このページ  Einstein1905.info トップ / ニュース記事 / What's New 今月分
関連ページ  Einstein1905.info トップ / ニュース記事 / What's New 索引, 物理・宇宙ニュースから, サイエンス不定期日記
関連ページ  Einstein1905.info トップ / リンクページ / サイエンス系ニュース
関連ページ  Einstein1905.info トップ / サイトマップ

Einstein1905.info :: What's New in Science?

2005年5月/6月分    索引はここ

週に一度くらいのペースで,私が見聞した情報をここに書いていきます.月曜か火曜に更新予定.

2005年
06/27
06/13
06/06
05/30
05/23
05/16
05/09
04/26
04/19
04/12
04/02
03/21
03/14
03/07
02/28
02/21
02/14
01/31
01/25
01/18
01/02
2004年 開く 閉じる
2003年 開く 閉じる

by H. Shinkai


日本の本屋 Amazon.co.jpアソシエイト    , or 米国の本屋 In Association with Amazon.com

 
2005/06/27 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【核物理】魔法数はやはり魔法数
    中性子が陽子の2倍あるシリコンの同位体(Si42, 陽子14+中性子28)が合成された. 核物理では,中性子and/or陽子の数が魔法数(magic number; 2, 8, 20, 28, 50 and 82)であると,核子が閉じた殻構造を作るために安定となることが知られている.中性子と陽子の数が共に魔法数ならば,さらに安定で"doubly magic"とも呼ばれる.しかし,極端に中性子と陽子の数が違う場合には,核の安定性に対して魔法数が適用できないだろうと考えられていた.今回合成されたSi42は,通常のシリコンよりも中性子が12も多いのにも関わらず安定であり,中性子が28の魔法数であることと,陽子が14のsub-magic numberであることの結果であると考えられる,という.6/15 Physics Web, J. Fridmann, Nature 435, 922-924 (16 June 2005)

  • 【物性物理】低温Fermi気体で量子渦を観測,超流動体の決定的な証拠
    抵抗のない流体現象を示す「超流動体」の決定的な証拠が,超低温のFermi気体(Li6)で確認された.MITのKetterleらのグループが回転気体の中に量子渦を発見したもので,これまで間接的にしか知られていなかった超流動体現象が直接観測されたことになる.
    整数スピンから成るBose粒子は,低温になると量子波動関数が揃い,Bose-Einstein凝縮体(BEC)を形成し,超伝導・超流動現象を起こすことが知られている.半整数スピンをもつFermi粒子は,Pauliの排他律により凝縮することはないが,2つの粒子がペアになることで,超伝導現象を引き起こす(Bardeen-Cooper-Schrieffer理論).
    今回の実験は,50ナノKに冷却したリチウム6に,磁場を用いて原子間の相互作用を調節し,原子が分子となり分子BECを作成した.さらに磁場を用いて分子凝縮体をFermiガスに変化させ,レーザーを用いて回転を起こしたところ,量子渦が確認されたという.Fermi粒子の強い相互作用の実験は,今後,高温超伝導やquark-gluon plasmaの研究につながっていくと期待される. Zwierlein et al, Nature 435, 1047-1051 (23 June 2005), 6/22 PhysicsWeb

  • 【計算科学】スーパーコンピューター番付:「地球シミュレータ」は4位に転落
    米テネシー大学などは22日,世界のスーパーコンピューター番付「トップ500」の 最新版を発表した.米IBM社製でローレンス・リバモア国立研究所にある『ブルージーンL』(演算回数は毎秒136兆8000億回)が首位. IBMワトソン研究所の『ブルージーン・ワトソン』(同91兆2900億回)が2位にランクインし,米シリコングラフィックス社製の『コロンビア』(同51兆8700億回)が3位に低下. 日本が誇るNECの『地球シミュレータ』(同35兆8600億回)は3位から4位に順位を下げた.地球シミュレータは昨年11月の前回番付で,3年ぶりに王座を奪われていたが,ついにベスト3からも押し出された. IBM社は上位10台のうち6台を占めている.1年前は日本勢や新技術に押され,3台にとどまっていたが,新鋭機ブルージーンで完全復活を果たした.入選した500台のうち51.8%がIBM社製. 500台の国別内訳は,米国が294台(前回は267台)で,日本は23台(同30台)に減った.ドイツが40台,英国が32台,中国が19台.500位のマシンの演算回数は1兆1660億回で,番付の足切り水準が初めて1兆回を超えた.6/24 Wired News

