Einstein1905.info トップページへ // 個人のページへ

Einstein1905.info :: What's New in Science?

2003年8月22日から9月26日分 最新版はここ, 索引はここ

週に一度くらいのペースで,私が見聞した情報をここに書いていきます.
2003/9/26 2003/9/19 2003/9/12 2003/9/05 2003/8/29 2003/8/22




Go previous week, next week, or top.
2003/9/26
  • 今週のサイエンス情報

    • [地球物理] 地震発生?
       9月中旬に関東に大地震発生,と予兆現象を報告した人がいたことから,私自身いろいろな 関連サイトを調べていたが, 9月20日 千葉県東方沖でM5.5(関東で最大震度4)の地震があった.電磁波ノイズの異常から 19日前後にM4程度の地震を予告 しているサイトがあった.大当たりである.今朝26日には北海道でM8級の地震が2度 発生した.こちらは残念ながら「異常検知注視」状態だけだったようである.
    • [宇宙物理] 銀河が銀河を飲み込む 我々の銀河でも アンドロメダでも
      もともと,銀河の成長は,複数の銀河の重力による衝突・合体が基本である,と考えられていたが, 最近,我々の銀河でも,隣のアンドロメダでも観測によってその事実が報告されてきている. ちなみに今から30億年ほど後には,我々の天の川銀河とアンドロメダ銀河は衝突融合してひとつの銀河となるらしい. (私のリンク
    • [惑星物理] ガリレオ衛星,木星へ突入
      米航空宇宙局(NASA)は,搭載した燃料が残り少なくなった木星探査機ガリレオを, 21日,木星の大気層に突入させ,使命を終わらせた. ガリレオは1989年にスペースシャトルから放出され,95年12月に木星の軌道に到達, これまでに木星34周し,データを送信してきていた.(私のリンク
    • [重力物理] カッシーニ探査機を用いた一般相対性理論の検証 Einsteinは正しい
      イタリアのグループは, カッシーニCassini 探査機を用いた一般相対性理論の検証結果を報告した.地球とカッシーニ探査機の間に太陽が位置するときに, 電波の振動数が変化する現象を測定した.太陽近傍での時空の歪みは,パラメータγ (一般相対性理論では1,ニュートン重力では0)を用いて表される.今回得られた,γ=1+(2.1±2.3) ×10^(−5) という値は,今までの制限値より50倍も精度が良い. (私のリンク

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 文部科学省 「特色ある大学教育支援プログラム」の平成15年度選定結果発表
      この制度は,補助金交付事業ではなく(財政上の支援はある), 国公私立大学・短期大学の教育改善に資 する種々の取組を募り,特色ある優れたものを選定するもの. 664件の申請から,「総合的取組」「教育課程の工夫改善」「教育方法の工夫改善」 「学生の学習及び課外活動への支援の工夫改善」 「大学と地域・社会との連携の工夫改善」の5つのテーマに対して,合計80件が発表された.本年度分の補助金として 合計で約13億円が配分される.
    • 小泉第2次内閣発足
      閣僚名簿
    • 米国ビザ情報
      米国入国に関して,「機械読み取り不可なパスポート所持者は,必ずビザが必要になる」という措置は 当初2003年10月1日から,と報道されていたが,2004年10月26日からに延期されたようである. また,「米国政府は出入国管理強化のために,2004年10月26日以降,電子化された生体情報(顔画像) が搭載されていない旅券を所持している外国人の入国に当たっては,査証を求めるとの方針」らしいが, 「2004年10月26日までに上記生体情報を搭載した新たな旅券を発給することは,我が国を含め各国にとって極めて難しい」(外務省) ( 外務省情報 / 朝日新聞,私の米国ビザ情報

  • 今週のホームページ探検

    アインシュタインをドメイン名に掲げている以上,少しはアインシュタイン情報を充実させようかと, アインシュタイン年表1905年の業績ページを作ってみた.まだ作成途中だが, 今後暇をみて,もっと充実させていきたいと考えている.

