新しい定義は,以下の通り.(8/24 国立天文台astro topicsより.原文は,IAU2006のページにあり.)
決議 RESOLUTIONS 国際天文学連合はここに,我々の太陽系に属する惑星及びその他の天体に対 して,衛星を除き,以下の3つの明確な種別を定義する: The IAU therefore resolves that planets and other bodies in our Solar System be defined into three distinct categories in the following way:
冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり,トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する. IAU Resolution: Pluto The IAU further resolves: Pluto is a dwarf planet by the above definition and is recognized as the prototype of a new category of trans-Neptunian objects. |
この決議に至る対抗案としては,すでにこのサイトでも報告した「セレス,カロン,2003UB313を含めて12惑星とする」案と,「冥王星を含めて現在の9惑星とする」案があり,最終的には8惑星か9惑星かで投票が行われた. 冥王星を惑星に残す案は,アメリカ人に多かったそうだ.冥王星の発見者がクレイド・トンボー Clyde W. Tombaugh というアメリカ人だから.
冥王星は,1930年に発見された.当時,海王星の位置が計算から予測される位置からずれてしまう原因として,もう一つの惑星の 存在が理論的に予言され,実際に望遠鏡を向けて発見した,というエピソードがある.この事実をもって,「Newton力学の勝利」とも呼ばれているという.発見当初は,冥王星の質量は地球の半分程度と見込まれていたが,観測技術の進展により,現在では地球の 1/5 程度であることが知られている.他の冥王星レベルの小惑星の発見が相次ぎ,惑星の定義そのものが問題となっていた.
冥王星を惑星としていいのかどうか,という意見は10年前から良く聞くようになっていた.冥王星の軌道がカオス的である,という
問題も,他の小惑星からの影響を受け易いものだから,という理由で落ち着くのだろうか.
ホルスト Holstの組曲「惑星」は,
1920年代に作曲されたため,当時発見されていなかった「冥王星」という曲はない.結局,これで正しかったことになる.
「惑星」の定義、総会での議論続く (8/21 国立天文台 アストロ・トピックス (231))
「惑星」の新定義案、総会での採決へ (8/24 国立天文台 アストロ・トピックス (232))
(速報)太陽系の惑星の定義確定 (8/24 国立天文台 アストロ・トピックス (233))
冥王星外し,惑星数8に 国際天文学連合が新定義 (8/25 朝日新聞 朝刊1面トップ)
冥王星除外に教科書困惑、プラネタリウム歓迎 (8/25 朝日新聞 朝刊)

2006/8/28追記
日本惑星科学会は,
「惑星の定義」に関する声明文を発表した.今回の経緯に関する状況説明が載っている.
天文学会のメーリングリストでは,「今後,関係学会/機関で,具体的な対応に関する協議が行なわれる」とのこと.
2006/8/31追記
Holstの組曲「惑星」には,冥王星がなかったが,2000年にColin Matthewsが「冥王星Pluto - The Renewer」という曲を追加で作曲し,最近の「惑星」CDには収録されているものもあるのだそうだ.
当サイト2006/8/17 太陽系惑星の新定義,惑星3つ増えるか
当サイト2007/3/24 冥王星は「準惑星」 訳語決まる