 

今週のサイエンティスト情報

  • 【大学院】新時代の大学院教育−中間報告
    中央教育審議会は,「新時代の大学院教育−国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて−」(中間報告)を発表し,その内容に関する意見募集の実施 を行う,と発表した. 大学院教育の基本的な考え方として,『(1)大学院教育の実質化,(2)国際的な通用性,信頼性の向上を通じ,世界規模での競争力の強化を図ることを重要な視点として,教育研究機能の強化を推進していくことが肝要である.』とし,新時代の大学院教育の展開方策と大学院教育の改革を推進するための計画と社会的環境の醸成について200ページの報告書を掲示している.

  • 【大学】萩国際大学 ,民事再生法の適用申請
    山口県萩市の萩国際大学は,21日,定員割れによる経営難が原因としては初めて,民事再生法の適用を申請した. 山陰地方では初の私立4年制大学.県と市から計40億円の補助を受けて人口約4万5000人の町に開設されたが,1999年度の開校以来,知名度が低く,中国人らの留学生に頼ろうとしたが,失敗.新規コースの設置も効果は少なかった. 6/27 朝日新聞

  • 【教育】義務教育に関する意識調査
    平成16・17年度文部科学省委嘱調査報告書として,株式会社 ベネッセコーポレーションがまとめた義務教育に関する意識調査 中間報告書が,文部科学省のページに掲載された. 中央教育審議会で行われている義務教育改革に係る審議の検討資料とすることを目的に, 全国の小・中学生,保護者,小・中学校教員,小・中学校評議員,都道府県及び市区町村 の教育長と首長を対象に,義務教育に関する評価や期待,子どもの家庭での生活状況等に関して質問紙 調査を行い,まとめたもの.


 
2005/06/13 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【量子計算技術】「量子もつれ」の転送に成功
    「量子もつれ」を転送することに,東京大のグループが世界で初めて成功した,と論文発表した(N. Takei et al, Phys. Rev. Lett. 94, 220502 (2005) ).量子もつれは,一つの粒子が持つ情報(状態)がわかると,その瞬間にもつれた関係にある別の粒子が持つ情報も決まるという関係にある.今のところ,量子もつれの状態の光子は,2個1組ずつしか効率よく作れない.グループは,もつれた光子を2組(4個)作った上で,うち1個の状態を「量子テレポーテーション」という転送技術で別の組の光子1個に,そっくり再現することに成功した.2組の量子もつれを結びつけたことを意味し,もともと関係がなかった離れた光子同士をもつれさせることを可能にした.将来的な「量子コンピューター」技術の根幹を支える技術の第一歩となるという.6/12 朝日新聞

  • 【原子力開発】次世代の原子力発電炉(軽水炉)の開発へ
    経済産業省資源エネルギー庁は,20年ぶりに次世代の原子力発電炉(軽水炉)の開発を進める方針を固めた.将来見込まれている原発の建て替えに備える一方,中国などで拡大が予想される原発市場を視野に入れる.より高い安全性を確保した上で,建設費と発電コスト・廃棄物量をともに2割減らし,20年後に長期連続運転が可能な原発の開発をめざす.国は1981年から5年間,約600億円をかけて,既存原発の改良型を民間と開発し,改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)に結びついた.原発は,1970〜80年代にかけて毎年2基程度のペースで着工されたが,2000年以降は1基着工しただけ.20〜30年後には多くの原発が寿命を迎え,また,中国では2020年までに3600万キロワットの発電を原発に依存する計画で,巨大な原子力市場が生まれると考えられている.6/10 朝日新聞 

