか,この功利主義の時代にあって天文学は哲学と並んで,人間性の最後の砦でありつづけているように見える』と結んでいる.

『イリューム』誌は,図版がきれいでいつも感心する. 私は,大学1年生の数学の授業の一番最初には,『イリューム』第34号 「いま大きく展開する−数学ってなに?」特集にあった,数学の構成マップをプリントして配っている.

以前,『イリューム』編集者の方にバックナンバーをお願いしたときは,在庫切れのため わざわざカラーコピー版を送付していただいて恐縮した. 山崎正和氏の結びの言葉は,そのまま東京電力の,このような企業メセナ活動にも当てはまろう.

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