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Einstein1905.info :: What's New in Science?

2005年9月-12月分    最新版はここ,    索引はここ

2006年
01/02
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2003年 開く 閉じる

by Hisaaki Shinkai


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2005/12/19 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【地球温暖化】COP11閉幕, ポスト京都議定書で米国含めた「対話の場」新設
    地球温暖化防止に向けた気候変動枠組み条約第11回締約国会議(COP11)は10日,長期的な温暖化対策の交渉を開始する「モントリオール決定」を採択し閉幕した.同条約の下にある京都議定書の第1回締約国会合(COP/MOP1)も,2013年以降の排出削減に向け協議機関の新設で合意し,閉幕した.
    今回の両会議・会合では,京都議定書が規定していない2013年以降の「ポスト京都」で,温室効果ガス削減の制度についてどう交渉していくかが共通の焦点になった.「モントリオール決定」は,米国を含む全条約締約国でワークショップを開催.長期的な対策について対話を行うことになった.12/10 京都新聞

  • 【惑星探査】小惑星探査機はやぶさ 岩石採取は失敗の可能性 地球帰還も3年延期
     宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は7日,地球から約2億9000万キロ離れた小惑星イトカワに11月26日に着陸し,世界初の岩石採取に成功したとしていた探査機はやぶさについて「採取に必要な金属球が発射されていなかった可能性が高い」と発表した.採取は失敗したとみられる.また,26日の離陸直後から姿勢制御に不具合があり,地球への帰還も確実ではない.問題となっている姿勢制御のための噴射装置の不具合が解決できない場合,推進に使うイオンエンジンの燃料ガスを姿勢制御に転用して帰還することも検討している. 12/7 京都新聞

    姿勢制御ができなくなった探査機「はやぶさ」について,宇宙航空研究開発機構は14日,今月中の地球に向けての出発を断念し,帰還を当初予定の2007年6月から3年間延期すると発表した.12/14 京都新聞

 

今週のサイエンティスト情報


 
2005/12/05 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

 

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  • 【大学情報】12月2日に 配信された 大学情報より.
    【注目記事】「学校法人活性化・再生研究会」が初会合
    日本私立学校振興・共済事業団が私立大の破綻処理策などを検討するために有識者らで構成する「学校法人活性化・再生研究会」を発足,11月24日に初会合を開いた.私立大経営者や公認会計士,弁護士ら22人が参加し,経営破綻した大学の学生保護や教職員の救済の仕組みなどについて検討を進める.2006年6月頃に中間報告,2007年6月頃に最終報告をまとめる予定.一方,日本私学経営活性化協会も10月,弁護士や公認会計士,不動産鑑定士ら約20人で組織する「私学経営支援委員会」を発足.経営が悪化した私立大の相談に応じる体制を整えた.