  • 【地震】スマトラ地震「3度目」警告 英米グループがNatureで
    インドネシア・スマトラ島周辺で,昨年12月と今年3月に続いて3度目の地震の恐れがあることを,英アルスター大と米カリフォルニア工科大グループが警告している.S. S. Nalbant et al, Nature 435 (2005) 756-757.グループは,3月の地震の際も事前に警告していた. スマトラ島沖は過去に地震を繰り返し,昨年12月の震源域の南に,北から1861年,1935年,1833年の震源域が推定されている.1861年と1833年はM8級の地震で,津波も起きている.グループは,昨年12月の地震(M9以上)の影響を調べ,その震源域の南で,地震発生確率がわずかだが高まることを今年3月17日発行の同誌で警告.実際,1861年の震源域で3月28日にM8.7の地震が起きた. その3月の地震後,再び影響を計算したところ,同様に震源域の南で地震発生確率が高まることが分かった.1935年の震源域はひずみが十分たまっていないので地震がすぐに起きるとは考えにくいが,その南側では1833年以降地震が起きておらず,危険だと指摘した.また過去2回の地震はスマトラ島内のスマトラ断層に影響を及ぼしており,M7-7.5の地震を起こす恐れがあるとも指摘している. 6/9 朝日新聞

 

今週のサイエンティスト情報

  • 【研究者】民間の女性研究者は7%弱,大学の3分の1
    企業に所属する研究者のうち女性の割合は6.6%と依然低水準で,半数以上の企業が特に増やす努力をしていないことが,文部科学省の調査で分かった.10日に閣議決定された2004年度版科学技術白書に盛り込んだ.白書によると,2004年度の女性研究者の数は9万6000人で研究者全体の11.6%.1992年の7.9%に比べて増加傾向にあるが,大学では20.4%が女性だったのに対し,企業では6.6%にとどまった.同省が,研究・開発部門を持つ企業962社を対象に行ったアンケート(複数回答可)では,女性研究者が増えない理由として「応募が少ない」が56.3%,「特に増やす努力をしていない」が52.7%と半数を超えた.(共同通信,6/10 京都新聞

今週のセレブ

  • 【京都賞】 稲盛財団は, 2005年度の京都賞受賞者を発表した. (これまでの受賞者リスト
    2005先端科学部門(エレクトロニクス)George H. Heilmeier 液晶を用いた平面型表示装置の実現への先駆的貢献
    2005基礎科学部門(生物科学)Simon Asher Levin 空間生態学の確立と生物圏に関する複雑適応系理論の提唱

今週の「今後大きく発展する可能性を持つ領域」

  科学技術政策研究所が5月に発表したレポート 『我が国における科学技術の現状と今後の発展の方向性 - 基本計画レビュー調査及び俯瞰的予測調査による分野・領域の総合的動向分析 - - Comprehensive Analysis of Science and Technology Benchmarking and Foresight - 』 の結論は,『日本発の独創的成果,生かせず』のようである( 5/20 科学新聞).もう少し詳しくまとめると,
  • カーボンナノチューブは日本で発見されたにもかかわらず,研究のアクティビティを表す被引用論文シェアは,アメリカ,中国に次いで世界第3位に甘んじている.
  • ここ数年急速に発展しつつある153領域のうち,従来苦手と言われていた学際・融合領域で日本の存在感が高まっている.
  • 欧米研究者へのアンケート調査(同研究所)では「独創的な成果が出てもそれを深めていない」と指摘しており,基礎的な成果を応用にまで育てていけない日本の問題を浮き彫りにしている.
となるようだ.
 科学技術政策研究所が行った調査では,多くの論文が共に引用しているコア・ペーパーを探しだし,それらの論文の集合を分野別に分類,特にここ数年で引用が急増している153領域を,今後大きく発展する可能性を持つ領域として抽出した.その中で,日本の研究機関に所属する研究者からの論文の比率が高い領域が,日本の存在感が大きいとしている.なかなか,面白い調査であり,このサイトで関連する「今後大きく発展する可能性を持つ領域」をレポートから抽出すると,次のようになる.
分野研究領域名コアペーパに日本論文
が占める割合
物理学ニュートリノ研究15%以上
物理学ペロブスカイト型マンガン酸化物の物性研究15%以上
物理学非可換場の時空/背景場中のブレイン15%以上
物理学酸化物高温超伝導物質15%以上
物理学重イオン衝突による高温・高密度物質の探求7%-15%
物理学弦理論に基づく素粒子論的宇宙論7%-15%
物理学金属系超伝導物質と思い電子系超伝導物質7%-15%
物理学量子コンピュータ7%-15%
物理学非可換場の理論/構成論的弦理論3%-7%
物理学光の特異現象の研究3%-7%
物理学非線形現象の研究0%-3%
物理学分子モーター0%-3%
宇宙科学宇宙の構造と進化3%-7%
地球科学地球規模の気候変動研究3%-7%
地球科学気候変動および大気に関するエアロゾル3%-7%
地球科学古気候における地球規模の気候変動3%-7%
地球科学地球型惑星の構造解明3%-7%
地球科学海洋における親生物元素の生物地球化学的要因がもたらす生物活動の制限0%-3%
計算機科学無線通信技術7%-15%
数学渦や欠損のギンツブルグ・ランダウ型エネルギーによる変分解析15%以上
数学スペクトル解析0%-3%
数学形態形成と微分方程式0%-3%
工学生体試料や環境試料の微量元素分析0%-3%
工学高エネルギー環境下における材料挙動の解析と新規物質創製3%-7%
工学乱流の知的制御0%-3%
工学画像符号化圧縮技術0%-3%
工学軟骨組織の研究0%-3%
工学質量分析法と創薬,テーラメード医療0%-3%
材料科学生体構造再生材料0%-3%

