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サイエンス不定期日記

サイエンス不定期日記,真面目 不真面目 両方.あくまでも個人の視点から.
マスコミで取り上げられたニュースなどは別のページに.



date contents links

2003/12/18 Natureの選ぶ2003年「Good bye」

Natureの今年最終号の,2003年を振り返る特集がオンラインで無料で読めるが,その中の 「Good bye」特集には次のものが書かれていた.

  • Edward Teller (水爆の父),9月に逝去(当サイト既報
  • 惑星探査機Galileo,燃料切れのため,木星に突入して使命終了.(当サイト既報
  • クローン羊のDolly,6歳で死去.肺病.
  • 日本の人工衛星.環境調査衛星「みどり2号」が太陽フレアの影響で10か月で終了.スパイ衛星が打ち上げ後10分で自爆.火星探査機「のぞみ」制御不能に.(当サイト既報
  • チンパンジーやゴリラが過去20年間で半数に.今後も狩猟やエボラ熱が続けばあと10年で絶滅の恐れ.地球温暖化で海洋生物も危機に. 絶滅に瀕している植物や動物は12,000種以上になるという.
Nature 426 , 757 (18 December 2003)
2003/12/3 物理のジョーク大賞発表

物理と物理学者に関するジョークを募集したイギリス物理学会誌が,その大賞を発表した. 所詮,イギリスジョークなので,お笑い度は保証できないのだが,....例えば...

  • "I think I've lost an electron!" says one.
    "Are you sure?" replies the other.
    "I'm positive!"
  • "What's new?"
    "E over h."(newと¥nuをかけた洒落)
  • 「人生は妻を持つのがいい」「いや,ガールフレンドを持つ方がいい」 ...意見を聞かれた 物理学者は「両方持つのがいい.妻は僕がガールフレンドと一緒だと思い, ガールフレンドは僕が妻と一緒だと思うだろうが,その間,僕は実験に 没頭できる」
有名な「まず球対称の牛から考えよう」も当然登場している.ちゃんちゃん.
12/3 Physics Web
2003/11/13 火星観測週間のホームページがWeb of the Year(話題部門)にノミネート

「火星観測週間」のホームページが、 Yahoo の Web of the Year(2003/話題部門)に, 火星観測週間/マーズウィークのホームページが ノミネートされたという.このページは, 兵庫県立西はりま天文台に事務局がおかれた情報提供組織委員会が 日本天文学会や国立天文台、宇宙科学研究所等が後援で作成していた. 投票が11月23日まで行われ,年末にWeb of the Yearが発表される.

