【大学情報】9月3日の配信記事から

9月3日に配信された大学情報より. 【注目記事】
  1. 私立4年制大,依然定員割れ4割—格差広がる
    日本私立学校振興・共済事業団の『平成19年度私立大学・ 短期大学等入学志願動向(pdf)』発表.2007年度入試で定員割れとなった私立 大学は,通信制などを除くすべての4年制大559校中,221校に上った. 定員充足率が50%以上100%未満の大学が204校,50%未満が17 校あった.特に,大都市圏と地方,大規模校と中小規模校の格差が目立つ.  
【大学改革】
  1. 東京大,インドに事務所開設へ
    インドの優秀な学生の獲得を目指して,来年「インドオフィス」を開 設すると発表.職員を常駐させて,インド工科大学などIT(情報技術)分野で 世界有数の大学との提携を目指す.東京大がイン ドで全学協定を結んでいるのは,デリー大学のみ(06年5月現在).
  2. 早稲田大が「ジャーナリズム大学院」開設へ
    日本初のジャーナリズム大学院を来年4月から開設すると発表.入学定員は修士課程40人.アジア各国との相互理解を深めるために,中国や韓国の大学とも提携.ジャーナリズム論やメディア論に加えて, 政治・経済・国際・文化などの各分野を広く学ぶ一方で,日本で初めて「イ ンテリジェンス」を研究対象に.
  3. 法政大,理工学部にパイロット養成コース
    2008年度に新設する理工学部機械工 学科にパイロット養成のための「航空操縦学専修」を設置すると発表(pdf). 学部4年間で機械工学を履修して自家用ライセンスを取得,さらにプロのパ イロットを目指す学生は,将来設置予定の大学院航空操縦学専攻(仮称)で 事業用ライセンス取得を目指すプログラム.
  4. 順天堂大が「がん生涯教育センター」を開設
    がん生涯教育センター」を開設.同大付属順天堂医院を拠点に,がんの専門知識を持つ医師・医療関係者を養成し,地域住民と医 師の情報交換の場としても活用する.医師や看護師らを対象に,がん治療に必要な専門知識に関する講義を開講.
  5. 千葉工業大,理工教材を途上国に無償提供
    同大で開発した理工学マルチメディア教材を 無償提供する取り決めを,国連教育科学文化機関(ユネスコ)と結ぶ. 提供するのは,振動解析や情報圧縮など理工学の諸現象がパソコン画面 で視覚的に確認できるシミレーションソフト群.開発途上国の理科教育に役 立てるのが目的.
  6. 京都大,「学内環境税」導入へ
    温室効果ガスの削減対策のため,電気など学内のエネルギー消費に対し一定割合で課金する「学内 環境税」を創設.部局ごとに電力の使用量に応じて課金し, 分配した予算から課金分を回収.集まった資金は学内の環境対策 に再投資するという.全国の大学で初めての試み.
  7. 鳥取環境大,新入生に市が入学金助成
    鳥取市が,学生確保対策として,2008年度から入学者の一部に対し,入学 金(25万円)の半額を奨励金として助成する考え. 同大学は「公設民営方式」で2001年度に開学したが,2004年度から4年連続 で定員割れとなっており,2006年度決算では開学後初めて赤字を計上した.
  8. 九州大と釜山大が日韓関係の共同授業
    「日韓関係の未来志向的展望」と題する共同授業を今年10月から開講すると発表(pdf).両 大学の教員各7名(計14名)が,双方のキャンパスでリレー講義形式によ る授業を行う.日韓の若い世代が国境を越えて交流することにより,未来志 向的な日韓関係の構築を目指す.
