【研究評価】科学的創造性を測る C-index

科学的創造性(scientific creativity)を計る指標の提案が,物理のプレプリントサーバに 論文として投稿され ( J. Solar, physics/0608006), イギリス物理学会(IOP) ニュース PhysicsWeb に 紹介された

ある論文が引用している論文数 n と,その論文が引用された数 m を用いて, その論文自体の創造性を定義しようという試みで,定義は,大まかにいって, 各論文について,m-n を著者数で割り(その値を論文のknowledge-creation number, C, と呼び), 個人の全論文について,その値を集計する,というもの.

citation だけをカウントするのでは,reviewを書いたときに本人の実際の仕事以上にciteされて しまったり,自己citationを多くしてcitation数を稼ぐことも可能でしたが,この定義では どちらも実効的ではなくなる,という利点があるとのこと.(reviewは多数の論文を引用するし, 自己citationは帳消しになる.)

物理と生命科学でThomson-ISIのトップ10人について,この値を計算したところ, 物理では,1位−3位は,P.W.Anderson (物性物理), E. Witten (紐理論), S. Weinberg (場の理論) になり, 生命科学では,S.H. Snyder, B. Vogelstein, D. Baltimore となるそうだ.

ちょうど昨年の今頃,論文の被引用率を測るh-index というのが同様に話題になった(当サイト 2005/08/22)が, h-index は,研究者人口によって分野間で大きく値を変えてしまうが,今回の指数は 分野を超えて同じような値になる,とのこと.

言われてみれば,目から鱗とも言える簡単な算出法.分野を超えて,super scientist 探しが楽になった(!?).