    検索エンジンで「Einstein/アインシュタイン」を調べてみると,何千ものページがヒットする.その中で, もっとも本流であるべきサイトは,おそらく

    アインシュタイン アーカイブ・オンライン http://www.alberteinstein.info/

    であろうか.アインシュタインの論文や手紙・写真の蓄積を進めているサイトである. このサイトは「Einstein Project」と銘打たれた,Einsteinの全著作を集大成するプロジェクト(1986-)の一環で作成されている. このプロジェクトは,現在ヘブライ大学エルサレム校(The Hebrew University of Jerusalem)と カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology),(2000年まではヘブライ大学とボストン大学Boston Univ.), の共同で進んでおり, 全25巻(予定)に及ぶ アインシュタイン全集(The Collected Papers of Albert Einstein)の発刊を進めている.現在,全集は16巻まで出版されている.
    アインシュタイン アーカイブ・オンライン には論文の一部のコピーや,手書きの計算ノート,私的な手紙などの一部が公開されている. サイト自体は2003年5月19日にオープンしたばかりなので,3,000のデジタルイメージがあると豪語していても, まだ「欲しい」データが必ず手にはいるわけではない.(探しにくいだけかもしれないが,目的とするEinsteinの原著論文を 取り出そうとしても無理だったことが何回かあった.ZDNNニュースも参考のこと).
    ドイツ語なので読めないのだが,私的な手書きの手紙まで公開されているらしい.こうしたプライバシーの剥奪は 作家などの例では聞いたことがあるが,科学者としては初めてのことではないだろうか. もともと天才アインシュタインの人柄そのものにも興味が向けられることが多く,つい最近も 「アインシュタインの恋」(Dennis Overbye (原著), 中島 健 (翻訳),2003年,青土社) 《amazon.co.jp》 《bk1》のような本も出ている. 過去の色恋沙汰まで公開されてしまうのなら,私はこんなに有名にはなりたくないなあ,とも思う.

    ちなみに,両プロジェクトのwebページもある.


Go previous week, next week, or top.
2003/9/19
  • 今週のサイエンス情報

    • ニュース源へのリンクページをつくりました.
    • [重力物理] Matters of Gravity No.22
      半年に一度発行される,アメリカ物理学会重力分科会の同人誌 「Matters of Gravity」No.22 が発行された.今回掲載されたレビュー記事は,「重力波干渉計LIGOの現状」(S Whitcomb), 「WMAP衛星の初年度観測結果」(R Bean),「短距離でのNewton重力の検証実験」(M Varney, J. Long)の3本.
    • [物性物理] Bose-Einstein凝縮で低温記録更新
      Ketterle らMITのグループは,Na原子気体を用いて,これまで(3nK)の1/6倍も低温である,500pKの Bose-Einstein凝縮体を作り出した,と報告した.地球上で作り出された最低温度とのこと. 分光学(spectroscopy), 度量衡学(metrology),原子光学(atomic optics)での応用が期待される.(A Leanhardt et al. 2003 Science 301 1513). PhysicsWeb
    • [考古物理] 炭素年代法 聖書の記述を確認
      イスラエルとイギリスの研究者は,聖書に記述されているエルサレムのSiloam tunnel (シロアム池に通じる ヒゼキア トンネルのことか??)の 壁土に含まれる植物の炭素年代測定を行い,トンエルが 700 BC前後に建設されたことを報告した. 聖書の記述と一致するという. PhysicsWeb. (A Frumkin et al. 2003 Nature 425 169).
    • [地球物理] 9月16日前後2日に関東にM7級の地震発生?
      今のところ,起きてませんね. (もう少し詳しいリンクは私の記事参照のこと).
    • [訃報] 水爆の父,エドワード・テラー死去
      米国側の「水爆の父」と呼ばれる物理学者のエドワード・テラー Edward Teller 氏が,9月9日米カリフォルニア州で亡くなった. 95歳だった. ハンガリー・ブダペストで生まれ,ヒトラーの迫害を逃れて米国に移住した. 第二次世界大戦中に「マンハッタン計画」(原爆開発)に参加し, 大戦後は,水爆開発の必要性をトルーマン大統領に進言したことでも知られる. PhysicsWeb. (関係ないけど,ソビエト側の「水爆の父」はアンドレイ サハロフ Andrei Sakharov. 「原爆の父」は ロバート・オッペンハイマー.「原爆の母」「水爆の母」は諸説あり.)