【トピック】
  1. 国公立大08年度 過去最多の59大学でAO入試
    文部科学省が2008年度の国公立大入試の概要を発表.アド ミッション・オフィス(AO)入試を実施する大学は,全155大学543 学部のうち,59大学154学部で過去最多.今春より6大学18学部増え た.AO入試の実施率は38.1%,募集人員は計2870人となった.推 薦入試は,142大学402学部が実施する. 文部科学省・平成20年度国公立大学入学者選抜の概要(pdf)
  2. 大学・短大への進学率51.2%—学校基本調査
    今春の高校卒業生の大学・短大などへの進学率は51.2%と,初めて5割を超えた.一方,現 役と浪人を合わせた志願者数が77万1660人だったのに対し,入学者数 は69万8215人.志願者数に占める入学者数の割合は90.5%にとど まり,同省が早ければ今春と予測していた「大学全入時代」の到来には至ら なかった.文部科学省・平成19年度学校基本調査速報
  3. 安倍首相がインドで「日印学長懇談会」に出席
    ニューデリー市内で8月21日,初の「日印学長懇談会」が開催さ れ,東京大学,京都大学など日本の12大学の学長らと,インド工科大学, インド経営大学院などインドの14大学の学長らが参加.インド訪問中の安 倍晋三首相も出席して挨拶.懇談会では,今後両国で学術交流を推進す ることなどで合意. 外務省・安倍総理の日印学長懇談会への出席(インド訪問)
  4. 文科省,来年度予算の概算要求発表 国立大交付金2.2%増
    一般会計は今年度当初比7333億6200万円(13.9%)増の6兆39億1100 万円.国立大の運営費交付金は269億円(2.2%)増の1兆2312億 円を要求する.また今後3年間で公立小中学校の教職員を約2万1000人 増員する計画で,来年度はそのうち7000人の定員増を盛り込んだ. 文部科学省・予算・決算,年次報告,税制
  5. 文科省,奨学金月額を2万円引き上げ
    文部科学省が,日本学生支援機構を通じて大学生な どに貸与する奨学金について,来年度から月額の引き上げや新規貸与の増員 などで拡充する方針.現行で上限が10万円(大学院13万円)となっている 有利子貸与の月額を2万円引き上げ,12万円(同15万円)とする.
  6. 文科省,2008年度から「戦略的大学連携支援事業」
    2008年度から,国公私立を超えた「戦略的大学連携支援事業」を始める. 予算が限られている地方大学や小規模大学などが行う,相互補完的な教育プログラムや得意分野を持ち 寄った研究などを選定して支援.知的財産管理や教員研修,インターンシッ プ窓口などの大学運営全般を対象にする.来年度は年間40件,5年間で計 200件を採択する予定で,助成額は一件当たり5000万—3億円.
  7. センター試験 「過去問」の出題解禁へ
    大学入試センターが,毎年1月に実施している大学 入試センター試験について,過去に出された問題を今後出題する 方向で最終的な検討に入った.文部科学省や国立大学協会などと協 議した上で,今年度中にも過去問の活用を宣言する方針.早ければ2010 年1月の試験から,過去問が登場する可能性.
  8. 大学進学は「学歴のため」5割以上—日本私立大学連盟調査
    私大生を対象に「大学進学の目的」について尋ねたところ,「学歴の必要性」 が50.2%でもっとも多かった.次いで「自分探し」の35.7%, 「専門性を身につける」の34.1%の順だった.そのほか,「所属大学の選択理由」のトップは「自宅からの通学が可能」の26.9%などとなっていた.「私立大学学生白書2007」
  9. 歯学部生が高い喫煙率—厚労省調査
    将来医療,保健の専門家を目指す学生の喫煙率を調べたところ, 歯学部生は男性62%,女性35%で最も高く,患者の喫煙に 関しても比較的寛容であることが,厚生労働省研究班の調査で分かった. 他の学部では,医学部36%,看護学部32%,栄養学部27%など. 20代の喫煙率は男性49%,女性19%(05年度国民健康・栄養調査) で,歯学部は男女とも平均を上回っていた.
【海外大学事情】
  1. 台湾 高学歴者の就職難が深刻
    就業仲介サービスの1111人力銀行調査.今年度の卒業生のうち,就職を予定しているが,まだ就職先が決まっていないという人は大卒で45%,大学院で44%に上った.就職していない理由としては,「会社から面接の通知が来ない」が52.1%,「専門スキルが不足している」が46.9%など.
  2. 米国 ハーバード大運営基金,07年度運用成績は23%
    2007年度(06年7月─07年6月)の運用成績は23%で,06年度の運用成績 16.7%を上回り,運用資産額も過去最高の349億ドルに達した. ロイター報道.新興国市場や不動産投資のほか,プライベートエクイティへの投資が奏 功したという.Harvard endowment posts strong positive return
【IT化】
  1. 大学ウェブサイトの評価,中央大が総合トップ
    ゴメス・コンサルティングの「2007年8月 大学サイトランキング」.ウェブサイトの充実度評価.総合順位の1位は 中央大学で,2位以下は広島経済大学,同志社大学,京都女子大学など.同社のアンケート調査によると,受験生の86%が大学サイトを大学に関する情報の主な入手源としているという.
  2. 慶応大,「セカンドライフ」にキャンパス開設
    世界的に人気が高まっている3Dバーチャルコミュニティ・サービス「セカンドラ イフ」に「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置すると発表した(pdf).場 所は,電通がセカンドライフ内に開設する仮想都市空間「バーチャル東京」 内.遠隔授業の手法をもとに,正規科目の講義を公開するなど,新しい教育 のあり方を模索する.日本の大学では初の試み.