キトラ古墳と高松塚古墳の天文図

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朝日新聞の記事につられて,奈良文化財研究所飛鳥資料館で開かれているキトラ古墳の「玄武」壁画特別公開に行ってきた.8世紀初頭前後に 作られたと考えられているキトラ古墳には,石室の東西南北に青竜・白虎・朱雀・玄武の四神が描かれており,その1つ,亀と蛇からなる玄武が2週間だけの現物公開(5月27日まで)との触れ込みであった.

はたして,日曜日の現地は天気も良くすごい人出で,玄武の絵に到達するまでに105分待ちであったが,待っている列は資料館の中を一周する形なので,それぞれの展示物をじっくりと見ることができて飽きなかった.これだけ待たされると,実物の前に到達しただけで,感慨深い.壁画自体が想像以上に小さかったのが印象的だった.玄武を見た後,地下室の展示には,キトラの他の壁画の模写もあってとても参考になったのだが,なぜかここは人がいなかった.皆さんお疲れだったのか.

実は私がもっと感動したのは,石室天井に描かれていた,天文図であった.世界最古の天文図か,とも言われているらしいが,約350の星と68の星座が描かれていて,その星座は当然現代のものと異なり,とても新鮮であった.北斗七星やオリオン座は古代日本でも同じ形として結んでいたようだが,カシオペア座やサソリ座はちょっと違う.古代の人々が星空に抱いた絵がこうして残されているのはとても素晴らしい.私のゼミ生の一人が卒業研究にデジタル星座盤をつくりたい,と言っていたので,この星空の星座盤をつくってもらおうかな,と思いついた.

明日香村は,村全体に古墳が残る.キトラ玄武展の後は,小学校の教科書にも載っている石舞台古墳と先週壁画の解体保存で報道された高松塚古墳にも足を伸ばした.石舞台の石の大きさはイギリスのストーンヘンジ以上だろう.よくぞこんなものを運び上げたものだ.高松塚の壁画は模写だけしか見られなかったが,これも実はとても小さいことが分かったし,天井には同じく天文図が描かれている.私自身,これまでの無知を恥じると共に,ちょっと古天文学もかじってみようかな,と思った.日経サイエンスを見直していたら,2007年2月号に宮島一彦氏による『北斗七星と東洋の星座』という解説も見つけた.

親がこの程度の知識なのに,小中学生の子供たちは,そんなの当然というほど詳しく知っていた.何故かと思ったら,『名探偵コナン推理ファイル 日本史の謎』の漫画に登場しているからだそうだ.読んでみると,これらの古墳の天文図は,韓国のソウルに近い北緯37.4度付近で描かれたものだとか.コナン,なかなか侮れない.

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このページは、shinkaiが2007年5月15日 10:07に書いたコメントです。

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