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 平成16年度文部科学省科学研究費補助金の公募
      文部科学省,および日本学術振興会のページ.
    • 科学研究費補助金制度の改正
      『今後は,民間も含め学術の振興に寄与する研究を広く対象としていくため,民間企業の実態に配慮した要件を 別途定めることにより,機関指定の対象を「企業の研究所」等にも拡大し,企業等の研究者も応募できるようにする. 』 9/12 文部科学省発表
    • 「温泉学会」設立総会
      温泉医学や温泉文化論,観光政策を研究する大学教授や旅館の経営者・女将 (おかみ)らが9月6日,関西大学で「温泉学会」の設立総会を開いた.安全問題から観光 政策,旅館経営まで幅広い観点から21世紀の新しい温泉像を考えていく予 定.(9/17 「大学情報」より)
    • webベースの講義支援システム「ジャンザバーIMS」
      丸善・ニューメディア・デル・マイクロソフトの4社は,インターネットを利用して教員 と学生間の講義の双方向性を高める講義支援システム「ジャンザバーIMS」 の販売・提供において協業すると発表した. [pdfファイル] (9/17 「大学情報」より)
    • 少子化社会対策会議が開催
      9月10日,総理大臣官邸で,少子化社会対策会議(第1回)が開催された. 少子化に対処するための「少子化社会対策大綱」の案を,国民各層の意見を広く聴取した上で,来年5月を 目途に策定することなどを決定した. 首相官邸・少子化社会対策会議

  • 今週の物理学会誌新著紹介委員会

     日本物理学会誌の新著紹介欄の委員を,前任者から禅譲されて務めてきたが,任期2年が 来月終わる.今週は任期中最後の委員会があった. 委員の仕事は,新着図書から面白そうな本を選択することと,その本の書評者を 決めて依頼することである.委員は13人, それぞれの分野や所属先が偏らないように選ばれている(所属先は関東圏に限ら れているが).自分の守備範囲外の本を推薦することも十分可能でむしろ推奨されている.
     委員会の日は,会議室に新著が数十冊積み上げられている. 洋書は販売代理店より来た見計らいの本,和書は物理学会に寄贈されたもの. 委員の目に止まるのは,だからまずこれらの本であり, 他の本の選択は書評委員個人の努力次第(購入も含めて)ということになる. 委員の謝礼は交通費程度なので,私は結構,本の購入で自腹を切った方かな... 最近,洋書の取り次ぎ店が一つ倒産し,見計らい本が減ってしまった.本屋で見かけて 「この本取り寄せて下さい」と物理学会の担当の方にお願いしても,「最近は出版社が なかなか本を寄贈してくれなくて...」という事情もあるようだ.渋る出版社の本は, 結局書評される機会を失うことになるので,一考を要するだろう.
     出張の多い2年間だったが,何故か2ヶ月に一度の書評委員会は皆勤できた. 若気の至りか,委員会では,結構言いたい放題意見を述べさせていただいた. いろいろな考え方がぶつかる時は,委員長がいつも責任を持ってまとめる,ということになり, お気の毒だった. 実に自分自身の幅を広げるのにも良い機会であったと思う.書評を快く引き受けて下さった方も 含めて,ここで皆様に感謝の意を表しておきたい.(って誰も読んでいないと思うけど).
     なお,物理学会の事務には,学会誌の原稿依頼に関して, 誰が締め切りを守らなかったか(あるいは非協力的か),というブラックリストがきちんとあるようだ. お心当たりのある方,気にして下さい.