    【大学改革】(1)北海道大大学院に観光分野の新専攻
    大学院国際広報メディア研究科に新しい専攻を設置.国立大大学院が観光に関する専攻や研究科を設置するのは全国初.
    【大学改革】(2)山形大が天文台の命名権売却へ
    山形市の小白川キャンパスにある天文台の運営費用(年間約140万円)を工面するため,望遠鏡ドームの命名権売 り出し.NPO法人「小さな天文学者の会」
    が発案.
    【大学改革】(3)東京大,中国・無錫市に研究拠点−環境・エネルギーで連携
    「東京大学無錫代表所」を開設.同大が中国に拠点を設けるのは北京市に続いて2カ所目.
    【大学改革】(4)慶応大院にルイ・ヴィトンの寄附講座
    フランス教育研究の講座「ルイ・ヴィトン ジャパン講座」を来春開設
    .費用をルイ・ヴィトン・ジャパンが負担する.テーマは「官民ガバナンス」,「リーダーシップ」,「ガバナンスと持続可能な発展」など.
    【大学改革】(5)中央大理事長にセブン&アイHDの鈴木会長...現職の著名な民間企業トップ が有力私立大の理事長に就任するのは珍しい.
    【大学改革】(6)岐阜大医学部,基礎研究に奨学制度... 最高1000万円の独自の奨学制度を創設.医学科の3年生以上が対象.奨学金を受け,大学院を修了した学生には,助手のポスト も用意する.基礎研究だけに限った奨学制度は全国で初めて.
    【大学改革】(7)龍谷大と桃山学院大,共同で 日中ビジネスの大学院コース
    【トピック】 (1)文科省,虚偽の大学設置申請に罰則
    大学などの設置に関して虚偽の申請があった場合のペナルティーを新たに制度化して厳正に対処する方針.負債を隠したり,教員の研究業績を水増ししたりするなど,設置申請書類に虚偽の内容を含む計画が目立ってきたため.虚偽が発覚した場合には一定期間認可をしない方針.
    【トピック】 (2)2007年度センター試験,5私大が新たに参加
    私立大の参加は443校1184学部となり,参加率は81%に.
    【トピック】(3)旭インターネット大学院大,「自宅が校舎」は不可
    大学設置・学校法人審議会が「大学の管理運営上の需要に十分に対応できない」として設置を 認めなかった.
    【トピック】 (4)国立大の入学料,来年度値上げを検討
    国立大学の入学料の目安となる「標準額」について,来年度からの値上げが検討されている,と朝日新聞が報道.
    【トピック】 (5)大学生の就職内定率−昨年同期を4.5ポイント上回る
    厚生労働,文部科学両省は,来春卒業を予定している大学生の 就職内定率(10月1日現在)を発表した.内定率は65.8%で,昨年に引き続き回復傾向.
    【トピック】(6)学生の理科系離れ深刻−OECD調査
    日本の学生の理科系離れは主要先進国の中で も深刻であることが,理科系大学への進学率や学位取得などの状況を各国で 比較する経済協力開発機構(OECD)の初調査で明らかに. 日本は2003年と1993年の比較で理科系学部への入学者数が1.11%減少し,フランスに次いで大きなマイナス幅となった.また日本は理科系学部で男子学生が約9割を占め,調査対象の13カ国で女子学生の比率が最 低だった.
    【トピック】(7)教員の6割が学生の学力低下を問題視
    「大学生の学習意欲と学力低下」のテーマで,大学入試センター教授らの研究グループが全国調査した結果,大学 教員(約400校,600学部の教授,助教授)のうち6割が学生の学力低下を問題視していることがわかった.所 属学部で学力低下がどれだけ問題になっているか,との質問に対し,全体の 8%の教員が「授業が成り立たないなど深刻な問題」,53%が「やや問題」と答えた.
    【トピック】 (8)予算削減で「蔵書維持が困難」−国立大図書館協会が声明
    国立大学図書館協会が, 図書館の予算や職員の確保を求める声明を発表.学術雑誌や書籍を購入する資料費は2000年度の約260億円から,2004年度は237億円に減少している.
    【トピック】 (9)立命館大でスト−ボーナス削減で理事会と組合が対立... 立命館大や中学・高校の教職員ボーナスを1カ月分削減する提案をめ ぐり,理事会と教職員組合連合が対立.
    【トピック】 (10)三菱UFJ銀行が大学発特許の知財信託を受託
    九州大学発のベンチャー企業が保有する「特許を受ける権利」の受託に向け,基本合意書を締結したと発表 (pdf). 特許権の取得が見込める大学の知的財産を受託し,製品化できる企業に供与. 受益権を小口化したうえで投資家に販売し,売却代金を大学側に渡す.
    【トピック】 (11)大分・別府市で 「世界観光学生サミット」開催
    21カ国・地域の大学生,研 究者ら460人が集まり,観光振興に関する9つのテーマについて議論.持続可能 な観光の発展について考える「世界観光学生機構」の設立を提言をまとめて 終了.
    【海外大学事情】 (1)米国−スタンフォード大などが iPod で講義聴講
    米国のスタンフォード大学などが,講義内容を録音しインターネットで配信を始めた. 主に学生が復習に使うことを想定し,利用は無料. 各大学が使うのは,アップルコンピュータの音楽 配信サービス 「iチューンズ・ミュージックストア」の技術
    【海外大学事情】 (2)韓国−入試に携帯電話所持で受験生摘発
    受験生12人の受験資格を無効に.昨年起きた携帯電話を使った集団カンニング騒動を受け, 今年から金属探知機まで投入し,徹底的な携帯電話の「摘発」.
    【海外大学事情】 (3)中国−大学生の自殺が社会問題化
    背景には経済発展に伴う競争激化に加え,「一人っ子政策」の影響との指摘も.
    【IT化】 (1)マツダ,広島大の教育用PCで衝突解析に成功
    広島大のパソコン17台を使った「キャンパスグリッド」を用いて, スポーツカーの正面衝突のデータ解析を約44時間で 完了


 
2005/11/28 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

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  • 【惑星科学】「はやぶさ」,小惑星イトカワより岩石採取に成功,2007年に帰還の予定
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ」は,26日,地球より約2億9000万キロ離れた小惑星イトカワに着陸し,岩石採取のための金属球を発射,地表から跳ね返った岩石を採取し,約1秒後に離陸することに成功した.天体から岩石を地球に持ち帰るのは,アポロの月の石以来となり,「快挙」との報道された.11/26 京都新聞.20日には一時着陸したが,岩石採取はできなかった.(着陸した,と確認・報道されるまでは,時間がかかった.11/23 京都新聞)また,一時は,姿勢制御が不能となり,着陸にも絶望的観測と報道された.燃料も少なくなり,金属球も最後の1球となった25日に最後の挑戦が成功したことになる.2007年6月にはやぶさは地球の大気圏に到達し,オーストラリアの砂漠にカプセルを落とす予定だという.JAXA はやぶさ関連記事一覧

 

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  • 【顕彰】仁科賞
    仁科記念財団は, 仁科記念賞の 今年の受賞者を発表した. 物理学で優れた業績を挙げた国内の研究者に贈られる賞で,賞金は50万円.最近の受賞者は, ここ
    2005/51th 永長直人「異常ホール効果の理論的研究」
    西川公一郎「加速器ビームによる長基線ニュートリノ振動の観測」
    森田浩介「新超重113番元素の合成」

  • 【顕彰】英国王立メダル
    イギリス王立協会 (Royal Society of London ) は,今年の英国王立メダル(The Royal Medal)の受賞者を発表した.最近の受賞者は, ここ
    2005 Michael Fisherfor his seminal contributions to wetting transitions, dislocation melting and criticality of ionic solutions and many other topics in Statistical Mechanics.
    2005 Anthony Pawson for his discoveries which have revealed the principles underlying cell signalling, and have been pivotal in understanding pathological states such as cancer.
    2005 Michael Pepperfor his work which has had the highest level of influence in condensed matter physics and has resulted in the creation of the modern field of semiconductor nanostructures.


 
2005/11/14 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

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  • 【大学情報】11月2日に 配信された 大学情報よ り.
    【注目記事】熊本大がeラーニング専門家養成で大学院設置へ
    熊本大学(崎元達郎学長)は9月30日,大学院社会文化科学研究科に来年度,インター ネットを活用したeラーニングの専門家を養成する「教授システム学専攻」(修 士課程)を全国で初めて設置すると発表した.情報通信,知的財産権,マネジメントなど の分野を体系化した「教授システム学」の教育研究を行う.eラーニングは,欧米や韓国 などに比べて日本での普及が遅れており,専門知識を持つ人材が不足.同大は今後の成長 分野と判断した.

