【惑星物理】「生命存在可能領域」の太陽系外惑星発見

ヨーロッパ南天天文台(ESO)は,25日,これまでに見つかった太陽系外惑星の中で「最も地球に似た惑星」を見つけた,と発表した.この惑星は表面温度は0度から40度であることから,液体の水が存在できるハビタブルゾーン(habitable zone)にある.さらに,この惑星は地球型(岩石型)の可能性が高いと報告された.このような「生命存在可能領域」にある太陽系外惑星の発見報告は初めてである.

この惑星は,てんびん座の方向,20.5光年の距離にある Gliese (グリーズ) 581という恒星(赤色矮星)のまわりを約13日周期で公転している.惑星の質量は地球の5倍程度,太陽となる赤色矮星の質量は太陽の3分の1 ほど.この恒星のまわりには少なくとも3つの惑星が存在していて,他の2つは海王星程度の質量と地球質量の8倍程度と見積もられている.今回報告された惑星はGliese 581 c と命名された.公転半径は,地球と太陽との距離の 1/14 しかないが,赤色矮星の温度が太陽よりずっと低いため,水が液体で存在できる適温が保たれている.

太陽系外の惑星 (系外惑星, extrasolar planet) は,1995年以来,次々と発見され,その数も220を超えている.( The Extrasolar Planets EncyclopaediaKnown Planetary Systems).しかし,発見手法が主に視線速度法(ドップラー法)によるため,大きな惑星ほどとらえやすいという性質があり,これまで発見された系外惑星は,木星のようなガスが主成分の巨大惑星がほとんどだった. 今回の惑星が岩石型と期待されているのは質量の大きさが地球の5倍程度であることが理由である.

2007/4/25   ヨーロッパ南天天文台 ESO 22/07 - Science Release  Astronomers Find First Earth-like Planet in Habitable Zone
2007/4/26 国立天文台AstroTopics ハビタブル・ゾーンにある地球型の系外惑星,発見か?
2007/4/25 NASA JPL Planet Quest Astronomers discover 1st potentially habitable planet
2007/4/25 朝日新聞 「最も地球に似た惑星」欧州の天文台発見 表面に岩や海