1987Aは,超新星が可視光で観測される3時間前に,爆発に伴うニュートリノバーストが,日本のカミオカンデ、アメリカ合衆国オハイオ州にあるIMB、ロシアのBaksanの各ニュートリノ観測施設で観測された. カミオカンデでは11個、IMBでは8個、Baksanでは5個の検出があり,ニュートリノバーストは少なくとも 13秒間続いた.当初,素粒子論で予言された陽子崩壊を観測するために建造されたカミオカンデは,ニュートリノ観測も可能なように改良された直後であり,プロジェクトを率いた東京大学・小柴昌俊氏の定年引退直前のことであった. 超新星爆発の理論モデルでは爆発のエネルギーの大部分がニュートリノとして放出されると考えられていて,この観測ではそれを裏付ける結果となり,ニュートリノの飛来数や10秒間の分布なども,予想されていた理論通りだった.小柴氏は,ニュートリノ天文学の創始として2002年にノーベル物理学賞を受賞した.
1987Aは,その後数ヶ月間にわたって残光を見せた.元の星は, 太陽の20倍ほどの青色超巨星であることが分かっている. また爆発後には超新星残骸として三重リング構造を持つ星雲状の天体が観測されている.
*超新星とは,恒星が燃え尽きる最後の瞬間に引き起こす爆発である. よく知られる超新星は,
名称 | 最大光度 | ||
SN 1006 | I型 | 1006年 おおかみ座 | - 9等 |
SN 1054 | II型? | 1054年 おうし座(現かに星雲) | - 6等 |
SN 1181 | II型 | 1181年 カシオペア座 | 0等 |
SN 1572 | I型 | 1572年 カシオペア座 (チコの星) | - 4等 |
SN 1604 | I型 | 1604年 へびつかい座 (ケプラーの星) | - 2.5等 |
SN 1987A | II型 | 1987年 大マゼラン星雲 | +2.9等 |
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