6/22 Physics Web
に紹介された
J. M. Miller et al, Nature 441 (2006) 953の記事.
ブラックホールの周りの物質が降着円盤を形成しながら,ブラックホールへ飲み込まれていくメカニズムは,
重力だけで考えるなら(角運動量が失われないために周回運動するだけなので)不足であり,以前から磁場が
作用していると,考えられていた.磁場がもたらす内部粘性(internal viscosity)や,ディスク波(disk winds)
が角運動量を奪う手段として理論的に考えられていたが,観測的な事実はなかった.
Millerらの論文は,Chandra衛星のX線観測に基づき,ブラックホール連星GRO J1655-40に見られる X線吸収を調べることにより,ディスク内部の磁場粘性が引き起こす圧力や磁場中心力(magnetocentrifugal forces) によって,ブラックホールへの物質降着が強められていることを示している,という.