天文学会メーリングリストtennet 3075
Yahoo! Internet Web of 2003
2003/10/10 イグノーベル賞

 巷ではノーベル賞が発表されたが,今回紹介するのは,「Ig Nobel」賞.ノーベル賞のパロディーだが, いたって真面目に選考されており,ある意味,名誉ある賞であると言えよう. (言うまでもなく,ignobleは「不名誉な」の意だが,スペルをNobelに変えている). 賞を選考・授与しているのは,隔月刊誌「Annals of Improbable Research (AIR,疑わしき研究紀要)」他を 精力的に出版している有志の団体 AIRで, メンバーはマサチューセッツ工科大学 MIT の教授・学生である.
 この賞は,一度大笑いを誘い,その後人々を考え込ませてしまうような発明・発見・見解を 行った人に毎年与えられる「とんでも研究大賞」である. 後にも先にも真似できない(あるいは真似をしてはならない)ような業績,という条件があり, 毎年10部門前後,表彰される.(概念については 英語解説あり) 毎年10月Harvard大学ので発表セレモニーがあり, 2003年10月2日には,第13回の受賞者が発表された.
 昨年は,犬語を翻訳する機械「バウリンガル」を開発・発明した 玩具メーカーの株式会社タカラと株式会社インデックス・日本音響研究所が「イグノーベル平和賞」を 共同受賞した ことで話題になったことをご記憶の方も多いだろう. 今年も日本人の受賞者があり, 広瀬幸雄金沢大学教授が「金沢市内の銅像で鳩が近寄らないものの化学的な調査」を 報告した業績で「イグノーベル化学賞」に選ばれている. 結構日本人の受賞も多く,一番大きなものでは 日本の気象庁が「7年間に及ぶ地震とナマズの因果関係の研究」で1994年物理学賞を受賞している.
 昨年度の受賞研究についての日本語解説をされている方がいたので, 勝手にリンク. 今年の受賞タイトルだけ紹介しておくと, 技術賞「いかにマーフィーの法則が間違っているか」, 物理学賞「羊毛刈り時に羊を引き込む時に要する力と床の関係」 医学賞「ロンドンのタクシー運転手はロンドン市民よりも脳の発達が優れている証明」, 文学賞「市民の些細な生活に関するさまざまな統計的解析レポート」, 部門横断賞「鳥肉は美しい人間を好む理論」, 生物学賞「マガモの同性愛屍姦症の初めての科学的な記録」, および,経済学賞「結婚式や会議などを統合することで一国を借り切る制度を可能にしたリヒテンシュタイン公国」 である.
 イグノーベルのセレモニーでは紙飛行機が聴衆から飛ばされて,一分間の受賞者演説が終了する. 私も一度,アメリカの大学で,イグノーベル賞の紹介セミナーを聞いたことがあるが, 普段はまじめな物理学科の教授や学生も,最後に上映された セレモニーのビデオ画面をめがけて,紙飛行機をたくさん投げつけるノリの良さだった.
 今回は思わず筆が進んでしまった.近いうちに,このサイトでもっと詳しい紹介をしようと思うので,乞ご期待.

参考文献

  • The Best of Annals of Improbable Research, by Marc Abrahams (Editor) , W H Freeman & Co. (September 1997), ISBN: 0716730944 《amazon.com》 《Barnes & Noble》 《amazon.co.jp》 《bk1には無し》
  • The Ig Nobel Prizes by Marc Abrahams, Dutton Publisher (September 2003), ISBN: 0525947531 《amazon.com》 《 Barnes & Noble》 《amazon.co.jp》 《bk1には無し》
2003/8/27 アメリカとドイツの重力波観測グループが論文投稿

昨年より本格的な観測を開始した,アメリカとドイツの重力波レーザー干渉計(LIGOとGEO)の,プレプリントが最近相次いで投稿された.今回のデータは2002年8月-9月に17日間かけて行われた同時観測時のもの.

gr-qc/0308043 Detector Description and Performance for the First Coincidence Observations between LIGO and GEO, The LIGO Scientific Collaboration: B. Abbott, et al は,観測機器について詳しく書かれた41ページの論文.
gr-qc/0308050 Setting upper limits on the strength of periodic gravitational waves using the first science data from the GEO600 and LIGO detectors, The LIGO Scientific Collaboration: B.Abbott, et al は,干渉計の同時解析をパルサーJ1939+2134から放出される重力波について結論づけた16ページの論文.(周波数領域,時間領域とも独立な解析により重力波検出なし,との結論で,重力波放出のモデルに関する制限が議論されている).
gr-qc/0308069 Analysis of LIGO data for gravitational waves from binary neutron stars, The LIGO Scientific Collaboration: B.Abbott, et al は,LIGOの3台の干渉計のデータだけを使ったもので,我々の銀河とマゼラン星雲内の連星中性子星からの重力波を観測した論文.(同時検出がない,という事実より,連星中性子星の合体率の上限を議論している). いずれも著者名が2ページ以上に渡って並ぶ,大グループの論文である.

