【大学情報】10月1日の配信記事から

10月1日に配信された大学情報より. 【注目記事】
  1. 中教審小委,「学士力」で卒業認定の厳格化を求める
    学部教育のあり方を審議している中央教育審議会の 小委員会が,大学生の「質」の低下を防ぐため,卒業認定の厳格化を各 大学に求める審議経過報告書案を大筋で了承.国に対しては, 「出口管理」を強化するため,大学生が卒業までに身につけるべき能力とし て「学士力」(仮称)を指針として示すことを求めている.
     文部科学省 学士課程教育の在り方に関する小委員会  (第6回)の開催
【大学改革】
  1. 東京大教養学部,高校生対象に「哲学キャンプ」
    今夏,香川県の瀬戸内海に浮かぶ直島で高校生を対象に, 「16歳のきみたちのための東京大学直島哲学キャンプ—海と空の間で『人 間の場所』について考える 」と題する3泊4日のイベントを開催.講義 やアート鑑賞,討論,作文などを体験しながら,自然の中で「純粋に考える」 ことが狙い.高校1,2年生22人が参加.

  2. 東京芸術大,大学院にアニメーション専攻
    大学院映像研究科にアニメー ション専攻を新設.カリキュラムは実習を重視 し,制作技術や物語の構成,3Dグラフィックなどを研究.大学院にアニメ や漫画の専攻ができるのは全国で初めて.11月に認可される見通し.

  3. 埼玉大,工学部に環境共生学科
    2008年4月に工学部に「環境共生 学科」を新設.物質循環科学,応用生態学,環境評価学を軸.

  4. 大阪市立大野村証券と包括提携
    具体的には,大学経営・運営,教育, 人材育成,学術研究,戦略的産学官連携などの分野で,野村が培ってきた事 業分析力や財務助言などのノウハウを活用.必要に応じて,野村から派 遣された社員の受け入れも行う.

  5. 京都大慶応大が連携協定 医学,地域研究などで
    『ヒト・社会・地球』のための連携協力に関する基本協定を締結. 既に両大学で共同研究の実績がある(1)医学・生命科学(2)経済学(3) 地域研究(4)学際的,国際的な人材育成—で連携.基礎から応用まで,各 領域での協力を推進する.

  6. 神戸大が美容外科を開設 国立大で初
    神戸大学付属病院が,新たな診療科となる「美容外 科」を10月1日に設置.既存の形成外科の医師数人と,看護 師,エステティシャン各1人で診療を行う.しわやたるみの除去,脂肪吸引, レーザー治療などを利用したアンチエイジング(抗加齢)を施す.国 立大の付属病院としては初めての試み.

  7. 熊本大,大学院に公共政策専門職コース
    来年4月,大学院に 公務員や非営利組織の職員を対象にした公共政策専門職コースを開設. 自治体経営や都市政策,地域医療政策など実務的な課題 に取り組む.

  8. 放送大がBSに移行 11年度から
    2011年度に現在のCS(通信衛星)放送での授業配信を廃止し,BSデジタル放送への移行を目 指す.BSデジタル放送は普及率がCS放送の4倍以上で,教育の 地域格差をなくすことが主な狙い.字幕放送が可能になり,難視 聴者や高齢者に対応できるメリットもある.
【トピック】
  1. 学部の共同設置可能に—文科省方針
    大学同士が学部を共同設置できるよう,文部科 学省が学校教育法を改正する方針.国公私立大が柔軟に連 携できるようにして,施設の共同利用なども幅広く促す方向.大学運営の効率化に期待.

  2. 大学の「原則4月入学」撤廃へ 9月入学を促進
    文部科学省,現行で原則4月と定めている大学の入学時期を, 大学の判断で自由に変更できるようにする方針. 入学時期を弾力化することで,海外で一般的な9月入学を促進し,欧 米などの優秀な学生を日本に呼び込む狙い.年内にも同規則を改正.
    中央教育審議会・制度・教育部会(第3回)

  3. 私立大の一般入試,5割を割る
    今春の国公私立大の入試の状況.入学 者総数は,昨春より約1万800人増の約60万4742人.私立大の入学 者47万6823人のうち,AO入試による入学者は3万9225人,推薦 入試は19万8143人で,ともに昨年より増加.一方,一般入試によ る入学者は23万6669人で,私立大の入学者全体に占める割合は49. 6%と,初めて5割を下回った.
    文部科学省・平成19年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要(pdf)

  4. 文科省,「世界トップレベル研究拠点プログラム」に5件採択
    5機関の5件を採択した.優れた研究拠点の形成を目指す取り組みに予算を重点 配分し,世界から優秀な研究者が集まるような環境を整備する.採択された プログラムには10年間にわたり,それぞれ年間5~20億円程度の支援を 行う.
    文部科学省・世界トップレベル研究拠点プログラムの採択拠点の決定について

    世界トップレベル研究拠点プログラム採択拠点一覧
    ホスト機関
    拠点構想の名称
    拠点長候補者名 連携機関等
    東北大学
    国際高等原子分子材料研究拠点
    東北大学大学院理学研究科・教授
    山本 嘉則
     
