【宇宙物理】トーラス構造による大質量星形成

太陽質量程度の星形成は,ガスの収縮と降着という理論によってほぼ説明できると考えられている.しかし,太陽質量の10倍程度の星の場合,星の輻射が大きいために十分にガスが十分に降着できず,これらの星形成の理論は未確立である.Beltránらは,VLA電波天文台(アメリカ)を用いて,若い星 G24 A1 (距離25000光年,質量は太陽の20倍)とその周りのガス円盤とドーナツ状の輪(トーラス,torus)を観測することにより,星からの輻射が主に軸上に出るために,円盤からのガス降着が可能になり,大質量星の形成が可能になるのではないか,と,非球対称のガス降着モデルを報告した.[M.T.Beltrán et al, Nature 443, 427-429 (28 September 2006)]

星の形成モデルには大きく分けて,トップダウン型(大きなガス雲が重力崩壊して収縮して星になる)とボトムアップ型(小片が周囲のガスを降着させたり,合体して星になる)の2種類がある.昨年11月には,後者のボトムアップモデルでは,典型的な星になるまでの成長時間が十分ではない,とする数値シミュレーション結果の報告[M.R. Krumholz et al, Nature 438, 332-334 (17 November 2005)]がPhysicsWeb 2005/11/16に紹介されている.

Doughnuts cause stars to gain weight 2006/9/28 PhysicsWeb
How do stars form? 2005/11/16 PhysicsWeb