長時間データ取得の面では先行している日本のTAMAグループからは,残念ながら論文投稿の話はまだ聞かないが,Classical and Quantum Gravity誌の9月7日号(20巻17号) は,昨年12月の重力波データ国際会議(京都)のプロシーディングスであり,他のグループの論文も見ることができる.

gr-qc/0308043
gr-qc/0308050
gr-qc/0308069
CQG 20巻17号
2003/8/12 Hawking's big night out

Physics World 2003年8月号p6によれば,HawkingがLondonのナイトクラブ "Stringfellow" に 助手と看護婦二人と訪ね,ご満悦の記念撮影をしたそうだ.Physics Worldにはカラー写真付き. さすがに,http://physicsweb.org/ ではその記事は読めないが,タブロイド紙では, さらに,TIGERというストリッパーに夢中になった(右記リンク)とか....

contactmusic.com
2003/8/7 21世紀COE研究拠点

21世紀COE研究拠点の発表が7月17日にあり,最近,ポスドクCOE研究員の 公募情報が多数アナウンスされるようになった.5年間の期限付き予算,という事情では,短期の人材募集が もっとも手っ取り早く効率的なのかもしれない.ポスドクの過剰問題の解決にも一躍を担うことになるだろう. 日本のポスドク制度のこれまでを振り返っても,プロジェクト名目のポスドクが登場したのはごく最近の ことが,研究環境や方向について合意があれば,すばらしいシステムだと思う.しかし,5年後,各プロジェクトは どうなっているだろうか.組織の存続をかけて,再採択に賭けていることは間違いないだろう.短期雇用の 研究員はどう振舞うのだろうか.

21世紀COEプログラム
H14 (2002)年度選定結果 / H15 (2003)年度選定結果
私のリンク

「来年度もCOE公募」

2003/7/15 なぜノーベル数学賞がないのか

シドニーで開かれた応用数学国際会議で受け取ったプログラムかばんの 中に,New South Wales大学数学科の広告が入っていた.その中に,「There is no Nobel Prize for Mathematics, why not?」というコラムがあり,Nash平衡(1950)はノーベル経済学賞(94)に, Nernst方程式(06)は化学賞(20)に,...という列挙があった.面白かったので続けると, Leontief Input-outputモデル(32)は経済学賞(73),Hodgkin-Huxley方程式(52)は医学賞(63), Feynman経路積分法(49)は物理学賞(65),Onsager関係式(31)は化学賞(68),Black-Scholes方程式(73)は経済学賞(97)となっている.
数学帝国主義を宣言するにはほど遠いかもしれないが,必ずしも数学研究が 目的だったのではないのが含まれているのが悲しいところ.


2003/5/27 Einsteinの論文

 機会があって,Einsteinの相対性理論の原論文を探しに図書室に潜ったら,すぐ見つかった(さすが理研!).相対論を10年以上研究していることになっているが,これまでドイツ語の原論文までは見たことがなかった.
 特殊相対性理論は,[1].引用する論文は一つもなく,論文の主旨もこれ一本で完結する,物理学史的にも希有な論文である.1905年は,Einsteinは光電効果の理論[2]とブラウン運動の理論[3]に関する論文も発表しており,物理学史上奇跡とも言われている年でもある.Annalen der Physik誌は1905年は3巻発行されているが,驚くべきことに,3つの論文は同じ第17巻に掲載されていた.ちなみに投稿された日は[2][3][1]の順で,順に1905年3月18日,5月11日,6月30日と記載されている.
 一般相対性理論は,[4].これも引用している論文は数本しかない.投稿日は1916年3月20日.最後には,真空での球対称静的解を導いた,Schwarzschildの論文[3]をすでに引用している.[5]は1916年1月13日に投稿され,2月3日に出版されている.

[1] A. Einstein, Annalen der Physik (Germany), 17, 891-921 (1905).
[2] A. Einstein, Annalen der Physik (Germany), 17, 132-148 (1905).
[3] A. Einstein, Annalen der Physik (Germany), 17, 549-560 (1905).
[4] A. Einstein, Annalen der Physik (Germany), 49, 769-822 (1916).
[5] K. Schwarzschild, Sitzungsber. d. Preuss. Akad. d. Wiss. (Germany), 7, 189-196 (1916).
2003/4/2 ハイゼンベルグ不確定性原理の再定式化