各国別では
  • 日本は,物理学,化学,植物学の研究領域で存在感が相対的に大きい.また,学際的・分野融合的領域でも日本は健闘している.
  • 米国や英国ではライフサイエンス系が物理・化学系領域よりもシェアが高い.
  • 中国は物理・化学系シェアが高い.特に中国の強い領域は日本の強い領域と重なっている.「メゾポーラス材料とナノワイヤー」「カーボンナノチューブ」では,中国は日本を上回っている.
とのことである.
 研究分野の展開は年々大きく,このような尺度は数年で入れ替えを必要とするだろう.同様の研究レポートが継続的に作成されるならば,学問の流れを研究する者に非常に貴重なデータを与えるに違いない.

 
2005/06/06 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【天体物理】第一世代の星の質量予測へ
    最近発見された極度に重元素が少ない星(hyper metal-poor (HMP) star,Fe/H比が太陽の10万分の1)は,宇宙初期の第一世代の星かどうかで論争が起きていたが,東京大学のグループは,この星の化学組成と数値シミュレーションとの比較から,HMP星は第一世代の星が超新星爆発を起こした後にできる第二世代の星であると結論した.C/Fe比が太陽の1万倍あるなどの特異なスペクトルを持っていることから,爆発の最中に物質の混合が極度に進んだ核崩壊型「faint」超新星爆発であるという.候補天体は2つあり,どちらも2002年に発見され,その1つは同じ東京大学グループの発見だった.この研究結果から,第一世代の星の質量は太陽の20倍から130倍であることが予想されるという. 6/2 PhysicsWebN. Iwamoto et al, Science Express 1112997, 2 June 2005

  • 【天体観測】非対称爆発の極超新星観測でガンマ線バースト現象の起源の説明へ
    東京大学,広島大学,国立天文台などの研究者からなるグループは,すばる望遠鏡と微光天体分光撮像装置(FOCAS)を用いて,ガンマ線バーストを伴わない極超新星(極端に爆発の規模の大きい超新星) 2003jd の観測を行い,これが高速ジェットを激しく噴出している爆発を横から眺めた姿である証拠を初めて発見した.この結果は,極超新星の大部分は高速ジェットを伴うガンマ線バースト母天体であり,ジェットが我々に向いている場合にのみガンマ線バーストとして観測されるという関係を明快に示した.極超新星爆発が非対称な爆発であるという証拠と共に,極超新星が相対論的なジェットを伴うガンマ線バースト現象の正体であるとする当該研究グループの予測を立証した.5/27 国立天文台ニュースP.A. Mazzali et al, Science, Vol 308, Issue 5726, 1284-1287

 

今週のサイエンティスト情報

  • 【大学情報】6月1日に配信された大学情報より.
    【注目記事】国内6大学が講義をネットで無償公開
    大阪大学,京都大学,慶應義塾大学,東京工業大学,東京大学,早稲田大学の6大学は, 5月13日,講義の内容や資料をインターネット上で無償公開する 「オープンコースウエア(OCW)」事業を始めた と発表した.米国・マサチューセッツ工科大学(MIT)が2002年から 始めたOCWの日本版だが, 複数大学の連携による取り組みは世界で初めて. 6大学は「日本OCW連絡会」をつくり,MITと連携して準備を進めてい た.講義内容を公開することで,大学外への情報発信や教育の質の向上につなげる狙い.