Go previous week, next week, or top.
2003/9/12
  • 今週のサイエンス情報

    • [地球物理] 来週,関東にM7級の地震発生?
      週明け,いきなり深刻な地震予知の話が某学会のメーリングリストに入ってきた.大地震の前兆として FM電波の異常受信現象が経験的に知られており,その観測者が9月16日の前後2日に,60%の確率で 関東南部にM7級の地震が起こるかもしれない,と予知したらしい.地震の専門家から見れば,巷の 噂に過ぎず,東海地震でさえこんなに具体的に予知できないと一蹴されそうだが,... 9月9日付けの週刊朝日にも記事がある. (もう少し詳しくは私の記事).
    • [地球物理] 南極上空のオゾン層 破壊は最大規模
      7月末,米航空宇宙局(NASA)などの研究グループが 「オゾン層破壊のペースが鈍り,回復に向かい始めたのかもしれない」と発表した (8/4 毎日新聞)が, 環境省と国立環境研究所は,人工衛星「アイラス2」を使った観測データから「今年は過去最大の規模で起きている」と発表した. ( 朝日新聞 9/4 朝日新聞 9/5).南極のオゾンホールは毎年8月に発生し,9月から10月にかけて最大化した後, 12月ごろに消滅する.今年は大気の流れの影響で南極上空のオゾン量が元々少なく,6-7月に比べ, 8月末のオゾン数は南極上空全体としても約3割減っているという. (参考になりそうなページ: 環境省の 「オゾン層を守ろう」 NPO法人 ストップ・フロン全国連絡会
    • [宇宙物理] 巨大ブラックホールの「音」を観測
      X線観測衛星「Chandra」(NASA/PSU/Harvard)は, ペルセウス座の銀河団(2億5千万光年)中心付近のブラックホールを,連続53時間観測した結果, ブラックホールから発生する「音波」を世界で初めて捕らえたと発表した. X線の揺らぎがブラックホールから5万光年 の領域に渡り,周囲のガスを加熱していると考えられる. ちなみに,音といっても周波数が低く,ピアノの鍵盤の中央のCより,57オクターブ下のB flatの音だそうだ (人間の耳では聞き取れない). (NASA発表Chandra衛星のサイト発表 9/9朝日新聞 9/10)
    • [生物物理] バクテリアで電池 米大学チームが開発に成功
      米マサチューセッツ大の研究者らのチームが,バクテリアを使って電池を作ることに成功したと 発表.海底の泥の中にいるあるバクテリアを酸素のない条件におくと,ブドウ糖などの糖をもと にして電気が起きるという.得られた電流を換算すると,電極の表面積1平方メートルあたり 30ミリアンペアほどで,従来の研究より6割以上効率が良いらしい. (朝日新聞 9/8 , 米科学誌ネイチャーバイオテクノロジー 9月号)
    • [素粒子物理] 5個のクォークからできる新しいバリオンの発見
      Spring-8の実験施設LEPSで,5個のクォークからできる「ペンタクォーク」と呼ばれる 新しいバリオン「θ+」が発見された,という解説記事が,日本物理学会誌9月号に 載っている.これまで知られている素粒子(ハドロン)は,3個のクォークから成り立つバリオンか, クォークと反クォークの組からできるメソンのどちらかであった.実験的にはまだ スピンもパリティも分かっていない.(岡 真,日本物理学会誌9月号)

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 今年度の21世紀COEプログラムの交付金が決まり,文部科学省より 発表.(9/3)

  • 今週のホームページ更新

     このサイトが間借しているレンタルサーバ のシステムは,アクセス解析ソフトも用意してくれている. アクセス数や時間帯はもとより,どこからこのサイトへ飛んできたのかが分かるソフトだ.サイト名が 世界にオープンしてから2週間経つが,おかげさまで,連日 180〜220 ページビューをキープしている. 熱心な読者の皆様には感謝したい.自分の文章が多少とも読者の役(?)にたっていれば,サイト設立の 目的も投資も見合うというものである.

    自分自身のアクセス数は誤差の範囲に収まるようになったのは確かだが, 実は一番アクセスが多いのは,何年も前に書いた「日本語講座」のようだ. 米国のある司書の方の http://www.librarian.net/の9月2日の日記で How do you say " sexy librarian " in Japanese? とだけ書かれた1行が, 私のページにリンクされていて,これで400ヒットいただきました. アクセスされた見知らぬ人からは,英語早口言葉のサイトも教えていただきました.多謝多謝. ところで,sexy librarian って,それ以上の深い意味があるのだろうか???

    面白いことに,検索サーチエンジンでどんな単語を調べてたどり着いたかもわかってしまう.

    今週頑張ったのは,学会誌の書評リストの更新. 本屋さんからの広告も付きました.是非以下のスポンサーの方にもアクセスしてみて下さい.