 仙台の物理学会での,東北大の小沢正直氏の講演は,なかなか斬新なものであった. 量子力学の基礎となっているHeisenbergの不確定性原理に関して,多くの教科書は誤った 記述をしているという.
 もともと光子の位置・運動量の測定実験事実を 説明しようとしてHeisenbergが提案した式は
  (A)   (位置の分解能) x (運動量の擾乱) >= (プランク定数)
というものだったそうだ.ここで分解能とは位置測定の平均誤差, 擾乱とは不連続な変化を表す. こうなるための背後の物理として,Heisenbergは
  (B)   (位置の測定精度) x (運動量の擾乱) >= (プランク定数)/2
が成り立っていると考えた. しかし,Heisenbergが数学的に証明したのは,(A)でも(B)でもなく,
  (C)   (位置の標準偏差) x (運動量の標準偏差) >= (プランク定数)/2
であったのだという.これらは,等価ではない. そもそも(A)は本当なのか? (C)しか証明されていないのに(B)だと解釈するのはおかしいし, (B)だとしても混乱が生じるという.例えば, 極端な場合を考えてみる. 「位置の擾乱がゼロならば,運動量決定誤差は無限大」これは間違いである. (相互作用が何もなくても初期状態の不確定性の精度で測定は可能なはずだ). 「運動量決定誤差がゼロならば,位置の擾乱が無限大」これも間違いである. (測定の数学的モデルが論理中に存在している).

 小沢氏は,測定に関する数学的な定義を導入し,(B)を拡張する,新たな不確定性原理を 導出した.これまでの量子力学では,「状態=密度作用素」「物理量=自己共役作用素」 であったが,これらに「測定=正規化された完全正写像値測度」を定義.よく分からなかったが, 「ある一つだけの物理量を測定したとしても,その他の物理量の測定を含めて確率が正と なることを保証する」概念らしい. 小沢氏が導いたのは,
  (*)   (位置の測定精度) x (運動量の擾乱)
    +   (位置の測定精度) x (運動量の標準偏差)
    +   (位置の標準偏差) x (運動量の測定精度) >= (プランク定数)/2
こうすると,上記の混乱は回避できるそうだ.めでたしめでたし.

quant-ph/0207121
2003/4/1 私はもう呆けましてねぇ

  • ノーベル賞を受賞した小柴さん,2月に東大で開かれた研究会で10分の挨拶の冒頭で 「私はもう呆けましてねぇ」(実話)
  • 京大の某研究所の所長が,定年退官挨拶で,「最近は 7x8ならすぐ出てくるんですが,8x7だとちょっと詰まる」と言ったとか.(未確認情報)
2003/3 命名法のお国柄

 論文を書いていて悩んだことがある.先人の偉業を発展させるときには,何かしら 彼らの名前をつけると説明が早い.その命名法である.
 せっかくだから実名を出してその悩みを書いておこう.Nakamuraという人がいて, 何人かの人と数値計算に適した方程式を導いた. Shibataという人が彼と論文を書いた.著者順は Shibata-Nakamura.その論文が出た当初は,あまり注目されることがなかったが, 彼らの方程式が,今までになく優れているものだ,という論文をBaumgarteとShapiro という人が論文を書いた.数年経つと,この業界は,いつしかこの方程式を BSSN形式と呼ぶようになってしまった.これでいいのだろうか.
 アルファベット順に呼び始めたのはアメリカ人の発想である. Nakamura形式と呼ぶなら上記3人に失礼だし, 日本人としてBSSNと呼ぶのも抵抗がある.私も当事者にお伺いを立てたが, Nakamuraさんは「みんながそう呼ぶようになっているんだから,それでいいんじゃない」 との意見.Shibataさんは難色を示しながらも代案なし.しかたなく,私も BSSNと呼ぶことにした.
 ある国際会議で発表した後,フランス人ふたりが私の所にやってきた.「どうしてお前は 日本人なのに,BSSNなんて呼び方をするのか」.私もこれまでの経緯を話して, 悩んでいたことを伝えると,相手もとりあえず理解はしてくれた.ついでに 「いい代案はないですかねぇ」と振ると,しばらく考えて,彼らは「SNBSでいいん じゃない?」と言い切った.
 理念を持って,我を通せるフランス,見習いたい. 米国への戦争反対決議を巡って書き留めておきたくなった.