    【大学改革】(1)秋田経済法科大が資格取得を進級条件に...新設する「実践マネジメント学科」で,日商簿 記検定1級と,マイクロソフト社の情報処理関連試験「マイクロソフト・オフィシャル・スペシャリスト」
    【大学改革】(2)東京大が教員養成に本格参入...“超一流”の小中学校教員の養成を目指す大学院を新設
    【大学改革】(3)日本大が米大学とジョイント・ディグリープログラム
    【大学改革】(4)千葉大教育学部が「スクールマネジメント専攻」設置... 岡山大学教育学部に続き2例目.
    【大学改革】(5)栃木県内16校が大学コンソーシアム設立 (pdfファイル)
    【大学改革】(6)京都大が中国,韓国,香港,台湾の4大学と学術交流協定... 中国科学技術大学,韓国科学技術院,香港科技大学,台湾大学の4大学と
    【大学改革】(7)京都大,ロゴ使用で企業から協賛金...日本の大学では初の試み.
    【大学改革】(8)3国立大,若手研究者の人材交流プログラム... 東京工業大学,名古屋大学,大阪大学が,各大学の工学系の助教授や講師を2人ずつ,3年間にわたり派遣.
    【トピック】(1)法科大学院の今年度入試,6割が定員割れ... 全74校のうち45校が定員割れ.総定員5825人に対し欠員数は計281人.志願倍率も13倍から7.2倍に下がった. 文部科学省・ 平成17年度法科大学院入学者選抜実施状況の概要
    【トピック】(2)文科省,大学院生の長期インターンシップ制度導入... 理工系の大学院生を対象とし,期間を3カ月以上.7月中に10件程度を選んで各1000万円程度を支給. 文部科学省・ 文部科学省・産学連携による高度人材育成
    【トピック】(3) 国立大学マネジメント研究会」が発足... 効率的な組織改革や非公務員となった教職員の労働問題,外部資金の獲得手法,病院経営,地域連携 のあり方などが具体的な研究テーマ.
    【トピック】(4)ポスドクが激増,2004年度1万2500人に... 1年間で約2300人も増加.年齢別では約8%が40歳以上. 文部科学省・科学技術・学術審議会・人材委員会(第32回)配布資料
    【トピック】(5)企業の採用予定,博士には低い評価− 毎日コミュニケーションズ調査... 博士を「採用予定なし」「採用中止」は計41.1%に.
    【トピック】(6)文科省,大学など13校新設を諮問... 文部科学省・平成18年度開設予定大学等認可申請一覧
    【トピック】(7)来春センター試験は1月21,22日−初の英語リスニング実施... 大学入試センター・平成18年度センター試験実施要項
    【トピック】(8)大学院設置基準を見直しへ−社会人教育で定員4倍に ...5/7 毎日新聞報道.人口1000人あたりの大学院在学者 数を,2030年までに現在の約4倍の8人に引き上げる数値目標を設定.
    【トピック】(9)大卒の就職率は93.5%,5年連続上昇... 文部科学省・平成16年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在) 文部科学省・平成17年3月高等学校卒業者の就職状況(3月末現在)
    【トピック】(10)三井住友銀,大学の特許技術を取引先企業に紹介... 三井住友銀行 大学保有のライセンス販売支援開始
    【トピック】(11)キャンパス移転反対の訴え,学生が敗訴...平安女学院大学
    【トピック】(12)若手官僚の海外留学,早期退職なら費用返還を−人事院... 「留学中か帰国後5年 以内に退職した場合,授業料分を返納する」ことを明記した確認書を留学前に提出
    【トピック】(13)国立科学博物館が大学生の無料入館制度... 国立科学博物館大学パートナーシップ
    【海外大学事情】(1)中国−今年の大卒予定者338万人,就職率目標は73%
    【IT化】(1)オンデマンド授業流通フォーラム」が設立 ...早稲田大学や慶応大学など46校
    【IT化】(2)文科省,スーパーITハイスクールに5校指定 ...政府の「e-Japan戦略2」に基づく「IT人材育成プロジェクト」の一環として行なわれている事業で,計15校に. 文部科学省・平成17年度「IT人材育成プロジェクト」研究指定校の決定


