【大学情報】1月7日の配信記事から

1月7日に配信された大学情報より. 【注目記事】
  1. 「経営困難」は98法人 私学事業団が再建支援へ
    日本私立学校振興・共済事業団が,全国の大学法人64と短大法人34を 早急に改善が必要な「経営困難状態」(イエローゾーン)にあると判定.06年度決算や07年度の入学者動 向から経営状態を7ランクに分類.15法人は「いつつぶれてもおかしくな い」レベルという.同事業団は今後,必要に応じて「経営困難」法人の支援 に乗り出す.
    『今日の私学財政 平成19年度版 大学・短期大学編』
【大学改革】
  1. 室蘭工業大学武蔵工業大学が包括連携協定
    水素エネルギーの共同研究推進を柱とした 包括連携協定の締結. 室蘭工大はエネルギープラントの副生水素について,武蔵工大は自動車の水 素エンジンについて,それぞれ研究を続けてきた.規模の異なる首都圏の 私立大と地方都市の国立大による包括協定の締結は珍しい.
  2. 東大,京大,早稲田,慶応が学生交流協定
    相互の大学院での単位や学位の取得を可能とする学生交流協定を締結. 学生に多様な教育・研究指導を受ける機会を提供し,優秀な人材の育成を図る.2008年4月 から学生交流を開始.
  3. 東京大,入学前に「はしか」ワクチン接種確認へ
    2008年春に入学する新入生全員について,はしかの予防接種歴を確認し,「未罹患で接種が2回未満の場合は入 学までに接種完了が望ましい」としてワクチン接種を促す.
  4. 東京工業大,博士課程の授業料「ゼロ」
    2008年4月から博士後期課 程に入学する全学生を対象に,授業料相当額(年額53万5800円)を支援. 実質的に授業料をゼロにすることで,優秀な若手研究者 を確保し,国際競争力の強化を図る.同様の取り組みは東京大学が来年度か ら始めるが,博士課程の大学院生全員を対象とするのは初めて.
  5. 東京電機大学の特許権,三菱UFJ信託銀行が信託管理
    「特 許権信託契約」を締結.同大が保有する「半導体ウエハの応力測定方法・装置」と「リニア振動アクチュエータ」に関する特許権を三菱 UFJが管理.特許を商品開発などに活用したい企業を探し,使用契約を結 ぶ.私立大では,知的財産権信託を活用した初の取組み.
  6. 東海大学,「ル・マン24時間耐久レース」に参加
    来年6月にフランスで開催される「ル・マン24時間耐久レース」に参加を申請.2001年からエンジンや車輌の開発,チーム運営などに取り組んでお り,2005年には実験車を完成させた.大学チームの参戦が実現すれば,世界 でも初めての事例.
  7. 立命館大学,分野横断型の研究組織を発足
    環境や医療・健康など21世紀の課題解決のための研究組織「立命館グローバル・イノベーション研究機構(GIRO)」 を来年4月に設立.「地球市民の要請に応える大学の研究のシンボル」と位置づけ, 研究の高度化と社会貢献をすすめる.大学独自の大型予算による研究組織として,全国でも例のない取り組み.
  8. 関西学院大学聖和大学が合併契約に調印
    2009年4月に合併することを正式に合意. 聖和大教育学部と,関西学院大文学部総合心理科学科臨床教育学専修を母体として,関西学院大学に教育学部および 大学院教育学研究科を開設する. 
  9. 5大学・短大と放送大,「大学コンソーシアム佐賀」設立
    佐賀県内の大学・短大5校と,放送大学佐賀学習センターが同日,「大学コンソーシアム佐賀」を設立. インターネットを使った共通講義や,一般向け講座の共同実施,社会人向け講義 など14事業を推進することで合意.当面は2009年度から始まる「教員免許更新制」に 向けた講習内容の共同開発などに取り組む.
  10. 国公立5芸術大,連携協定を締結
    京都市立芸術大学, 東京芸術大,金沢美術工芸大,愛知県立芸術大,沖縄県立芸術大の国公立の5芸術大は,大学運営や芸術教 育研究に共同で取り組む連携協定を締結. 協定の主な内容は,「日本の芸術文化の発展に寄与」「日本の芸術文化を世 界に発信」「心豊かな社会環境の醸成」「教育研究環境の改善向上」など.
【トピック】
  1. 教育再生会議が第3次報告書 実現は不透明
    小中高大の「6・3・3・4」制の弾力化や,高卒段階での学力テスト の実施検討などが盛り込まれた.ただ,政権の交代に伴い,提言内容が実現 するかどうかは不透明な状況.
