百科事典を書く

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 図書館で雑誌を読んでいたら,「今後のインターネットビジネスを語る上で3つのキーワードを挙げるとすれば,Googleとmixiとwikipedia」との解説があった.Googleは検索サイト,mixiは会員制掲示板,wikipediaは誰でも参加できる百科事典である.そういえば最近は,Googleで検索すると,wikipediaのページがトップに表示されることが多い.誰でも参加できることから,誰も責任を持たない文章である可能性が大きいが,英語版のwikipediaの内容は専門家から見てもまともな内容が多い,という新聞報道も最近あった.

 試しに,相対性理論のページを見てみたら,なんと素人な文章なこと.随所に間違いや誤解も多々ある. 小学生の子供がインターネットで調べものをした際に,wikipediaを写してしまうとなれば,たいへんだ.確実な知識のある誰かがサポートする必要がある...試しに自分で一項目加筆してみたら,その作業の簡単さに驚いてしまった.匿名でも十分に内容を書き換えることができる.毎回どこを変更したのか履歴が見られるので,故意に全部消去されたとしても,誰かが検証して復活させることが可能な仕組みだ.他の言語へのリンクは,はじめに1つあれば,あとはロボットが定期的に書き加えていくらしい.

 一般相対性理論,アインシュタイン,ワームホール,ブラックホール,ブラックホール脱毛定理,ブラックホール唯一性定理,裸の特異点,宇宙検閲官仮説,ライスナー・ノルドシュトロム解,カー解,フリードマン・ロバートソン・ウォーカー計量,フリードマン方程式,ゲーデル解...(だんだんマニアックになっていくが,まだまだ続く)...すでに誰かが書いた文章を推敲・訂正したり加筆したりするうちに,だんだん面白くなってきて,自らが項目をどんどん立てるまでに熱中してしまった.1週間で,一般相対性理論関連のほとんどの項目は,結構まともになったのではないだろうかと思う.もちろん,どの語も自分自身で完全に満足しているレベルではないが,決定的な誤りは潰している.ペンネーム(Einstein1905)で編集作業を行っているが,実名も分かるようにプロフィールは公開している.実名で参加している人はほとんどいないみたいだが.

 もちろん,僕が書いた文章をすぐに直してくれる人もいる.誰だか分からないが,まさしく共同作業だ.オープンソースの威力を感じながらも,人間の善意で,ちりも積もれば百科事典になっていくのだなあ,と感心することしきり.あと数年もすれば,もっと他分野の専門用語もブラッシュアップされていくことだろう.

 一人で満足感に浸っていたら,思わぬとばっちりを受けた.学生が提出してきたレポートが,私の書いたwikipediaの項目の丸写しだった.怒るべきか,喜ぶべきか...それが問題だ.

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このページは、shinkaiが2006年9月 4日 12:49に書いたコメントです。

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