投票ではあったが,科学的な視点に基づいて冥王星を矮惑星に降格としたので,科学者は納得するだろうと思いきや,冥王星に思い入れの強いアメリカ人の天文学者達が復活へ向けて署名運動をしているという.アメリカ人がこだわるのは,冥王星を発見したのがアメリカ人だったからで,キリスト教的世界観を揺さぶる惑星の発見に貢献した「西半球唯一の惑星発見者」でもあるからだそうだ.一般人には,冥王星発見の1930年に登場したディズニーの犬がplutoという名前なのがこだわりの原因になっている.
惑星と聞いて思い出すのは,Gustav Holst の組曲「惑星」である.私は,高校のブラスバンド時代,この曲が好きで,スコアを読んで全曲歌える位熱中した.作曲されたのは,第一次世界大戦の前年の「火星」からで,組曲は火星・金星・水星・木星・土星・天王星・海王星の7曲からなる.最後に作曲されたのは「金星」だったはず.当時知られていなかった冥王星は入っていない.当時の人々にとっては,海王星が太陽系の果てであり,海王星の最後の部分は女声合唱で宇宙の彼方へフェードアウトしてゆく深遠さがある.
冥王星が降格したので,『「惑星」の組み合わせは,結局,これで正しかったことになる.』とwebに書いたら,「冥王星という曲が2002年に作曲されていた」という情報を見つけた.Colin Matthewsが「冥王星Pluto - The Renewer」という曲を追加で作曲し,最近の「惑星」CDには収録されているものもあるのだそうだ.今,話題になっているらしく,調べたら,iTunesでは,ラットルの最新版に集録されていて,冥王星だけ150円でダウンロードできる!
音楽のバラ売りには心が痛むものの,150円で聴けるなら,と名前を登録して,初ダウンロード体験.(クレジットカードで150円の買い物というのも初体験).めでたく冥王星を手に入れた.
曲は,残念ながら,うーん,ちょっと違うんじゃないのー,という印象.Holst後70年余も経つと,曲が妙に現代音楽になっていて「うたえない」.せっかく静かに終わっている海王星の続きとしては,ストラビンスキー的な流れは,ちょっとついていけない感じがした.
というわけで,冥王星の降格に賛成.
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