 
2005/05/30 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【惑星物理】木星と土星の軌道変化で太陽系形成の3つの謎を説明
    フランス・アメリカの研究者が,木星と土星が太陽系形成の初期に軌道を変化させたことで,惑星物理の多くの謎を説明できる,とする数値シミュレーション結果を発表した.土星は軌道を外側に,木星は軌道を内側にしたことで,太陽系の重力バランスが変化し,微惑星群(planetesimals)が海王星の外側に移動した.その結果,土星の公転周期が木星のちょうど2倍になり,重力的な共鳴現象が発生し,天王星や海王星の軌道を遠方に押しやったという.そして,移動した天王星と海王星が微惑星群に中心力を与え,惑星衝突(Late Heavy Bombardment)を多大に引き起こしたという. このシナリオにより,「巨大惑星が離心率の大きい楕円軌道を持つこと」「トロイ小惑星群 (Trojan asteroids) が木星とほぼ同じ軌道を周回すること」「月のクレーターが,月の形成後7億年後にできていること」の3つの惑星物理としての謎が説明されるという. 5/25 PhysicsWeb,
    Origin of the orbital architecture of the giant planets of the Solar System K. Tsiganis et al, Nature 435, 459-461,
    Chaotic capture of Jupiter's Trojan asteroids in the early Solar System, A. Morbidelli et al, Nature 435, 462-465 ,
    Origin of the cataclysmic Late Heavy Bombardment period of the terrestrial planets R. Gomes et al, Nature 435, 466-469

  • 【天体観測】他の惑星系で初めて潮汐現象の観測
    惑星を持つことが知られているうしかい座tau星を観測した結果,tau星そのものの明るさの変化が惑星の公転と一致していることが明らかになった.表面のガスが惑星の引力に引きつけられて,惑星の公転と同じ周期で自転するようになっているためと考えられ,月が地球の表面で潮の満ち引きを起こすのと同じような潮汐力が作用しているものと推測されるという.惑星自体は,直接観測されていないが,質量はtau星の1%以下(木星の4倍)にも関わらず,惑星軌道が地球と太陽までの距離の20分の 1と近い(公転周期は3.3日)ことから影響を及ぼしていると思われる.カナダ初の宇宙望遠鏡を搭載したMOST(Microvariability & Oscillations of STars)衛星を使った観測結果.5/25 AstroArts5/25 カナダ天文学会リリース

 

今週のサイエンティスト情報


 
2005/05/23 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【原子核物理】新しい同位体Zn54の合成と2陽子崩壊
    Zn54の同位体を初めて合成することに成功した,とフランスのグループが報告した(nucl-ex/0505016).しかも,Zn54は,2陽子崩壊することも確かめられ,核子内の陽子捕獲メカニズムの解明が進むと期待されている. 実験は,フランスのCENBGグループで,Ni58イオンとNiを衝突させるもの. Zn54(陽子30+中性子24)は,10^{17}回のイオン衝突実験に一回合成され,半減期3.7ミリ秒は予言通りの結果だった. 不安定核は,alpha, beta, gamma線を放出して崩壊することが主として知られているが,陽子が過剰な場合,陽子を放出して崩壊することが20年前に発見されている.奇数個の陽子を持つ核から陽子崩壊する現象は多く知られていたが,偶数個の陽子・中性子を持つ核から2陽子崩壊する現象は2002年にFe45で確認されて以来のこと.5/20 PhysicsWeb

  • 【素粒子物理】新しい中間子Y(3940)を発見,ハイブリッド中間子か.
    KEKのBelle実験グループは,Y(3940)と呼ぶ新しい中間子(meson)を発見したと論文発表した (S-K Choi et al. Phys. Rev. Lett. 94 182002). 通常の素粒子の分類では,1対のクォークと反クォークとで成り立つ中間子と,陽子や中性子などのバリオンとに大きく2分されるが,Belleが2年前に発見したX(3872)は,この分類法に合わず,しばらく "mystery meson"と呼ばれていた.現在では2対のクォークと反クォークであると理解されている.今回発見されたY(3940)は,1対のクォークと反クォークに1グルーオンを加えた"hybrid meson"ではないか,と期待されている.hybrid mesonは1978年に理論的に予言されて以来,未だに発見されておらず,今回の実験でも質量が予言値よりわずかに小さいため,まだ断定されていない. 5/16 KEK press, 5/18 PhysicsWeb