    【大学改革】(1)北海道教育大が「小中学校行事手伝い」を必修に
    教育実習とは別に,小中学校の授業やイベントを手伝いながら子どもと触れ合う「教育フィールド研究」 の履修を義務付け.週一回,通年で行うことを基本.
    【大学改革】(2)北海道工業大,義肢装具士養成へ
    【大学改革】(3)山形大がNY州立大(SUNY)と包括協定
    eラーニングによる遠隔教育や短期留学などの学生交流,教職員交流などを 進める予定. SUNYは64大学・短大で構成され,学生総数が40万人を越える.
    【大学改革】(4)山梨大のロゴ入りワインが商品化
    ワイン科学研究センターが研究・開発. ワインにはロゴの他,同大の研究成果,技術の説明を明記.
    【大学改革】(5)筑波大,世界文化遺産学の博士課程を新設
    修士課程に「フロンティア医科学専攻」「スクールリーダー シップ開発専攻」を新設(それぞれ「医科学専攻」「教科教育専攻学校教育コー ス」から名称変更).これまで修士課程のみだった「世界文化遺 産学専攻」には新たに博士課程を設置.
    【大学改革】(6)名古屋女子大,喫煙学生が半分以下に減少
    【大学改革】(7)大阪大と大阪外国語大,統合後の新学部断念 −文科省が難色
    2007年度中の統合に向けた協議を進めている2大学が,統合のシンボ ルとして構想していた新学部(「国際学部」「国際政策学部」)設置を断念した,と読売新聞報道. 文科省は,今年7月末,行政改革や少子化などを理由に 「難しい」との見通しを伝えたという.
    【大学改革】(8)立命館大,韓国・淑明女子大と共同学位制度
    【大学改革】(9)関西大が卒業生の就職を支援−パソナと提携
    パソナのグループ企業「関西雇用創出機構」と提携して「卒業生就業支援室」を設置
    【大学改革】(10)関西外国語大,NY州立大オルバニー校と共 同学位制度
    【大学改革】(11)宗教系6大学院が大学院連合
    キリスト教系の同志社大学や仏教系の龍谷大学など,宗教系6大学の大学院 が,「京都・宗教系大学院連合」を設立. 来年4月から宗教の共通科目を設定し,単位互換制度 をスタートさせる予定.
    【大学改革】(12)京都府立大が「おいしい朝食,成績アップ事業」
    【大学改革】(13)萩国際大,再生計画案を提出
    【トピック】(1)文科省,私立大の「破たん保険制度」創設へ
    各私立大が出し合った資金をプールし,在学生が卒業するまでの運転資金に使う考え.いわば預金保険機構の大学版で, 破たん処理の仕組みを総合的に整備する取り組みの一環. 文部科学省「経営困難な学校法人への対応方針について」
    【トピック】(2)文科省,「魅力ある大学院教育」プログラム に97件採択
    文部科学省が,10月25日, 大学院の優れた教育の取り組みを財政支援する 「魅力ある大学院教育イニシアティブ」の採択結果を 発表した.初年度に当 たる今年度は,147校338件の申請の中から,45校97件を採択. 97件の内訳は,国立大78件,公立大3件,私立大16件. 各プログラムには1件当たり年間5000万円程度を上限に,2年間補助金を交付.
    【トピック】(3)文科省,21世紀COEで中間評価−4件が達成困難
    日本学術振興会など4機関でつくる21世紀COEプログラム委員会は10 月11日,同プログラムの2003年度採択分131件について中間評価をまとめた.「計画が順調で目的達成可能」が58件,「達成に一層の努力が 必要」が69件で,慶応大学や千葉大学など4件については,「このままで は当初目的を達成することは難しい」として,当初計画の適切な変更が必要 との評価を示した.
    【トピック】(4)学校経営の株式会社,「学校設置会社連盟」を設立
    構造改革特区で大学などを経営する株式会社が10月27日,「学校設置会 社連盟」を設立した.中学1校,高校7校,大学・大学院3校を経営してい る計11社が参加.学校設置会社が協力して,情報交換や調査研究,広報活動などに取り組む.
    【トピック】(5)文科省などが研究費の不正対策で指針
    内閣府や文部科学省,厚生労働省など1府7省は,研究者が水増し請求などの不正をした場合, その研究者の応募資格を2−5年間止める ことなどを申し合わせ,統一指針をつくったと朝日新聞が報じた.
    【トピック】(6)大学入試センター試験,出願者は53万人
    【トピック】(7)専門職大学院,TACなど2校が申請取り下げ
    【トピック】(8)大学院教育に期待,採用・人事では配慮なし −東京の大手企業
    朝日新聞のアンケート結果.修士の学位を取得した社員を,昇進や賃金の面で「一定の配慮をする」と答 えた企業は,わずか.
    【トピック】(9)文科省,ニート支援で専門学校などと連携
    新たなニート(若年無業者)対策と して,専門学校や若者支援のNPOと連携した短期職業教育に乗り出す方針. 2億円を来年度予算の概算要求に盛り,来年夏ごろからの実施.
    【トピック】(10)ネットワーク多摩が卒業生のニート支援事業
    【トピック】(11)大学誘致,「是非は住民投票で」−日向市の 市民団体が署名活動
    【海外大学事情】 (1)タイ−大学で象の学習講座
    【IT化】 (1)センター試験の英語リスニング対応電子辞書−キャノンが発売