2003/2 WMAP衛星のデータ公開に関して

2003年2月11日,宇宙背景輻射を詳細に調べるWMAP (Wilkinson Microwave Anisotropy Probe) 衛星の初年度のデータが公開された. これは,COBE衛星が行った,マイクロ波領域の全天サーベイをより詳細に行うもので, 22GHzから94GHzまでの5バンドのマイクロ波を最低4年観測するというものである. 初年度のデータだけでも,たいへん精度の良い結果が報告され,これまで不定であった 宇宙のパラメータがかなりの精度で決定された.WMAPグループが発表した解析結果では (その他のグループの観測を含めて),現在の宇宙は次のようなものである.

  宇宙年齢     137億年 +- 2億年
 ハッブルパラメタ 72 +- 5
  宇宙の晴れ上がり 38万年後 z-1089 +- 1

  宇宙の平坦性   1.02 +- 0.02
  宇宙の構成物質  バリオン          4.7 +- 0.6 %
                    ダークマター    24   +- 7   %
                    ダークエネルギー  71   +- 7   %
これまで考えられてきた宇宙モデルの中で,宇宙項とcold dark matterを含めたモデル, LCDMモデルが最もよくfitする,という結果である.宇宙はインフレーション期を経験 していることもより確かな事実となってきた. 宇宙の早期再電離の発見や,大角度での2点相関関数の消滅などの新たな謎も報告 されたが,概してこれまでの標準的な宇宙像が認められた形になり,宇宙論研究者は 失業の危機に追い込まれている.
WMAP data release
His comment
2002/11/17 IOP Journal Archive completed

イギリス物理学会(Institute of Physics, IOP)の発行する学術誌の電子化が 完了し,2003年1月1日より,1874年に遡って Proceedings of the Physical Society of London (1874-1967)が読めるように なるそうだ.

http://www.iop.org/journal/
2002/2/19 米国人事に関する噂ページ

 こんなページを見つけた.面白かったので,紹介しよう.米国を中心とした,教授職やポスドク人事に 関する噂ページ!( 宇宙物理編 (2002) (2002) (2001) , 素粒子編
 情報は,読者からの提供,とのことらしいが,複数のofferを受けている人がいたり, 誰が蹴って誰になったかまで追跡している.ここまで集めるとは脱帽もの.残念ながら相対論は分野外. 私は1時間楽しみました. :-)
 これらにリンクされているものとして,他に,「rejectされた手紙に不満を述べる手紙」とか, offerを受けたときの交渉の心得なども参考になる(?).

2002/1/31 ベンジャミンフランクリン賞

米国版ノーベル賞である,「ベンジャミンフランクリン賞」に, 「カーボンナノチューブの発見とその構造解明」の飯島澄男氏(物理部門)と 「青色発光ダイオード開発」の中村修二(工学部門)受賞,との報.あいにくこれまでの 全リストを一覧する方法はまだわからない.ちなみに, 各賞受賞者リストを参照のこと.

2002/1/23 インパクトファクター

Impact factorとは,各学術雑誌に対して,「その雑誌に掲載された論文 がどれだけ他に引用されたか」を算出した数値である.その雑誌の影響力を 測る指標とも言える. citation indexを作り始めた Eugene Gerfieldが創り出したもので,現在でも彼が設立したアメリカの ISI社(Institute for Scientific Information http://www.isinet.com/)の数値が使われている (窪田輝蔵「科学を計る―ガーフィールドとインパクトファクター―」,インターメディカル,1996).

