【緊急】放射線測定結果のウェブサイト

3月11日に発生した東北関東大震災で被災した原子力発電所からの放射線漏れ/放射線汚染が懸念されています. 物理系のメーリングリストなどで伝えられたウェブサイトをまとめました. 個人的な努力で公開されているグラフのサイトもあります.
3月18日uploaded
3月22日updated

目次  基礎知識 | 放射線測定結果のウェブサイト | シーベルトの単位について | ベクレルの単位について | 原子炉の安全性 | その他

基礎知識
  • 福島第1原子力発電所からの放射線漏れが懸念されています.人間が放射線を多量に浴びると,細胞や遺伝子が傷つき,組織や臓器の働きが悪くなるなどさまざまな病気の原因になります.特に新しい細胞をつくるために分裂を繰り返す,皮膚や消化粘膜・骨髄の細胞への影響が大きいとされています.
  • 自然界には,ある程度の放射線が存在しており,健康診断のレントゲンなどでも放射線を浴びています.通常よりどれだけ多くの放射線量になっているのか,が問題です.
  • 一度に100 ミリシーベルトの放射線を浴びると危険となる場合があります.数回にわけて,あるいは微量を蓄積して 100 ミリシーベルトの放射線を浴びた場合はそれより危険度が低くなるそうです(具体的な数値は研究中だとか).
  • 放射線は風などで運ばれます.ですから,単純に距離があれば安全というわけではないようです.逆に西から風が吹くことの多い日本では,福島の原子力発電所から放出された放射線は,多くが太平洋に拡散していくようです.(以下の放射線拡散シミュレーションのリンク参照)
  • 被曝には2種類あり,「浴びる」場合が外部被曝.放射線を浴びたものを摂取した場合が内部被曝です. 外部被曝は放射性物質を洗い流せばよい.放射線物質を吸い込まないように,濡らしたマスクをするのも良いとされています.内部被曝は医療機関で放射性物質を体外に出す薬(キレート剤)を処方してもらうことになります.人体に取り込まれた放射性のヨウ素は甲状腺がんを引き起こす恐れがあります.海草類を多く摂取すれば甲状腺がんの予防になると言われています.ヨウ素の入ったうがい薬を飲用してはいけません.

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放射線測定結果のウェブサイト
  • 文部科学省
    モニタリングカーを用いた福島第1発電所及び第2発電所周辺の空間線量率の測定結果
    http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303726.htm
  • 文部科学省
    都道府県別環境放射能水準調査結果
    http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm
    pdfにはデータの他,ちょっとした解説図もあります.
  • 上記データをグラフ化したもの
    http://atmc.jp/
    どなたかが,手作業で随時グラフ化されているようです.
  • 東京電力
    プレスリリース 2011年
    http://www.tepco.co.jp/cc/press/
    福島第一原子力発電所モニタリングカーによる計測状況は,文部科学省と同じデータ.
  • 茨城県東部 放射線モニターデータ解析     福島第一原子力発電所から100km付近
    http://ag.riken.jp/u/mon/anim.html
    放射線モニタの値が遷移していく様子を理研の方が可視化したもの.東海村近辺に限られるので, 直接役には立ちませんが,伝播していく雰囲気をつかむことはできます.
  • 日本原子力研究機構 東海研究開発センター   福島第一原子力発電所から110km
    環境放射線モニタリング情報
    http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/kankyo/realtime/map_10m.html
    グレイ(Gy)という単位が使われていますが,ガンマ線だとシーベルト(Sv)と同じです.
  • つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)  福島第一原子力発電所から165km
    KEKにおける環境放射線の測定結果について
    http://www.kek.jp/quake/radmonitor/index.html
    つくば(KEK)の放射線線量
    http://rcwww.kek.jp/norm/
  • 埼玉県和光市 理化学研究所           福島第一原子力発電所から225km
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月22日 17:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月22日 9:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月21日 12:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月20日 12:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月19日 12:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月18日 17:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月18日 9:00現在) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月17日) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月16日) pdf
    放射線モニタリングポストによる、線量の測定(3月15日) pdf

  • 福島第一原子力発電所からの距離を記した東日本広域地図
    http://blog-imgs-12.fc2.com/h/o/u/houdou55/cd7cbf96.jpg

  • 仏放射線防護原子力安全研究所(IRSN)放射能拡散シミュレーションを公表 NEW
    http://bit.ly/g4574k
    元のデータは,19日発売のアエラ誌で暴露されている,気象庁のスーパーコンピュータによるシミュレーションデータと思われる. (気象庁は IAEA に1日2回のデータを送るように要請されて15日夜までのデータを10回分 IAEA に送付したとのこと). 福島から放射性物質が拡散する様子を濃度別のエリアが動く様子を示している.