 
2005/10/31 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

 

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  • 【顕彰】C&C賞
    C & C 振興財団は,2005年度のC&C賞受賞者を発表した.半導体デバイス技術,情報処理技術,電気通信技術,およびこれらの融合する技術分野(C&C分野)の開拓または研究に関する功労者を顕彰するもので, 毎年2件に対し各1千万円が贈呈される.最近の受賞者は, ここ
    2005 榎 啓一
    夏野 剛
    松永真理
    携帯電話のサービスを飛躍的に発展させた"iモード(R)"を創出し,これを世界中に展開可能なビジネスモデルにまで高めた業績
    2005 Robert E. Kahn
    Lawrence G. Roberts
    Leonard Kleinrock
    情報通信ネットワークの根幹を成すパケット交換原理を提唱し,その通信プロトコルTCP/IPを発明し,ARPANETなどの初期インターネットを構築することによりインターネット隆盛の基礎を築き上げた業績


 
2005/10/17 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

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  • 【惑星科学】探査機「はやぶさ」,姿勢制御装置故障のまま小惑星イトカワの岩石採取へ
    探査機「はやぶさ」は,3基ある姿勢制御装置の2基が故障し,11月に予定している小惑星イトカワの岩石採取の際,狙った場所に接地できない可能性がある,と 宇宙航空研究開発機構が4日,発表した.(10/4 京都新聞) イトカワは長さ約600メートル,幅約300メートルの細長い小惑星.現在の軌道には観測による誤差がある上,火星や地球と接近を繰り返すうちにその誤差が拡大するため,将来の軌道の確定は難しいが,今後,地球に衝突するのは100万年に1回(金星と衝突する可能性は約3000万年に一度,火星とは約9億年,水星とは約12億年に1回)であるとの解析結果も発表された.(共同通信)10/5 京都新聞

  • 【宇宙開発】中国の有人宇宙船「神舟6号」,5日間の飛行で帰還
    中国の有人宇宙船「神舟6号」は17日早朝,約5日間の飛行を終え,中国内陸部の内モンゴル自治区に帰還した.2度目の有人宇宙飛行の成功となった.16日付の中国各紙は,中国が南部の海南省(海南島)に新たな衛星打ち上げセンターの建設を計画していると伝えた.(共同通信)10/16 京都新聞

    中国政府は有人宇宙船計画を3段階に分けており,今回の成功で最初の段階をクリアしたと位置づけている.「第2段階は短期間滞在できる小型宇宙ステーションの建設,第3段階は長期滞在の大型宇宙ステーション」らしい.2007年に打ち上げ予定の神舟7号では初の船外活動,さらに同8号,9号で船体同士のドッキングも計画.宇宙ステーション建設に向けて着実に前進しており,将来的には実験・研究を行う場になる.さらに,2004年から月面探査の「嫦娥(じょうが)(月に住む仙女)計画」に着手し,2020年までに有人宇宙船の月面着陸成功という大きな目標を掲げている.10/13 毎日新聞

  • 【宇宙開発】シャトル再開は5月が目標,米2社がスペースシャトルの後継機構想を発表
    米航空宇宙局(NASA)は14日,来年3月を目指すとしてきたスペースシャトル飛行の再開時期を遅らせ,5月3日−23日を目標にすると発表した.外部燃料タンクの断熱材脱落の原因調査が長期化した上,ハリケーン「カトリーナ」の深刻な被害が追い打ちをかけた.今年7月の飛行で脱落した断熱材の問題解決までシャトル飛行を凍結することになっているが,まだ原因が特定できていないという.(共同通信)10/15 京都新聞

    米国ノースロップ・グラマン社とボーイング社の合同チームは12日,スペースシャトルの後継機としてNASAが計画する新型有人探査機(CEV; Crew Exploration Vehicle)の基本構想などを公表した.外見は,アポロ宇宙船にそっくり.NASAはシャトルの飛行を2010年までで終了させる一方,後継機を開発し,2018年には飛行士を月に送る計画を持ち,来春までに後継機の受注企業を選定する予定.(共同通信)10/13 京都新聞, NASA CEVページ

 

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2005/10/06 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
   

今年度のノーベル賞自然科学3賞

  • 2005年ノーベル生理学医学賞は「ピロリ菌の発見」豪2氏に.
    受賞者は,Barry J. Marshall(バリー・マーシャル氏,西オーストラリア大,54歳)と J. Robin Warren(ロビン・ウォーレン氏,68歳)の2人.受賞理由は「ヘリコバクター・ ピロリ菌の発見と胃炎や消化性潰瘍における役割の発見(for their discovery of the bacterium Helicobacter pylori and its role in gastritis and peptic ulcer disease)」.両者は82年の共著論文で,胃炎や胃潰瘍にかかったほとんどの患者の病変部 にピロリ菌が存在し,その病原性を証明した.それまでの,強酸性の胃では細菌が生きら れない,という常識を覆した.後に,日本のグループが,細菌が原因で胃がんになること を示している.懐疑的な医学界に対し,Marshall氏は自らピロリ菌を飲んで腹を壊し,病 原性を証明したエピソードも報道された.日本人の約半数がピロリ菌に感染しているとい う.賞金は2者で折半される.