    日本の本屋 Amazon.co.jpアソシエイト    , or 米国の本屋 In Association with Amazon.com


Go previous week, next week, or top.
2003/9/5
  • 今週のサイエンス情報

    • [宇宙物理] ハッブル宇宙望遠鏡と日本のすばるが共同観測計画
      ハッブル宇宙望遠鏡のHST Treasury Programの一つとして, 宇宙の大規模構造の形成と進化を解明することを主目的とした, COSMOS 2-Degree ACS Survey プロジェクトが採択された.この計画では,2平方度の天域をI=27等の深さでマッピング する.この天域の観測は可視光のみならず,X線から電波の多波長帯での観測が既にコーディネイトされており, 宇宙の大規模構造の形成と進化を解明に対して,「人類史上最も優れた観測計画」(ちょっと大げさだが原文のまま) になっているそうだ.この計画の遂行に合わせ,ハワイにある日本のすばる望遠鏡の主焦点カメラ(Suprime-Cam) による可視光撮像観測を遂行する計画も提出された.(9/4 日本天文学会tennetメーリングニュース)
    • [素粒子物理] 電子・陽電子衝突型加速器計画の現状報告
      高エネルギー実験の次期将来計画で最重要なものと位置付けられている Linear Collider Project実現のため,欧/北米/アジアの国際的な取り組みが 活発になってきた. KEKではLC Globalization Committee Reportが作成され,アジア地区では,ACFA (Asian Committee for Future Accelerators)が中心となって,GLC Project Reportが出版された.技術的には,KEK/SLAC を中心として開発されている 室温で動作する加速管に基づく技術と,DESYを中心に開発されている超電導リニアコライダーの技術 の二つが研究されている.(9/4 素粒子論グループsg-l メーリングニュース)
    • [宇宙物理] ハレー彗星観測の最遠記録
      1986年に太陽に近づき,現在はずいぶんと遠ざかったハレー彗星(1P/Halley, 周期76年) が,2003年3月にヨーロッパ南天天文台(ESO: European Southern Observatory) の口径8.2メートルの大型望遠鏡(VLT: Very Large Telescope)によって観測さ れた.太陽からの距離が42億キロメートルと,ほぼ海王星の距離で彗星が 観測されたのは初めてで,世界記録の樹立になった.  ハレー彗星が,距離53億キロメートルの遠日点に到達するのは2023年12月, 再び太陽に回帰し,明るくなるのは2062年夏.(9/4 国立天文台・天文ニュース No. 669)

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 文部科学省「特色ある教育支援」プログラム,大学・短大628校が応募
      文部科学省は8月4日,教育面で優れた取り組みをしている大学を選んで資 金を重点配分する新事業「特色ある大学教育支援プログラム」の 応募数を公表 した.総件数は計664件(大学・短大628校)で,このうち5つのテーマごとに申請件数の1割程度以内が選定される. (9/1 「大学情報」
    • 都立新大学,基本構想を発表
      東京都は8月1日,現在ある都立4大学を統合して2004年度に開校する 新大学の基本構想を発表した. 新大学は大都市の特色を生かした教育の実現を目指し,「都市教養」「都市環境」「システムデザイン」「保健福祉」の 4学部で構成する. (9/1 「大学情報」
    • 横浜市立大学,改革案を発表
      横浜市立大学は8月21日,3学部(商・国際文化・理)を統合し「国際総合科学部(仮称)」を設置するなどの 大学改革案の大枠を発表した.(9/1 「大学情報」
    • 東京理科大がネットで理科の英才教育
      東京理科大学は,インターネット を活用し小学校高学年から中学生に理科の英才教育を行う 「科学者養成講座」 (サイエンティスト・スクール)を9月7日に開校する(8/20 共同通信報道). 物理,化学,生物の3科目が開講される.
    • 横浜市,千葉市の市立小中学校は,来年度から2学期制を導入すると発表した.期待されるメリットは, 長い学習サイクルでゆとりある個別学習・きめ細かな指導や新学習指導要領により則した教育ができること.
    • 薬剤師教育,6年制へ 文科省の協力者会議が中間報告
      文部科学省の「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」(座長=末松安晴・国立情報学研究所長)は29日,「大学の薬学教育は現在の4年では不十分.6年に延長を」との中間報告をまとめた.厚生労働省の検討会も近く同様の報告書を発表する.両省の足並みがそろい,早ければ4,5年後の新入生から薬学部6年制が実現する見通しとなった. (8/29 朝日新聞報道)

  • 今週のホームページ探検

     国立国語研究所が,外来語がお年寄りにわかりにくいとして,白書/新聞/雑誌など 「公共性の強い場」で使わないように,言い換え語を検討している.

    第1回「外来語」言い換え提案 最終発表 2002/4/15 http://www.kokken.go.jp/public/gairaigo/Teian1/index.html
    第2回「外来語」言い換え提案 中間発表 2003/8/7 http://www.kokken.go.jp/public/gairaigo/Teian2_tyuukan/index.html

     第2回の中間発表では, アイデンティティー,オンライン,コンセプト,シミュレーション,データベース,バーチャル,ユビキタス,ログイン などなど.言い換え提案は,上記の順に,自己認識,回線接続,基本概念,模擬実験,情報集積体,仮想,時空自在,接続開始,としている.言い換えがいいと思うものもあるし,とんでもないと思うものもある. 用語選択の根拠は, 白書で使用されているカタカナ語を一般的な世論調査をして,理解度が 25%以下.これでは画一的で,融通が全く利いていない. 社会での流通度やその言葉の将来性,それぞれの言葉の背景や専門家の意見などを含めてもっと議論が必要だと思う.
     同研究所は,この中間発表に対する御意見を9月7日まで募集している.10月に最終報告がされるそうだ.