  • より詳しい解説は, http://www.nacos.com/nakanishi/impactfactor.htmに.
  • 問題点の指摘は 山崎茂明氏のセミナーに.
  • 研究ネットにある, 雑誌のインパクトファクターをあげるための“こざかしい”方法
    • 自分の雑誌の引用を奨励する。
    • 掲載論文数を減らして分母を小さくする。これは諸刃の刃で、あまり減らしすぎると、投稿する人自体が減りますし、投稿料が減って収益が悪化します。
    • レビュー記事を増やす。レビュー記事は引用されやすいので、インパクトファクターがあがります。
    • 引用されそうな論文は1月号に載せる。1月号に載ったものと12月号に載ったものでは、次の年に引用される回数はかなり違ってきます。
    • Proceedingは本誌扱いにしない。学会抄録などは引用されない割に件数だけは多いので、本誌扱いにしてカウントされてしまうとインパクトファクターは激減します。
    (注:作者はきちんと「いうまでもありませんが、質の高い論文だけを載せるというのが雑誌のインパクトファクターをあげる正しい方法です.」と書いています.念のため)
(2003/4/15追記) あまり、こういう統計に一喜一憂するのも、意味があるとは思えないが、 日本の論文の引用動向 1992-2002 日本の研究機関ランキング (2003/6/3 追記) 論文の被引用回数による評価への批判記事,批判投稿がNatureに.
Nature 422 259-261; 2003
Nature 423 479-480; 2003
ISI Japan / 国内大学別 (91-98) / in-cites.com (月刊レビュー) / isihighlycited.com (検索)
2001/12/4 「最も引用された論文」?

Physics World 12月号が, The topcited theory authors in the SPIRES-HEP databaseをベースにした記事を 掲載している.

2001/8/31 「物理学上の歴史的重要論文」?

> 理研図書館では、電子図書館化の一環として「科学上の歴史的重要論文」を
> 自由に閲覧できるホームページの開設を計画しています。
> そこで、以下の例の他に「物理学上の歴史的重要論文」の推薦がありましたら
> 教えていただけませんでしょうか。書誌情報もよろしくお願いします。
との依頼があったので,次のものをlist upしてみた.この種の議論は,みんなでわいわいやるのが いいとは思うが,とりあえず,今日気がついたものだけ.(まだまだ不完全なのは十分承知)
 基本的には ノーベル物理学賞 受賞論文がすべて入っていると良いとは思うが,それでは,ちょいと迎合しすぎて政府系研究機関がするには ちょいといかんか.以下思いつくまま...

宇宙物理(必須)
 Hubble 宇宙膨張の発見
 ----論文タイトル不明
   Hubble, 論文不明
 Fermi 宇宙線加速メカニズムの理論
 ----論文タイトル不明
   E. Fermi, Phys Rev. 75 (1949) 1169.
 Penzias-Wilson 宇宙背景輻射の発見
 ----A measurement of excess antenna temperature at 4080 Mc/s
   A.A.Penzias and R.W.Wilson, Astrophys J. 142 (1965) 419-421
 Hewish-Bell-Pilkington パルサーの発見 (1974 Hewishのみノーベル物理学賞)
 ----Observation of a rapidly pulsating radio source
   A. Hewish, S.J. Bell, and J.D.H. Pilkington, Nature 217 (1968) 709
 Hulse-Taylor 連星パルサーの発見 (1993ノーベル物理学賞)
 ----Discovery of a pulsar in a binary system
   R.A.Hulse and J.H. Taylor, Astrophys. J. Lett. 195 (1975) L51-53
 Guth Sato インフレーション宇宙パラダイムの提唱
 ----Inflationary Universe: A possible solution to the horizon and flatness problems
   A.H. Guth, Phys. Rev. D23(1981)  347-356
 ----論文タイトル不明
   K. Sato, Mon. Not. Royal Astron. Soc., 195(1981)  467
 COBE group 宇宙背景輻射の非一様性の発見
 ----論文タイトル不明
   G.F. Smoot et al, Astrophys J. 396 (1992) L1.

宇宙物理(次点)
 Pacynskii MACHO dark matter観測方法の提案
 ----論文タイトル不明
   B. Paczynskii, Astrophys J. 304 (1984) 1.
 Klebesadel etal gamma線バーストの発見
 ----論文タイトル不明
   R.W.Klebesadel, I.B. Strong, and R.A. Olson, Astrophys. J 182(1973) L85.