  • 2005年ノーベル物理学賞は「量子光学と精密分光」米2氏,独1氏に.
    受賞者は,Roy J. Glauber(ロイ・グラウバー氏,米ハーバード大,80歳), John L. Hall(ジョン・ホール氏,米国立標準技術研究所,71歳), Theodor W. Hänsch(テオドール・ヘンシュ氏,独マックスプランク量子光学研究所,63 歳)の3人.受賞理由はGlauber氏が「光学コヒーレンスの量子理論への貢献(for his contribution to the quantum theory of optical coherence)」,他の2氏が「光周波数 コム技術を含む,レーザを使った精密分光の発展への貢献(for their contributions to the development of laser-based precision spectroscopy, including the optical frequency comb technique)」.Glauber氏1960年代,量子力学を光に適用し,量子光学理 論を創り,その後の精密計測技術や通信技術に道を開いた.Hänsch氏は90年代後半,周波 数を等間隔に束ねたレーザを実現,その後Hall氏と共に,この「光周波数コム」を用いて 光の周波数を高精度で測る技術に発展させた.将来的にGPSの精度を高める技術となると 期待されている.Hänsch氏は,過去のノーベル物理学賞の対象となったレーザ分光(1981 年)の共同研究者,レーザ冷却(1997年)の提案者でもあり,3度目の正直とも報道され た.賞金は半分がGlauber氏に,残りを2氏が折半する.

  • 2005年ノーベル化学賞は「有機合成の効率化」仏1氏,米2氏に.
    受賞者は,Yves Chauvin(イブ・ショーバン氏,仏石油研究所,74歳), Robert H. Grubbs (ロバート・グラッブス氏,米カリフォルニア工科大学,63歳), Richard R. Schrock(リチャード・シュロック氏,米マサチューセッツ工科大学,60 歳)の3人.受賞理由はGlauber氏が「有機合成におけるメタセシス反応の開発(for the development of the metathesis method in organic synthesis)」 「メタセシス」はギリシャ語で「位置交換」の意味.炭素の二重結合部分が触媒を使って結合の相手を交換し合うメタセシス反応の機構をChauvin氏が解明.Grubbs氏とSchrock氏は反応に必要な触媒を開発した.Grubbs氏らが92年に論文を発表し,95年に開発した触媒は,市販されていて,(1)少量の原料で効率的に進む(2)常温常圧で反応(3)有毒な廃棄物が少ない,などの特徴がある.効率良く,環境への負荷が少ない有機物合成に道を開いたとされ,将来は薬の開発,農薬の合成などに応用が期待できるという.賞金は3者で等分される.

各賞とも賞金は1000万クローネ(約1億5000万円).授賞式は12月10日にストックホルム で開かれる.
当サイトの国際賞一覧で掲載している,他の主な国際賞との重複は次の通り.
  • 生理学医学賞のMarshallは1995年Lasker賞,1999年Benjamin Franklin Medal, 2002年慶応医学賞受賞.
  • 物理学賞,化学賞はオーバーラップなし.
先週の本サイトでは,ノーベル賞の予想記事を紹介したが,その結果判定は次のように なる.
  • ISIの予想は,過去3年,科学3賞に関して該当ゼロであったが,本年は化学賞受賞者のRobert H. Grubbs を的中させた.
  • Newton誌の予想した91人はすべて外れた.
 

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  • 【大学情報】10月3日に 配信された 大学情報よ り.
    【注目記事】大学を「世界標準」で評価−ユネスコなど指針採択へ
    大学が提供する教育の質を保証するための世界的なネットワークを インターネット上に構築し,各国の大学を比べられるように する動きが始まったと朝日新聞が9月15日に報道した. ユネスコ総会と経済協力開発機構(OECD)理事会がそれぞれ10月と11月に, 「国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドライン」を 採択する予定で,各国政府や大学が取り組むべき指針を示す.数年以内には 各国が協力して,世界の大学の教育内容を比較できる「情報サイト」の構築を 目指すという.文科省もまず国内の情報サイトを立ち上げる方針. 文部科学省・大学教育の国際化の新たな展開について(pdf) OECD 策定 会合で配布されたガイドライン案(pdf)

    【大学改革】(1)東京大が初の 受験生向け説 明会を開催
    1877年の創設以来初めての受験生向けの大学説明会を札幌市内の予備校で. 北海道大学,東京工業大学,一橋大学,名古屋大学との合同開催.
    【大学改革】(2)早稲田大がジャニーズ事務所と提携, 共同で演劇製作
    【大学改革】(3)東海大,臨床試験の統括者を養成へ
    医学研究科クリニカルバイオメディカル情報科学マスターコース設置
    【大学改革】(4)大阪大が「病院教授」称号を導入
    臨床面での優れた業績がある助教授と講師に「病院教授」の称号
    【大学改革】(5)大阪大が国立大初のラジオ番組提供
    約150ある研究所の活動内容の紹介や在学生にキャンパスライフを聞く番組. 朝日放送ラジオで 毎週深夜の30分間.
    【大学改革】(6) 関西国際大が入試に 「シニア特別枠」(pdf),60歳以上対象
    経営学部と人間学部で実施し,初年度は1年次入学と3年次入学をそれぞれ10人募集.
    【大学改革】(7) 神戸大,インドネシア大学院と修士課程共有
    デュアル・ディグリー・プログラムをインドネシア大学,ガジャマダ大学,バンドン 工科大学と.
    【大学改革】(8)三重大が中部電力と包括協定
    研究や人材育成などで相互協力
    【大学改革】(9)島根大が成績優秀者の授業料を半期分免 除
    2006年度から,全学で60〜70人,半期分を免除.
    【大学改革】(10)福岡大が中国の最高裁付属機関と交流協定
    中国・国家法官学院と学術交流に関する協定を締結
    【トピック】(1) 約1割が業務効率化で「やや遅れ」−国立大の評価結果
    評価は国立大学法人評価委員 会が実施.大学全体としては中期計画は順調に実施され ていると評価.東京工業大学 など7校が「特筆すべき進行状況」と評価.
    【トピック】(2)大学院改革で 中教審答申−博士課程短期コー スの検討求める
    社会人対象の「博士課程短期在学コース」の創設などを提示. 廃止を検討していた「論文博士」については,引き続き検討.
    【トピック】(3)文科省, 医療人教育支援プログラムに20件選定
    【トピック】(4)日本の公的教育支出割合は 最低水準− OECE調査, Education at a Glance 2005 OECD Briefing Note for Japan (PDF)/a>
    【トピック】(5)日本学生支援機構,奨学金 返還滞納者への取り立て強化
    裁 判所への督促申し立てなど法的措置の対象を,昨年度の10倍近い約4000人まで拡大
    【トピック】(6)大学の名誉教授ら,理科教育支援で 「NPO 法人 科学技術振興のための教育改革支援計画」 設立
    【トピック】(7)職員の就学休職認める−北海道 三笠市が条例案
    復職時の年齢が40歳未満の職員が対象.大学院に合格後,申請 に基づき,最大3年間の休職
    【トピック】(8)日本郵船がフィリピンに商船大学 設立,幹部船員を育成
    【トピック】(9)日銀が金融テーマに論文コンテスト
    【海外大学事情】(1)北朝鮮−資金不足で「平壌 科学技術大」開校メド立たず
    【IT化】(1)携帯を活用した理科学習−東京大が 参加者募集
    携帯電話を活用した理科学習プログラム「おやこdeサイエンス」を開発.