  • さて来週は

    来週,9月11日は中秋の名月.その2日前の9月9日には,火星と月が「大接近」する. 火星の見た目の大きさは視直径24.3秒角,明るさはマイナス2.7等級. 東京の場合,9月9日午後7時には,東の空に昇っている月の縁(へり)と火星の間隔は約30分角 (月の見かけの直径とほぼ同じ).その後,午後8時40分頃には,6分角まで近づく. 肉眼でも十分観測可能とのこと.シベリア地方では月が火星を隠す火星食になる. (9/4 国立天文台・天文ニュース No. 672)


Go to previous week, next week, or top.
2003/8/29
  • 今週のサイエンス情報

    • 昨年より本格的な観測を開始した,アメリカとドイツの重力波レーザー干渉計(LIGOとGEO)の,プレプリントが相次いで投稿された.今回のデータは2002年8月-9月に17日間かけて行われた同時観測時のもの. パルサーJ1939+2134から放出される重力波の同時無検出より,重力波放出のモデルに関する制限を議論. そして,我々の銀河とマゼラン星雲内の連星中性子星からの重力波同時検出がない,という事実より,連星中性子星の合体率の上限を議論している.(もう少し詳しくはここ
    • インドは,月を周回して表面の高精度立体地図(topographical map)を作成する宇宙船計画を2008年までに 実行すると発表した.(雑誌Science記事)
    • 火星表面に少量の炭酸塩発見.「海はなかった」と解釈されるのかどうか... (朝日新聞PhysicsWeb報道)(もう少し詳しくはここ
    • 三省堂が,北半球と南半球両方で使える 「全世界対応星座早見盤」 (日本天文学会編)を発売.(私の雑文
    • 今年2月のスペースシャトル コロンビア事故,調査委員会が最終報告書. 打ち上げ時の外部燃料タンクの断熱材はがれ落ちが原因と断定 ( 毎日新聞記事) 準備していた後続シャトルで,乗組員の救助もできた可能性もあった.NASA組織の安全性に対する組織的な 意識の欠如もあった.(2003/8/27, 9/3 朝日新聞報道)
    • 来週は,9月1日に関東大震災から80年.

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 文部科学省が理数科教育「達人」を支援 教員30人に各50万円 (2003/8/25 朝日新聞報道) 文部科学省のページには該当情報見つからず

  • 今週の身の回り

     今週は,6万年ぶりの火星大接近(27日)というイベントがあり,各地でイベントが行われたようだ. かく言う私も,久しぶりに天体望遠鏡を組み立てて,埼玉の空で火星を探した. 残念ながら火星の月は見えなかったが,赤くて丸い星が確かに映った. 望遠鏡の倍率がうろ覚えだったので,家族には適当に100倍とか200倍とか言っていたのだが, 厳密な妻君は,「なぜ100倍や200倍と言うのに顕微鏡のように大きく迫って見えないのか」と 翌日一日悩んでいたらしい.
     100倍と200倍の違いは見かけ2倍の違いでしかない. 今回の最接近時は満月の1/70の大きさに見えるという. 100倍のレンズだったら,裸眼の月と同程度になるのだ.考えるとすごいことだが,元が小さいために 迫り来るようには見えないのが原因なのではなかったかと思う.
     あとで調べたら,わが家の望遠鏡は48倍と123倍のレンズだった. 48倍と100倍の違いは,妻君にはとても大きな違いらしく (そりゃそうかもしれないが),またしても私のいい加減さを糾弾されることになった. 宇宙物理の人間は,こんなのオーダーが同じだから あまり違いはないと思ってしまうのだが,...


Go to next week, or top.
2003/8/22
  • 独自ドメインネームを取得,ホームページ開設!

    これまで10年以上,「理論物理を研究する」という肩書きで食費を得てきたが,来年から, 若干職を変えることになった.今度は,「研究者を研究する」職らしい(まだ,よく 分かっていない).夏休みのついでに,いろいろ情報を集めてみると,「研究の評価」 方法は確立しておらず,これは将来的にも面白そうなネタになりそうだ,と思った. ...というわけで,専門の『物理や宇宙の最新ネタ』と『研究者ネタ』を柱にして, ホームページをつくっていこうと考えた.

