米軍が運営する全地球測位システム(GPS)が,老朽化したGPS衛星を更新する衛星の開発の遅れにより,
2013年までの新システムへの移行が間に合わず,2011年以降精度劣化で障害を発生させる可能性がある,と朝日新聞が24日に報じた.
2009/08/24 朝日新聞 「GPS 精度低下の恐れ 来年以降、米の衛星更新遅れ」
2009/08/24 朝日新聞 「GPS 精度低下の恐れ 来年以降、米の衛星更新遅れ」
ニュース源は,米議会の行政監察院(Government Accountability Office:GAO)の報告書ということだが,おそらく4月30日にまとめられた
http://www.gao.gov/new.items/d09325.pdf
のことだと思われる.
GPSは,地球全体を高度2万キロに多数の衛星でカバーして,地上のどこからでも同時に4基からの電波信号を受信できるようにするシステムである.そのためには,24基以上が適正に配置されている必要があり,その状態を95%以上維持することが米政府の公約である.現在30基の衛星が運用中である.
報告書によると,2009年から2013年まで58億ドルを投じてGPS衛星システムの更新を米国空軍が担当しているが,技術的問題・予算の大幅な超過により,すでに予定より3年遅れの計画となっている. GAOは次世代衛星の打ち上げ開始が2年遅れると想定して検討した結果,24基を確保できる指数は来年から適正運用の最低ラインである95%を割り込み,2018年には10%にまで落ち込むと予測した.
現在GPSは,軍事利用の他,車・飛行機・船舶の航行に欠かせないシステムとして世界的に使われており, 測量や防災目的の地殻変動観測にも利用され,日常生活にも影響が出る恐れがある.
各国では独自のシステムを開発・運用している.
- ロシア:ロシア衛星測位システム(GLONASS:Global Navigation Satellite System )
24基の衛星で運用中.2009年に第3世代への移行を推進中. (Wiki.jp) - 中国:北斗衛星ナビゲーションシステム(Compass Navigation Satellite System)
約30基の衛星で地球全体をカバーする計画.2015年運用開始予定. (2007/06/23 読売新聞, 2009/01/19 人民網日本語版) - 欧州:ガリレオ(Galileo positioning system)
30基の人工衛星を打ち上げ,2013年運用開始の計画. (Wiki) - 日本:準天頂衛星
GPSの精度向上のため衛星3基を打ち上げる計画. 1基目を2010年度に打ち上げる予定.