 
2005/09/26 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【生物物理】タンパク質が論理演算子に
    タンパク質は,生体の中でリガンド(ligand)の集中度を変えることにより,情報のスイッチ機構を備えていることが知られている.この事実を用いて,AND, OR, XOR, NOT XORなどの論理演算をタンパク質を用いて行い得ることを,理論的なモデルとして提出した論文が出版された.ケンブリッジ大学の研究者によるもので,例えばバクテリアの E. Coliを用いて,リガンドの集中度に応じてバクテリアが発光することで情報のスイッチ機構として扱い得るだろう,とのこと.(Phys. Biol. 2 159). 9/23 PhysicsWeb

  • 【材料科学】有機サイリスタ
    サイリスタ(thyristor)は双安定な抵抗を示す一種の非線形電子デバイスであり,インバータ(直流・交流変換機)として広く使われている.東京大学と早稲田大学のグループは,導電性有機塩で巨大非線形抵抗効果を発見した,と報告した.この天然の有機サイリスタは静的な直流電圧をかけると,交流を発振する.この効果は,絶縁性の電荷整列領域が電流によって融解するために生じると考えられ,電荷整列領域が定常電流によって融解するという意味で本質的に非平衡な現象であるという.9/21 PhysicsWeb, Nature 437 522

 

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今週の「ノーベル賞受賞者予想」

今年のNobel賞の発表が間近になり,受賞者予想の記事がいくつか出た.
昨年も紹介したが, 受賞者予想の記事が再びNewton誌(2005年10月号)に特集され,Thomson ISI社からも発表された. これらの予想記事を紹介しておこう.

Newton編集部は,ノーベル賞以外の科学賞受賞歴(具体的にはベンジャミンフランクリンメダル,ウルフ賞,京都賞,日本国際賞,イギリス王立メダル,デカルト賞,アジレントヨーロッパ物理学賞,ディラック賞,ガードナー賞,ラスカー賞),学術文献の引用件数(Thomson ISI社の予測),そして科学者へ のアンケートの3つを基準にして有力候補者をリストアップし,上位91名を紹介している.
一方,Thomson ISI社自身も,今年度の予想 を8月31日, 自社のWebで発表した. Thomson ISI社は,ここ数年,学術文献の引用件数の高い研究者,という視点からノーベル賞受賞者の 予測を発表している. (2002年の予想 2003年の予想 2004年の予想) も含めて一覧表にすると, 別紙のようになる. 残念ながら,ISI社の予想では,過去3年とも,下記の自然科学3賞への受賞者的中はなかった. 今年の予想は, 昨年・一昨年の予想と全く同じである.
Newton誌の予測方法は,他の賞をNobel賞の前哨戦として捉える方法である.また,ISIの予想結果を国際賞受賞一回分としてカウントしている.だが,(どの程度のものかは不明であるが)有識者へのアンケートも実施しているようであり,ISI社の結論とは異なる人物もリストアップされている.昨年は,生理学・医学賞の有力候補としたHershkoとCiechanoverが化学賞を受賞した.

以下の表は,今年度,ISI社とNewton誌に登場した有力候補者の一覧である.Newton誌のデータは,昨年は上位25人のみ 記入したが,今年はすべての人を記入した.最有力に◎,有力に○とした.グループ受賞が予想される所は,印をまとめてある.(Newton誌はすでに死亡している人も何人か含めてしまっているが,ご愛嬌)

