【受賞報道】ディラック・メダル チャームクォーク提唱者へ

Abdus Salam ICTP 国際理論物理学センター(イタリア,1993年創設)は,今年のDirac medal受賞者を, Jean Iliopoulos (Ecole Normale高等研究所 in Paris) と Luciano Maiani(Roma大学)の2人に贈る,と発表した.受賞理由は,「チャーム・クォークの物理と現代素粒子理論の標準理論への貢献(for their work on the physics of the charm quark, a major contribution to the birth of the Standard Model, the modern theory of Elementary Particles)」.

チャーム・クォークの予言は,1970年で,2人は,すでにノーベル賞を受賞したSheldon Glashowと3人で, “GIM メカニズム”と呼ばれる弱い相互作用を説明する仕組みを発表した.この理論は,1974年にBrookhavenとStanfordの加速器で J/Ψ 粒子が 発見されたことで確認された.これは,クォークの存在を初めて示す実験事実でもあった.

ディラック・メダルは,物理学者P.A.M. Diracを記念して1985年から始められたもので,理論物理/数学に顕著な貢献を行った者に対して,毎年,1または2の個人を選んでいる.規定により,ノーベル賞・ウルフ賞・フィールズ賞受賞者は授賞対象外となる.副賞賞金は,5000ドル(約60万円).これまでの受賞者リストは, ここ(official)ここ(当サイト)へ.

PhysicsWorld 2007/8/8 Dirac medal honours charm-quark physicists