    もともと私は,自分で集めた情報は,せっせとホームページに貼り付けてしまう性格である. これまで,本業の傍ら,個人的な旅行記やエッセイを含めて,理研のサーバーにて 公開してきたが,さすがに公私混同気味になってきたので,それらも,まとめて移すことにした.

    ドメイン取得は初体験である. 「個人名での情報発信」の砦をどこかに 残しておきたい,とも思ったが,さすがに「自分の名字.jp」とするのは気が引けた. そこで,Einstein と 1905 年を組み合わせ,ドメイン登録料がいちばん安かった「.info」 にすることにした.(もう少し詳しくは,ここ.) ドメイン取得やレンタルサーバーの手続きは即日終了したが,22日現在,einstein1905.info という ドメイン名は世界に伝わっていないらしく,まだ直接は開けないようだ.

  • 今週のサイエンス情報

    • 生命の源となるアミノ酸(グリシン)を銀河系内の分子雲に発見. physicsweb.org (Aug 11) 報道. 元の論文は,Y-J Kuan et al. 2003 Astrophys. J. 593 848

    • 英独の核物理学者が,レーザーで ヨウ素129(半減期1570万年)を ヨウ素128(半減期25分)に,核変異(transmutation) させた. 産業核廃棄物の処理方法として,有用かと期待されている. physicsweb.org (Aug 13) 報道. 元の論文は,J. Phys. D to be published とのこと.

    • 今年の Diracメダル私のリンク)の受賞者は, 乱流の研究者 R. Kraichnan と, V. Zakharov に.

    • Hubble望遠鏡の運転は予定通り2010年で終了すべきかどうか,NASAで検討中とのこと. 2011年に予定されるJames Webb望遠鏡との兼ね合いや, Hubbleの継続も審議されたが,予算不足が大問題.(APS What's new, 8/15).

    • Physics Today (アメリカ物理学会) 7月号には,Curie夫人のノーベル賞受賞100年を 記念した L. Badash による記事がある.X線の発見とともに,X線の医学への利用にも彼女が貢献したことを 強調している.

    • 火星が6万年ぶりという珍しさで地球に接近した位置にあるという. 最接近は27日.晴れれば夜東の空に見えるのだが,最近の東京はずっと曇で残念.

    • MicrosoftのWindows OSを狙ったウィルスが猛威をふるい,新聞やテレビで連日 報道が続いている.今週はアメリカ北東部での大停電のニュースもあった.

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 文部科学省の「21世紀COE」(私のリンク), 2004年は,2002年の分野について 追加募集を行う,と朝日新聞報道.

    • 文科省が科学版“情報機関”を設置し,各国動向を収集分析する,と 読売新聞報道.
      科学技術振興事業団に, 研究開発戦略センター設置主旨書がある.センター長は,野依良治氏. 報道によれば『10月に本格稼働をはじめ,予算は年間6億円.世界各国で進行中の研究やその成果,波及効果などについて,様々なデータベースや独自の人脈・情報網を駆使し,海外の学会にも出向いて詳しく調査.「今,重要な分野は何か」「その研究推進にはどんな措置が必要か」などを客観的に分析する.分析結果は文科省に毎週報告.同省は施策立案の基礎資料として重視し,必要に応じて年度途中でも新たな研究プロジェクトを検討するなど,機動的に活用する.また同センターが事務局を置く科学技術振興事業団の研究資金(年間500億円)の配分にも生かす.』任期2年の フェロー募集もあるようだ.

    • 大学非常勤講師組合による 非常勤講師実態アンケートを毎日新聞が 報道
      『専業非常勤講師の 平均年齢は42.4歳で経験年数は10.3年,2.7校を掛け持ちし,週の授業数は9.1コマ(13.7時間). 平均年収は287万円だが,34%が年収200万円以下教授や助教授など専任教員との賃金格差は5倍近い. 「授業数が減った」などの理由で契約を打ち切られた経験のある人は48%,教授や上司らの嫌がらせ(アカデミック・ハラスメント)の被害に遭った人も34%いた.』

    • 男女共同参画学協会連絡会が, 科学技術系専門職の男女共同参画実態調査.アンケートへの回答を募っている.

トップへもどる