  有力候補者 ISI 2005 ISI 2004 ISI 2003 ISI 2002 Newton 2005 Newton 2004 備考
物理学賞 Michael B. Green      
John H. Schwartz      
Edward Witten      
中村 修二      
十倉 好紀  
Benoit Mandelbrot          
外村 彰          
Yakir Aharonov          
戸塚 洋二            
梶田 隆章            
Arthur B. McDonald            
小林 誠          
益川 敏英          
Nicola Cabibbo            
Michael W. Berry            
南部 陽一郎            
Theodore Harold Maiman            
John Archibald Wheeler            
Stephen W. Hawking            
林 厳雄            
Morton B. Panish            
Anton Zeilinger            
Daniel Greenberger            
Michael A. Horne            
Bruno Rossi            
Peter Higgs            
近藤 淳            
Alan Aspect            
Charles H. Bennett            
David Deutsche            
ジェラール・モロ            
Peter Shor            
  有力候補者 ISI 2005 ISI 2004 ISI 2003 ISI 2002 Newton 2005 Newton 2004 備考
化学賞 J. Fraser Stoddart    
George M. Whitesides  
新海 征治    
K.C. Nicolaou      
Robert H. Grubbs    
Walter Kaminski          
Michael Szwarc           死亡
Adriaan Bax            
本多 健一          
藤嶋 昭          
橋本 和仁            
Gabor A. Somorjai          
Gerhard Ertl          
飯島 澄男          
Harry Gray            
Alan Battersby            
David Turnbull            
Norman L. Allinger            
諸熊 奎治            
鈴木 章            
高柳 邦夫            
玉尾 皓平            
南 策文            
又賀 昇            
伊藤 公一            
岩村 秀            
  有力候補者 ISI 2005 ISI 2004 ISI 2003 ISI 2002 Newton 2005 Newton 2004 備考
生理学・医学賞 Alfred G. Knudson, Jr.  
Bert Vogelstein    
Robert Weinberg      
Michael J. Berridge    
西塚 泰美     死亡
Francis S. Collins      
Eric S. Lander      
J. Craig Venter      
Mario R. Capecchi          
Oliver Smithies          
Robert C. Gallo          
Luc Montagnier          
Alexander J.Varshavsky            
Avram Hershko           Nobel Prize 2004 Chemistry
Aaron Ciechanover          
Seymour Benzer            
Don Craig Wiley           死亡
Jack L. Strominger            
Judah Folkman            
Willem J. Kolff            
石坂 公成            
小川 誠二            
Clay M. Armstrong            
Bertil Hille            
Bruce N. Ames            
Raymond Lemieux            
Walter Jakob Gehring            
Andrew Z. Fire            
Craig C. Mello            
Richard A. Jorgensen            
Maynard V. Olson            
Jean Weissenbach            
Robert Samuel Langer            
下村 脩            
Douglas C. Prasher            
Martin Chalfie            
御子柴 克彦            
吉田 賢右            
木下 一彦            
伊藤 博康            
M. Azim Surani            
George Chrousos            
James A. Thomson            
King-Wai Yau            
Stanley Fields            
Steven A. Rosenberg            

以下では物理学賞のみに限って少し,上記予想を検討してみたい.

  • ISI社の予想では,「ストリング理論とM理論」のGreen-Schwartz-Wittenの 3人を組にした受賞を予想しているが,Nobel賞は歴史的に「実証可能な事実」に対してのみ贈賞しているので, 残念ながらこの3人が受賞することは当分無いであろう.論文引用数だけの統計だと,最近素粒子・宇宙 分野でM理論が流行していることが裏目に出て,誤った結論になってしまっているものと思われる.
  • ここ数年,物理学賞は実験・観測による「発見」に対して贈賞されていたが,2004年は,「強い力」の理論提唱者が受賞者となった.今年は再び実験・観測の人となる可能性が高い.そうなると,「クォークは6種類である」と理論的に予言し,それが4年前に実験で確認された「小林・益川」理論のペアは,今年は無理かもしれない.
  • ブレークスルー的な発見を重視するなら 「青色ダイオード」の「中村」かもしれない.あるいは,「電子型銅酸化物超伝導体の発見」の「十倉」かもしれない. 十倉は物理学賞予想の中では唯一ISIとNewton予想が重なっている人物である.
  • 3年前がニュートリノだったので,「ニュートリノに質量」の「戸塚」はまだ尚早である.今年はないであろう.
  • 理論をサポートした「電子線ホログラフィーの開発とアハラノフ・ボーム効果の実証」で「外村・Aharonov」というペアも考えられる.
  • 最近量子コンピューティングの実用化に対する技術的な報告が増えた.理論的な基礎を構築した「Shor」も数年以内かもしれない.
  • あるいは,ダークホースの「フラクタル」Mandelbrotで,数学者にも光を与える可能性もありかもしれない.
今年の物理学賞の発表は,10月4日である.
 
2005/09/19 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【天体観測】すばる望遠鏡,宇宙最遠のガンマ線バーストをとらえる
    国内の研究チーム「すばるGRBチーム」は,すばる望遠鏡によって,宇宙の最も遠方で発生した巨大爆発現象の距離を測ることに成功した,と発表した.大質量星が崩壊してブラックホールが作られるときに発生すると考えられている,ガンマ線バースト現象の一つで,2005年9月4日にアメリカのガンマ線天文衛星スイフトで検出されたGRB050904.すばるGRBチームは,ハワイ時間で9月6日の晩に,残光を微光天体撮像分光装置(FOCAS)で,4時間の露光によって可視光から近赤外線領域にわたる高品質のスペクトルを得て,距離を 128億光年と測定した.これは,これまでの記録である123億光年を大幅に破る最遠記録となった.宇宙誕生後わずか9億年後であり,これまで,人類が観測した最も遠方の天体(すばる望遠鏡によって発見された若い銀河)と比べても約5000万光年近いだけ. 9/13 毎日新聞国立天文台 アストロ・トピックス

  • 【訃報】Sir Hermann Bondi (1919-2005)
    Thomas Gold (1920 - 2004), Sir Fred Hoyle (1915 - 2001)と共に 定常宇宙論の提唱者として知られるボンディ卿が,9月10日亡くなった.85歳だった. 9/14 PhysicsWeb

 

