【基礎物理】Belle実験,超対称理論をサポートか?

筑波にある高エネルギー加速器研究機構(KEK) で,電子陽電子衝突型加速器(KEKB)を使って実験を行っている Belle(ベル)実験グループは,素粒子の標準理論ではなく, 超対称理論(SUSY, supersymmetry)の方に合致するデータを得た,と発表した.

行った実験は,B中間子がレプトン対を放出しながらK*中間子(K中間子の励起状態)などに 崩壊する過程で,示されたデータは,K*中間子の方向に対する正荷電レプトンの方向の 前後方非対称度.データの蓄積ではじめて解析が可能になった. この崩壊の過程では,ZボゾンやWボゾンと呼ばれる重い粒子が 一瞬だけ生成されることが知られているが, その際,標準理論を超える未知の新粒子が生成されることも指摘されていた. 測定値は,素粒子の標準理論ではなく,超対称理論の方に近い値を示しており, この差異から,ZやWボゾン以外の未知の粒子が生成されたことも考えられ得るという.

これまで,Bファクトリー実験は,B中間子の崩壊実験から,

  • CP対称性の破れの発見と小林・益川理論の検証
  • B中間子の新しい崩壊様式やD中間子混合現象の発見
  • 新しい共鳴粒子の発見
などを報告している.

超対称理論は,ボソン粒子とフェルミオン粒子の入れ替え対称性を含めた理論であるが, 未だに直接的な実験事実によってサポートされているものではない.

2009/08/22 KEK プレスリリース
wikipedia 超対称性