  • 【剛体力学】ゆで卵,毎秒30回転以上で宙に浮く
    5/20 朝日新聞などは,「横になったゆで卵をコマのように高速でまわすと,ある時点でひとりでにジャンプする――直感的には信じがたいこんな奇妙な現象を,慶応大と英ケンブリッジ大の研究者が厳密な数学に基づいて予測した. テーブルの上でゆで卵を水平方向に勢いよく回転させると,重心が上がり,ひとりでに起きあがる.長年のなぞを2002年に初めて数式で説明した下村らは,さらに,起きあがる過程で卵が細かく振動する様子を,流体力学などの理論で詳しく解析した.すると,毎秒約30回転以上の速さでまわすと,振動の力が一時的に重力と等しくなり,回転軸が45度前後になった時にわずかに卵が宙に浮くと分かった.計算では跳ぶ高さは最大約00.1ミリ,浮上時間は0.02秒以下と出た.」と報道した.
    該当する 論文(Shimomura et al, Proc. Royal Soc. A., 1471-2946 (Online))は,軸対称剛体(特に質量中心が体積中心と一致する場合)の回転現象を水平版上で一般的に解析したもの.2つのタイムスケールを扱う手法を取り入れて,高周波についての近似解を得たところ,不安定モードの存在を見いだした.剛体がジャンプアップする解があり,ジャンプした後の厳密解が存在するという.

  • 【天文観測】すばる望遠鏡,土星の新衛星を12個発見
    Hawaii大学Harvard大学の研究チームは,マウナケア山頂のすばる望遠鏡をはじめとする望遠鏡群を用いて,土星の新しい衛星を12個発見した.今回発見された衛星は,大きさがわずか3〜7キロメートルと非常に小さく,11個は土星の自転と反対向きに回っている逆行衛星.土星の外側には,同様の逆行衛星が数多く発見されている.この発見によって,国際天文学連合から発表されている土星の衛星の数は,不確かなものまで含めると49個となり,この直後に報じられたカッシーニ探査機による発見を含めると50個となった.(5/9 すばる望遠鏡プレスリリース5/19 国立天文台アストロ・トピックス

 

今週のサイエンティスト情報

  • 【生命倫理】米大統領,ES細胞研究緩和に拒否権を行使
    ブッシュ大統領は20日,近く下院で採決される胚性幹細胞(ES細胞)の研究規制緩和法案について,「拒否権を行使する」との意向を明らかにした.患者のクローン胚をもとにES細胞を作製した韓国の事例が話題になる中,受精卵を壊してつくるES細胞の研究を認めない政策の堅持を明確にした.
    大統領は2001年,その時点で存在した少数のES細胞を用いる研究以外に連邦予算を支出するのを禁じた.「難病の治療に役立つ可能性のあるES細胞研究にブレーキをかけるべきではない」という研究者や患者の声に押され,超党派の下院議員による規制緩和法案が来週にも採決される.しかし,大統領は「生命(受精卵)を破壊する研究に国民の税金を使ってはならない.それを許す法案には拒否権を行使する」と記者団に明言.大統領はこれまで一度も拒否権を行使したことはない.有力な支持母体である宗教右派への配慮から,生命倫理では妥協をしない構え. (5/21 朝日新聞)


 
2005/05/16 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【アナロジー】実験室で超弦理論実験のレシピ
    ボゾンとフェルミオンの超対称性(supersymmetry)を含めた超弦理論(superstring theory)は,すべての物理法則を含む究極の理論として期待されているが,実験的に直接検証できる手段がない.ところが,非相対論的Green-Schwarz4次元超弦を,超低温の原子気体を用いることによって実験的に生成可能である,というプレプリントが出された(M. Snoek et al, cond-mat/0505055). Bose-Einstein凝縮体(BEC)内の渦糸(vortex)に捕獲されたフェルミオン原子気体の振る舞いを見る,というアイデアで,超弦のボゾン部分は回転する1次元のBECによって作られる渦糸とフェルミオン原子が,レーザによって相互作用を調整することにより,超対称状態を作ることが可能になる,という. 5/11 PhysicsWeb