今週のサイエンティスト情報


 
2005/09/05 前回へ / 次回へ / ページ先頭へ
 

今週のサイエンス情報

  • 【地球物理】地球の内部コアの回転は周囲よりも速い
    地球の内部コアは,周囲のマントルや殻に比べて年間で0.3-0.5 度早く回転している,という報告がなされた(Science 309 1357).35年間にアメリカ西海岸に生じた18回の2重地震波を解析したもので,このような結論を導き出した研究は初めて.地球の磁場の起源に結びつくのではないか,と報道された.8/25 PhysicsWeb

  • 【訃報】Joseph Rotblat (1908-2005)
    Manhattan Projectを辞職した唯一の物理学者であり,1957年のPugwash平和運動の創始者でもあるロートブラット氏が亡くなった.96歳だった. ノーベル平和賞(1995)を受賞したときの贈賞理由は, "for their efforts to diminish the part played by nuclear arms in international politics and, in the longer run, to eliminate such arms."だった.9/2 PhysicsWeb

 

今週のサイエンティスト情報

  • 【大学情報】9月2日に配信された 大学情報より.
    【注目記事】大学・短大進学率,初めて5割超す
    今春の新規高卒者と「浪人生」など高校既卒者を合わせた大学・短期大学進 学率が前年を1.6ポイント上回る51.5%となり,初めて5割を超えた ことが8月10日,文部科学省の学校基本調査速報で分かった.内訳は,大学が 1.8ポイント上昇の44.2%,短大が0.2ポイント低下の7.3%. 入学者数は,少子化の影響で計70万3000人と1000人減少して いる.統計が始まった1954年の大学・短期大学進学率は,10.1%だった. 文部科学省・平成17年度学校基本調査速報

    【大学改革】(1)東北大,キャンパス移転費用は自己資金で...移転の総事業費は数百億円規模
    【大学改革】(2)東京大,文系の産学連携推進でNPO法人 グローバルビジネス リサーチセンターと協力
    【大学改革】(3)金沢工業大が東京商工会議所に入会...就職支援で
    【大学改革】(4)京都大が新たな教育組織 「ナノメディシン融合教育ユニット」発足... 初年度は大学院生20人,社会人60人
    【大学改革】(5)京都工芸繊維大が工芸,繊維の2学部を「工芸科学部」に統合...全国で「繊維学部」をもつのは信州大学だけに.
    【大学改革】(6)立命館大,ニチコンと研究開発・人材育成で包括提携
    【大学改革】(7)萩国際大の学校法人,新理事長が就任
    【トピック】(1)国立89大学,1100億円黒字−法人化後初の決算... 大部分は旧国立大時代から引き継いだ未収授業料や付属病院の医薬品の在庫などを収益として計上したもの.経営努 力などによる実質的な利益は約53億円.純利益トップは大阪大学の70億円で,次いで東京大学,九州大学,京都大学の順.
    【トピック】(2)文科省,国公立大学の 入試概要を発表... センター試験で5教科7科目以上を課す大学は 全体の約70%にあたる109大学402学部(今春より4大学23学部増えた). 入学定員は少子化の影響で92人減の9万6393人で,12年連続の減少.
    【トピック】(3) 文科省・教員養成推進プログラムに34件を選定− 応募は101件,選定内訳は国立20件,私立12件,複合2件.1件あたり,最大2000万円を助成
    【トピック】(4) 文科省・法科大学院等専門職大学院形成支援プログラムに8件を採択... 申請は25件.国立は筑波大,東京農 工大,東京工業大,私立は早稲田大,関西学院大,他に複数校による共同の取り組みが3件.
    【トピック】(5)文科省・法現代的教育ニーズ取組支援(現代GP)に84件を採択... 申請は509件,選定率は16.5%.内訳は,国立36件(大学28,短大1, 高専7),公立大7件,私立39件(大学33,短大6),複数校による共同申請分が2件.
    【トピック】(6) 文科省・「派遣型高度人材育成協同プラン」 (大学院生インターンシップ),好評で予定枠倍増 ...延べ29大学が企画した20計画が採用
    【トピック】(7) 中央教育審議会・初等中等教育分科会改革案,教員免許を更新制に 5〜10年ごとに免許を更新.適格性 の判定項目は,教育への使命感,社会性や対人関係能力,教科の指導力など で,国が判定基準を作成.文部科学省は年内に答申を受け,早ければ2006年度中に制度を改正したい考え.
    【トピック】(8)大卒6人に1人が「ニート予備軍」... 文部科学省・平成17年度学校基本調査速報(pdf)
    【トピック】(9)企業と大学の「包括提携」が増加 日本経済新聞8月25日報道.
    【トピック】(10)大学生の漢字能力−高卒程度問題の正答率4割... 日本漢字能力検定協会, 2005年「漢字能力調査」結果の概要(pdf)
    【トピック】(11)文科相ら3閣僚,地方大学活性化で連携合意... 第47回総合科学技術会議議事要旨
    【トピック】(12)大学発ベンチャーの58%が経常黒字−... 日本経済新聞8月10日報道.
    【トピック】(13)新司法試験で法務省が初の模擬試験を実施
    【海外大学事情】(1)米国−MBA人気に陰り?... ビジネススクール入学の必須試験である GMATの受験者数が3年連続で減少
    【海外大学事情】(2)中国−政府が毎年10億元拠出し,苦学生を援助へ
    【IT化】(1)トッパン・フォームズ,携帯で授業の出欠管理システム (pdf)...「代返防止機能」あり.
    【IT化】(2)専門学校のeラーニング,規制を大幅緩和へ... 現行の基準では教室外の授業履修は,総授業数のの2分の1まで.


2005年8月以前の分はここ


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