【基礎物理】原子番号118の元素の発見報道再び

米カリフォルニア州のLawrence Livermore国立研究所とロシアのJoint Institute for Nuclear Research(合同原子核研究所)が,これまでで最も重い原子番号118の元素の合成に成功したと 論文発表した.( Y. T. Oganessian et al, Phys Rev C 74 044602

研究チームは昨年、原子番号20の「カルシウムCa」を高速で飛ばして、原子番号98の「カリフォルニウムCf」に衝突させた。その結果、原子番号118の元素が確認され、存在時間は約1ミリ秒だったという.研究チームはこの実験で、原子番号118の元素のほか、原子番号113〜116の新しい元素が作られたとしている。

原子番号92のウラニウムUより重い元素は自然界には存在せず, 超重原子核(super-heavy nuclei)とも呼ばれ,加速器で合成することにより瞬間的に生成される. 理化学研究所が原子番号113の元素を合成(2004年)した記事は,当サイトでも話題にした(2004/9/29)が,まだ命名は正式には決まっていないようである.

1999年にLawrence Berkeley研究所が創り出したと発表した原子番号118の元素だが, この発表は2002年にデータのねつ造であったことが判明している。 この時の研究者3人が、今回の新たにデータを 発表した研究チームに所属している。今回も,研究成果の検証には数年かかるとされており, 最も重い元素が本当に創り出されたかどうかの判断は、かなり先になるだろう,とCNNは報道している.

Y. T. Oganessian et al, Phys Rev C 74 044602
10/15 cnn.co.jp 米ロ科学者、最も重い元素「原子番号118」を創出と
10/19 PhysicsWeb, Researchers discover element 118