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シーベルトの単位について(外部被曝について)
シーベルト (Sievert, Sv) は、生体への被曝の大きさの単位で, 放射線防護の研究で功績のあった物理学者シーベルト(1896-1966,スウェーデン)にちなむ.

自然界から通常受けている放射線量は,1人あたり世界平均で年間 2.4ミリシーベルト(2.4ミリSv=2400マイクロSv). つくばのKEKでは,通常は,この半分以下とのことです.
場所により,年間で 1.0 - 7.0 ミリSv(1000-7000 マイクロSv)とのこと.
京都大阪では,3月17日,1時間あたり,0.04 マイクロSvです.

自然界から受ける放射線量          2.4 ミリSv = 2400 マイクロSv  / 1年 (世界平均)
                                          =    0.27 マイクロSv  / 1時間
CT検査の際に受ける線量          6.9 ミリSv = 6900 マイクロSv  / 1回
胃のX線検査で受ける線量          0.6 ミリSv =  600 マイクロSv  / 1回
胸のX線検査で受ける線量          0.05ミリSv =   50 マイクロSv  / 1回
東京とニューヨークを航空機で往復   0.2 ミリSv =  200 マイクロSv  / 1往復

放射線を短期間に全身被曝した場合の致死線量は、
  5%致死線量 2 Sv = 2000 ミリSv = 2000000 マイクロSv
 50%致死線量 4 Sv = 4000 ミリSv = 4000000 マイクロSv
 100%致死線量 7 Sv = 7000 ミリSv = 7000000 マイクロSv
と言われているそうです.

許容放射線量は,
 自衛隊・消防・警察     50  ミリSv = 50000 マイクロSv /年
 (一般の人の)避難     50  ミリSv = 50000 マイクロSv (総量)
 (一般の人の)屋内待避   10  ミリSv = 10000 マイクロSv (総量)
 緊急事態宣言              0.5 ミリSv =   500 マイクロSv /時
気をつけなければならないのは,被曝量は総量が問題になるということです. 報道などでは「マイクロSv/時」の「/時」の部分を全く考慮しないで説明している場合があります. 原発から30km地点(一部)で、一時 100マイクロSv/時 という値が計測されたそうですが, これを 「胃のX線検査に比べて6分の1しかありません」と説明しているものがありました. しかし,もし この値で 24時間被曝したら 2400 マイクロSvで,レントゲン4枚分です. 5日間では 10ミリSv を超えることになります.


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ベクレルの単位について(内部被曝について)
ベクレル (becquerel, 記号: Bq) は,放射能の量を表す単位. 1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1ベクレル. ウランの放射能を発見した物理学者ベクレル(1852-1908,フランス)にちなむ.

ベクレルの単位は,核種の半減期と存在量と決まる. 例えば,ラジウム226の半減期は1600年であり,1秒間では原子核1個あたり約1.37×10^{-11}個の原子核が崩壊している.1g あたりのラジウム226では 約2.66×10^{21}個の原子核が存在するので,1gのラジウム226の放射能の量は約3.64×10^{10}ベクレルとなる.この値は半減期が過ぎれば半分になる.

ベクレルは,放射線の強さ(エネルギー)ではない.強さの単位は,グレイ(Gy).人体に与える被曝量の単位は,シーベルト(Sv)である.両者の単位には 換算公式がある.詳しくは ここには、I-131, Cs-137, U-235 などの放射性核種(H-3 からCf-252 まで) ごとに,実効線量(mSv)と線源となる放射能(kBq)との換算公式が, 放射線源の geometry、すなわち点状、線状、面状=土壌汚染、皮膚汚染、 吸入、空気中の放射性核種濃度、経口摂取、等々ごとに評価されている.


放射性ヨウ素の暫定基準値(1年間ずっと食べ続けた時に,健康に影響があると考えられる量)
 ホウレンソウ  2000ベクレル/kg = 0.044ミリSv
 原乳        300ベクレル/kg = 0.0066ミリSv

この項,追記する予定です.

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