一般相対論(必須)
 Einstein 一般相対性理論の英語版原論文
 ----The Foundation of the General Theory of Relativity
   A.Einstein, Ann. Physik 49 (1916) 769-822
 Chandrasekhar 電子縮退星の質量の上限 (1983ノーベル物理学賞)
 ----The maximum mass of ideal white dwarfs
   S.Chandrasekhar, Astrophys. J. 74 (1931) 81 - 2 .
 ----The highly collapsed configurations of a stellar mass' (second paper),
      S.Chandrasekhar, Mon. Not. Roy. Astron. Soc., 95 (1935) 207 - 25
 Oppenheimer コンパクト天体への一般相対性理論応用,重力崩壊の予言
 ----On massive neutron core
   J.R. Oppenheimer and G.M. Volkoff, Phys. Rev. 55 (1939) 374
 ----On continued gravitational contraction
   J.R. Oppenheimer and H. Snyder, Phys. Rev. 56 (1939) 455
 Hawking-Penrose 特異点定理
 ----論文タイトル不明
   S.W. Hawking and R. Penrose, Proc. Roy. Soc. (Lond.) A 314 (1970) 529
 ----Gravitational Collapse: the Role of General Relativity
      R. Penrose, Riv. del Nuovo Cimento 1 (1969) 252-276

一般相対論(次点)
 Ashtekar 非摂動論的量子重力研究への突破口となる変数の提案
 ----論文タイトル不明
   A. Ashtekar, Phys. Rev. Lett. 57 (1986) 2244

素粒子論
 Pauli (1925-26) 排他律,Fermi-Dirac統計
 Chadwick 中性子の発見 1932
 Fermi ベータ崩壊の理論1934
 Yukawa 中間子論1935
 Feynman
 Kobayashi-Mazkawa

ちなみにlist upされていたのは,
プランクの公式
 ----黒体輻射の法則の基礎について
   Planck M, Annalen der Physik (4),37,642-656,(1912)
ゾンマーフェルトの量子化
 ----Zur Quantentheoie der Specktrallinien
   Sommerfeld A, Annalen der Physik (4) 51, 1-94,125-167 (1916)
特殊相対性理論
 ----Zur Elektrodynamik bewegter Koerper
      Einstein A, Annalen der Physik, 4, Folge, Bd. 17,891-921 (1905)
マックスウェル分布
 ----Illustratios of the Dynamicsl Theory of Gases
      Maxwell JC, Philosophical Magagine for January and July,(1860)
ボルツマン方程式、S=kLogW
 ----気体分子間の熱平衡についてのさらに進んだ研究
      Boltzmann L, Wiener Berichte, 63,275-370 (1872)
X線の発見
 ----新しい型の放射線についてI,II
      Roentgen WC, Annalen der Physik, 64, 1-11;12-17 (1898)
電子の発見
 ----陰極線
      Thomson JJ, Philosophical Magagine (5), 44,293-316(1897)
ラザフォード散乱 
 ----物質によるα粒子とβ粒子の散乱と原子の構造
      Rutherford E, Philosophical Magazine, Series 6, 21, 669-688 (1911)
原子の長岡モデル
 ----線および帯スペクトルと放射能現象を示す粒子系の運動
      Nagaoka H, Philosophical Magazine,[6],7,445-455,(1904)
ドルーデモデル
 ----金属の電子論
      Drude P, Annalen der Physik, 1, 566-613(1900); Ibid. 3,369-402(1900)
Curie温度など磁性
 ----収集の温度における物体の磁気的性質
      Curie P, Annales de Chimie et de Physique, 7e serie, t.V,(1895)
線形応答理論 
 ----Kubo R(久保亮五), J PHYS SOC JPN, vol.12,570(1957)
近藤効果
  ----Kondo J(近藤淳)
GRAPE-1
 ----A special-purpose N-body machine GRAPE-1
      T. Ito et al. Comp.Phys.Commun.60,187(1990)
2002/


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