    教育再生会議 報告・取りまとめ等
  2. 「株式会社立大学」 全国解禁見送りへ
    構造改革特区で特例措置として認められている株式会社設立の大学について,文部科学省が,「全国展開の可能性を検証する段 階に至っていない」との報告書を政府の評価・調査委員会に提出したと報じ たと共同通信報道.多くの大学で大幅な定員割れが生じ,収支も赤字になっていることなど が判明したため.施設整備が不十分な大学があるほか,目立った研究成果も 出ていないとの指摘もあったという.
  3. 中部経済連合会首脳が「大名古屋大学」設立構想
    中部地方の産官学の力を結集しようと,理科系の世界的な研究機関となる「大名古屋大学」(仮称)の設立構想を検討. 名古屋大を中心に,この地域の国公立大などの理系分野を統合することも視野に入れる.具体的な内容は今後数年間かけて検討.
  4. 日本への短期留学生,過去最高の8368人
    日本学生支援機構は,07年度の外国人留学生に関する調査結 果を公表.昨年5月1日現在の留学生数は前年比571人(0.5%)増の11万8498人.うち短期留学生数は同945人(12.7%)増の 8368人で,過去最高.出身国・地域別で最も多いのは,中国の 7万1277人で,次いで韓国が1万7274人.中国からの留学生は減少, 韓国からは増加した. 平成19年度外国人留学生在籍状況調査結果
  5. 留学生対象に軍事スパイ防止対策—文科省・経産省が指針
    核兵器などの大量破壊兵器開発に転用できる技術の海外流出を防ぐため,研究機関や大学を対象にした「安全保障貿易 に関する技術管理ガイダンス」を政府がまとめた.経済産業省と文部科学 省が策定したもので,情報の公開基準を「極秘」「秘」「対外秘」など3~4分類するよう求めている. またイラン,イラク,北朝鮮などを「懸念国」とし,留学生受け入れに際して個人の経歴や国籍などを調査するよう推奨し ているという.
  6. 医学博士号謝礼 国公立大の65%が未調査
    名古屋市立大学大学院元教授の汚職事件を受け,医学 博士の学位申請者からの審査担当教授らへの謝礼に関して, 医学系大学院を持つ全国の国公立大学法人に毎日新聞がアンケートを実施. その結果,全体の65% にあたる30校が,謝礼について実態調査も注意喚起も行ったことがないと 回答.実態調査を実施したのは3校(いずれも事件後)で,教授らに注意喚 起を行っているのは12校だったという.
  7. 大学窓口で年金保険料猶予手続きが可能に
    社会保険庁が今年4月から,大学や短大の窓 口で,学生の国民年金の保険料支払いを卒業後まで待ってもらう「学生納付 特例」の手続きができるようにする.現在のように市町村の窓口に 学生が直接出向く必要がなくなり,手軽に学生納付特例制度の手続きができるようになる.
  8. 有力大で高い「教員自給率」 出身校調査
    有力大学の「教員自給率」が依然高く,東京大や京都大では7割を超えていることが,くらしき作陽大学の山野井敦徳教授ら の研究でわかったと読売新聞報道.全国の大学に勤める講師以上の専任教員11万 人の出身校を「全国大学職員録」などで分析.特に,両大を含め,学術研究 で中心的な役割を果たしている国私立13校の「自給率」を調べた.東京大 は78.0%,京都大は72.3%.13校の教員約1万5000人のうち, 13校以外の出身者は15%程度にすぎないという.
    玉川大学出版部・『日本の大学教授市場』
    広島大学高等教育研究開発センター
    2008年1月開催 「変容する大学教授職-国際比較および実証的視点から-」(国際会議)
【海外大学事情】
  1. 韓国 大学入試の正答めぐり混乱 物理学会が異議
    韓国で11月に行われた全国一斉大学入試の物理の問題について,韓国物理学会が設問にミスがあり,「正答は2つある」と 異議を唱えたのを受け,入試問題を監督する教育課程評価院が二転三転の末 にミスを認め,受験生を巻き込んだ混乱が広がっている.既に志望 大学への志願は始まっており,土壇場の方針変更で入試日程のずれ込みも懸 念される事態となっている.
【IT化】
  1. インターリンク,教育機関の「セカンドライフ」を支援
    株式会社インターリンクは,大学や教育機関のセカンドライフ 活動の支援を開始すると発表.第一弾として,同社が管理・運営するネ ット上の「八国山(はちこくやま)アイランド」内で,神戸大学大学院人間発達環境学研究科の「サイエンスカフェ神戸」を開催.今後,セカンド ライフ内で3D仮想現実世界における実験・研究を希望する大学や機関に無 償で土地を貸し,実験・研究を進める.