ブラックホールを表す座標系で，ホライズンを貫いて表示するクルスカル-セケレス（Kruskal-Szekeres）座標の名前で有名な，Martin Kruskal氏が亡くなった，という23日に回覧されたMacCallum氏のgravity newsで，Charles Misner氏のメールが掲載された．81歳だった．Richard Courantの学生としてNew York大学で学位を取り，数学者として漸近解析やソリトン・超越数などの業績で知られている．ソリトンの性質を表した論文（N.J. Zabusky and M.D. Kruskal, Interaction of 'Solitons' in a Collisionless Plasma and the Recurrence of Initial States. Phys Rev Lett 15, (1965) 240）は，とても有名である．
意外なことに，Misner氏の解説によれば，Kruskal氏は一般相対性理論に関する論文は執筆していないという．有名なクルスカル座標の論文(Phys. Rev. 119, 1743-1745 (1960))は，著者名こそ M.D. Kruskal だが，確かめてみると，脚注には，「This work was reported in abbreviated form by J. A. Wheeler on behalf of the author at the Royaumont Conference on Relativistic Theories of Gravitation, June, 1959).」と書かれていた．
Wikipediaによれば，彼の母親は，テレビ放送初期の頃，折り紙の解説者として有名だったという．
