【基礎物理】原子番号112番 認定される

1996年にドイツ・重イオン科学研究所(GSI, Centre for Heavy Ion Research)が合成した 112個の陽子を有する元素は, 追試が難しく国際的に認定が遅れていた. 2004年に理化学研究所が合成に成功し,このたび, International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC,国際純正・応用化学連合) International Union of Physics (IUPAC,国際純正・応用物理連合) が正式な認定を下した.ドイツのGSIに命名権を依頼され,近いうちに元素が1つ増えることになる. GSIは,107番から111番までを命名することになった.

93番元素のネプツニウム(Np)以上の元素は原子核反応によって人工的に合成されている. 元素の数が増えるのは、2004年のレントゲニウム(原子番号111番)の認定以来. 113番以降は,日本の理化学研究所も合成を競い合っているが,命名権が与えられるかどうかは未だ不明である.

ちなみに,発見されてから命名されるまで,通称として 番号のラテン語読みが使われる. 112番は,“one one two”の意味であるUnunbiumと呼ばれている. (IUPAC 元素名一覧

原子番号略記号と正式名由来発見年
107 Bh - Bohrium
ボーアリウム
物理学者 Niels Bohr1976
108 Hs - Hassium
ハッシウム
GSI所在地 Hesse州1983 GSI発見
109 Mt - Meitnerium
マイトネリウム
物理学者 Lise Meitner1982 GSI発見
110 Ds - Darmstadtium
ダルムスタチウム
GSI所在地 Darmstadt市1987 GSI発見
111 Rg - Roentgenium
レントゲニウム
物理学者 Wilhelm Roentgen1994 GSI発見
112 (Uub) 現在の通称名はUnunbium1996 GSI発見
113 (Uut) 現在の通称名はUnuntrium 2004 米露合同チーム発見
2004 理化学研究所発見
114 (Uuq) 現在の通称名はUnunquadium1999 理化学研究所・露フレロフ研究所共同発見
115 (Uup) 現在の通称名はUnunpentium
116 (Uuh) 現在の通称名はUnunhexium
118 (Uuo) 現在の通称名はUnunoctium

2003/10/17 当サイト 「元素記号の命名過程」
2009/6/11 PhysicsWeb "Name that element"

(2009/8/25 追記) GSI研究所は,112番の元素名をコペルニクスにちなんで「コペルニシウム」と提案した,と朝日新聞が報道した.

2009/08/24 朝日新聞