 

今週のサイエンティスト情報

  • 【大学情報】5月9日に配信された大学情報より.
    【注目記事】北海道大,博士課程の授業料無料に
    北海道大学工学研究科と情報科学研究科は今年度から,博士課程の1年次の 院生全員を対象に,授業料(年額53万5800円)を全額助成する制度を 導入した.日本では修士課程を終えた時点で就職する学生が多く,博士課程 の人気は低迷している.助成によって学生増につなげたい考え.学生はいっ たん授業料を払うが,大学が研究補助員として採用する形で,授業料とほぼ 同額の報酬を支払う.来年度は2年次学生にも対象を拡大する.山口大学や 琉球大学など一部の成績優秀者の授業料を免除している大学はあるが,全学 生の授業料を一律免除する国公立大は全国で初めて.


    【大学改革】(1)東北文化学園大が校名変更検討−イメージ回復へ
    【大学改革】(2)東京大,外部学校が英語の授業...工学部がベルリッツ・ジャパンと日米会話学院に 委託
    【大学改革】(3)早稲田大がシンガポールに大学院を設置... 技術経営学修士と経営学修士
    【大学改革】(4)早稲田大が文学部を再編,文化構想学部と文学部を 新設
    【大学改革】(5)富山国際大,「NPO実務士」の認定課程を設置
    【大学改革】(6)静岡大,入試に「専門高生枠」導入
    【大学改革】(7)名古屋大が上海に海外事務所
    【大学改革】(8)立命館大が全学の教育プログラムに数値目標を導入...「評価・検証指標」
    【大学改革】(9)大学コンソーシアム京都,新たに京都大が参加 ...「21世紀学」分野で「救急蘇生法実習」を提供.京大生の他校の受講は認めず.
    【大学改革】(10)広島大が入試に「ゼミナール選考」導入...センター試験を課さず, ゼミナールを受講させてリポートや実験,討論などで選考
    【大学改革】(11)佐賀大,学長選で学外からの推薦認める
    【トピック】(1)「論文博士」制度廃止へ−中教審部会
    共同通信は4月14日,中央教育審議会の大学院部会が同日までに,企業や 公的な研究所で業績を挙げた社会人が,論文などの審査を基に博士の学位を 得る「論文博士」制度を廃止し,大学院のカリキュラム修了者を対象に与え る「課程博士」制度に一本化する方向で一致したと報じた.学位の国際的信 頼性を確保するのが目的で,文部科学省は省令を改正し,大学院に短期間在 学する「博士課程短期在学コース」の創設なども検討しているという.
    【トピック】(2)「特色ある大学教育支援プログラム」に応募410件...本サイト 4/19 既報
    【トピック】(3)センター試験利用,過去最多の594大学に...私立 大の参加率は82.2%
    【トピック】(4)「21世紀COEプログラム」の予算配分決定...本サイト 4/19 既報
    【トピック】(5)10校が会計大学院協会を設立
    【トピック】(6)都立高校長有志が海外大学進学を支援
    【トピック】(7)就職志望調査−全日空が初の1位,NHK急落
    【トピック】(8)トムソンサイエンティフィック,論文の引用実績を発表
    【トピック】(9)センター試験のネット書き込み問題,漏洩なしと断定
    【トピック】(10)定年退職の助教授を"1日教授"に昇任−大阪市立大
    【トピック】(11)民主党,高校・大学の無償化を提唱
    【海外大学事情】(1)ロシア−無料教育など維持求め,大学生の抗議拡大
    【IT化】(1)大学・短大生向け講義評価の口コミサイト開設

今週のセレブ

  • 【フランクリンメダル】 The Franklin Instituteは,2005年度の Benjamin Franklin Medal in Physics を南部陽一郎に授賞することを発表した. (これまでの受賞者リスト
    2005 南部陽一郎Chicago Univ. for his path-breaking contributions leading to our modern understanding of sub-atomic particles―the Standard Model. His work has revolutionized our ideas about the nature of the most fundamental particles and the space through which they move.


 
2005/05/09 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報


2005年4月以前の分はここ


トップへもどる