【宇宙物理】太陽の立体観測を行う衛星STEREO打ち上げ

太陽観測衛星STEREO(Solar TErrestrial RElations Observatory)2基が, NASAにより,25日,打ち上げられた. STEREOは今後,月のスウィングバイを利用して,それぞれ違う太陽周回軌道へ投入され, 太陽フレア,太陽風,コロナ質量放出(CMEs:Coronal Mass Ejections)などを初めて 立体的(3D)に捉える.

太陽は赤道面の回転が極周辺よりも速いことにより,太陽磁場が絡まり,磁力線の再結合などの 効果でCME現象が発生する.CMEで発生した大量のプラズマは,時速100万Km程度で地球に 到達する.地球の磁気圏を歪めることにより高エネルギー粒子が発生し人口衛星の電気機器を破壊したり, 磁気圏に沿って強い電流を発生させることで人工衛星や地上の発電設備にダメージを与えることもある.

これまでの太陽観測衛星は2次元でしか太陽を観測できなかったため,太陽フレアの 放出方向などを予測することは難しかった. 現在のNASAのACE衛星 (Advanced Composition Explorer) では, 太陽風による地磁気の乱れを発生の1時間前に予測することができるが, STEREOが稼働することにより,予測は2日前に可能になるという.

NASA STEREO mission
10/26 PhysicsWeb, 3D solar satellites blast off