【科学政策】ポスドク,すでに15000人

文部科学省・科学技術政策研究所が,調査した 大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況によると,平成17年度のポスドク(ポストドクター)が 15,496人である(平成16年度は14,854人,4.3%増) と発表された.

ここでのポスドクの定義は,「大学・公的研究機関等で研究活動に従事する研究者等のうち,競争的資金等の外部資金,運営費交付金や自己財源により一定期間採用され,当該研究機関において研究活動に従事する者」であり,無職のポスドクは含まれていない.また,のべ人数は,1232の大学や研究機関に対して調査票を送付し,うち921機関から回答が得られた(回収率75%,国立大学法人は回収率100%,独立行政法人は70%)ものの合計である.

ポスドクに関して,次のデータが紹介されている.

  • のべ人数は,15,496人.(平成16年度は14,854人) . 国立大が7196人で最も多く,次いで理化学研究所など独立行政法人が5371人,私立大が1574人など.
  • 競争的資金等の外部資金(47%)による雇用が最も多く,次いで,運営費交付金等の内部資金による雇用が全体の30%を占める.
  • 理学 (31%)および工学分野(30%)の占める割合が高い.
  • 年齢別では,30歳未満が26%,30〜34歳 が46%,40歳以上が10%
  • 女性の割合は21%であるが,40歳以上では27%と高まる.
  • 外国人比率は24%.
博士課程在籍者に対する経済的支援の状況
  • のべ人数は,36,154人.(平成16年度は 32,445人)
  • 運営費交付金等の内部資金(59%)による支援が最も多い.
  • 博士課程在籍者で,1ヶ月あたり1財源からの支給額が10万円未満のケースは,全体の74%.
  • 財源別に支給額をみると,運営費交付金・その他の財源による支給は,1ヶ月あたり10万円未満のケースが89%と多く,他の財源よりも支給額が低い.
  • 外国人比率は22%.

今回の報告書は,調査結果だけであり,今後の政策についてのコメントはない.『はじめに』の箇所でわずかに

今後の我が国の科学技術の発展や国際競争力の維持・強化のためには,創造的・独創的な科学技術人材の養成・確保を図ることが重要である.このため,第1期,第2期科学技術基本計画の下,ポストドクター等支援施策を通じた若手研究者層の拡充が行なわれるとともに,優れた若手研究者がその能力を最大限発揮できるような研究環境の整備が図られてきた.これら支援施策の実施により,ポストドクター等若手研究者は確実に増加し,我が国の研究活動の展開に大きく寄与している.
その一方で,ポストドクター後のキャリアパスが不透明であるといった指摘もなされている.このため,第3期科学技術基本計画においては,「ポストドクターを自立して研究が行える若手研究者の前段階と位置付け,若手研究者の採用過程の透明化や自立支援を推進する」と同時に,「ポストドクターに対するアカデミックな研究職以外の進路も含めたキャリアサポートを推進する」ことが提言されている.
と述べられているだけだ.

ポスドク生活の長かった私としては,後輩の諸君の健闘を祈るしかない.