    東京大学
    数物連携宇宙研究機構
    米国カリフォルニア大学バークレー・教授
    村山 斉
    サテライト機関 宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設
    連携研究機関:国立天文台、高エネルギー物理学研究機構、京都大学数学教室、物理学教室、及び基礎物理学研究所、プリンストン大学天文学教室、フランス高等研究所(IHES)
    京都大学
    物質-細胞統合システム拠点
    京都大学再生医科学研究所・所長(教授)
    中辻 憲夫
    サテライト設置機関:岐阜大学(応用生物科学部)
    大阪大学
    免疫学フロンティア研究センター
    大阪大学微生物病研究所・教授
    審良 静男
    理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター、National Institutes of Health, Harvard University, New York University, Stanford University, California Institute of Technology, University of California San Francisco
    独立行政法人
    物質・材料研究機構
    国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
    物質・材料研究機構・フェロー(ナノテクノロジー基盤領域)
    青野 正和
    サテライト機関 筑波大学、ケンブリッジ大学、カリフォルニア大学(UCLA)、ジョージア工科大学、フランスCNRS
    連携機関 中国科学院物理研究所、韓国KAIST、マックスプランク研究所、カレル大学(チェコ)、カリフォルニア大学(UCSB)など

  5. 文科省,「大学院教育改革支援プログラム」に126件採択
    申請のあった計154大学355件の中から,東京外国語大学の「平和構築・紛争予防修士英語プログラム」など, 61校126件を採択.1件につき,最大年5000万円が3年間交付される.
    文部科学省・平成19年度「大学院教育改革支援プログラム」の採択プログラムの決定について

  6. 経団連,修士1年の採用活動自粛を要請
    技術系を中心に修士の企業への就職が増える中,日本経済団体連合会が会員企業に対し,修士1年時に広がる大学院生の採用活動 の自粛を呼びかける方針.企業が優秀な学生を確保しよう と,採用活動が早期化,長期化しており,大学側からは「研究に集中できな い」などと批判が出ているという.

  7. 高3生の5人に1人,勉強せず大学へ
    平成17年度時点で高校3年だった生徒を対象に調査.17年秋に家などでの勉強時間を質問したところ, 「ほとんどしない」が41%で最も割合が高かった.進路が決まった18年 春に追跡調査して高3時の勉強時間を尋ねたところ,「ほとんどしない」が 22%に上り,「約2時間以下」の層が半数を占めたという. 共同通信報道.東京大学の金子 元久教授らの調査.

  8. 国立高専 09年度8校を4校に統合
    国立高等専門学校機構は, 「新モデルの高専設置」 を発表. 教育研究資源を効率的に運用するため,宮城,富山, 香川,熊本の各県に2校ずつある高専を,それぞれ2キャンパス型の1校に 統合する計画.09年10月をめどに統合.

  9. 大学発ベンチャーが1590件に 経産省調査
    今年3月末時点で1590社が活動しており,01年度から06年 度までの5年間で2.7倍に増加した.業種別ではバイオ系が約4割,IT (ソフト系)が約3割を占めており,機械・装置系の増加も目立つ.地方の 大学発ベンチャー数は5年間で3.2倍と,著しい伸びを示している.
    経済産業省・「平成18年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」について

  10. 「シニアカレッジ」 西日本4大学は不人気で中止
    全国の国立大学9校で8~9月に開講される予定だった「シニアサマーカレッジ2007」(企画=JTB)で,山口,香川,高 知,宮崎の4大学では聴講者が集まらず,講義が中止となったと読売新聞が報じた. 初めて開催された昨年は山口,弘前の2大学で行われたが,山口大では全国か ら32人が参加したという.今年中止となった大学はいずれも猛暑に見舞わ れた西日本地域にある.JTBは「来年は夏を避けて春や秋に行うことも検 討する」としている.

  11. 文科省,LEC大学に再び改善指示
    大学設置基準違反を理由に初の改善勧告を行ったLEC東京リーガルマインド大学に 対し,文部科学省は「専任教員の配置が不十分」などとして,さらに改善を指示. LEC大は,今年1月の勧告を受けて改善措置を講じて いたが,その後の調査で現在も主要科目の一部で兼任教員が授業を行ったり, カリキュラムの体系化が不十分だったりしていることが判明したという.
【IT化】
  1. 金沢工業大学楽天と産学連携プロジェクト
    楽天との産学連携教育プロジェクトとして8月から「楽天プロジェクト」を開始.学生が楽天のエンジニアに成 りきり,「約3000万人いる楽天会員をもってして何が出来るか」「携帯 電話を使った新サービスの提案」など,提供される具体的なテーマに対して, 問題の発見と解決に取り組む.講師は楽天の社員らが務める.

  2. 佛教大,SNS活用し中途退学者なくす取り組み
    SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを活用して中途退学を防ぐ取り組みが,文部科学省の 「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」に採択された.名称は「『縁(えにし)』コミュニティによる離脱者ゼロ計画」.SN Sを通じて相談や情報交換を行い,学生,教員,職員の結びつきを強めるこ とで中退者を減らす試み.